見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

スコール

2007-05-31 20:31:23 | ベトナム
亜熱帯気候の「スコール」に打たれることが憧れだった。

中学1年生の時、社会の先生が、「東南アジアには雨季があり、『スコール』という激しく地面を叩きつける雨が毎日振り続きます。バケツをひっくり返したような土砂降りでみなさんの予想を超えるものです」と説明したのを聞き、大河に投げ込まれるような衝撃的な雨をイメージした。
日本の「梅雨(つゆ)」など足元に及ばない雨。「みなさんの予想を超え」「地面を叩きつける」雨に打たれてみたい。きっとプールに入る前に浴びるシャワーの100倍は気持ちがいいに違いない、と。

これまで東南アジアを旅した時は、雨季が外れた時期ばかりだった。「雨」には遭ったが「スコール」は未体験だ。
ベトナムに入った第一日目、空港から安宿街に向かうその途中で、「スコール」の洗礼を受けた。期待を裏切らない大胆不敵な雨だった。地面も人も車も容赦なく叩きつける。真上から大粒の雨がバシャバシャ、ザザー降り注ぐ。
            

そして、知った。スコールは、毎日やってくるのだと。

時に激しい雷が伴う。朝はほぼ毎日快晴で、容赦ない日光が肌をちりちりと焼くほどの晴天なのだが、昼が過ぎる頃には暗雲が覆って街は暗くなる。やがて、ぽつぽつと予告の雨が落ち始め、堰を切ったように、一気にザァアアー、ドドーン、ピカピカッ!ジャァアアアアア(ああ、なんて貧相な表現力なのだろう)

道路は瞬く間に水浸し。両脇の建物の屋根から雨が滝となって流れ落ちる。側溝から水が溢れ、路上がすべて水面下になった。
慣れた市民は大きな合羽をかぶってスクーターを運転する。子どもたちは喜んで雨の中で踊る。勇敢に水に膝までつかりながら歩く人は、合羽にも傘にも頼らず、びしょ濡れで歩く。
            

スコールに打たれることに憧れていたのは過去の私。連日の突然の豪雨に慣れてはきたが、昨日、ホーチミン市最大のベンタン市場に行き、床まで届きそうなほど長い真っ赤な雨合羽を買った。


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2 コメント

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憧れてました。 (ちえちえ)
2007-06-04 09:53:29
私も憧れて居ました。スコール。私には一生触れることができ無いだろうスコール。。今回のワインさんのレポートでとてもスコールを身近?に感じることができました。赤いレインコート姿お似合いだと思います。旅番組や本は時に見ていますがここに来ると自分が旅してる様に他国を感じられるのはワインさんの文章・表現力ですね。(失礼な言い方で申し訳ありません。)中学時代に授業で聞いた事って非常に心に残って居る事がたくさんあります。日本は6月になりましたがなんだか肌寒いです。梅雨入りが遅れて居ます。
お体お気をつけて。。。
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ちえちえさんも? (ワイン)
2007-06-08 12:25:22
ちえちえさんにスコールを教えてくださった社会の先生はどうしているでしょうね。いつかちえちえさんもスコールを浴びる機会があると思います。子育てが終わって、ちえちえさんが少し年配になってから(^^)。でも、スコールの季節は蒸し暑くてけっこう体力が必要ですから、しっかりそのときのために体をつくっておいてください。
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