パンの気持ち

「パンを持ち運ぶための袋を買って下さい、かわいい袋が欲しいとパンが言っています。」
って、なにを言っているだ、私？？？

お伝えしたのは、新しくお店をオープンさせたばかりの美しい女性。
「心当たりがありますか？？？」とお尋ねすると、
意外にも「はい」のお返事。

まだお客様が少なめのサロン。
予約がない空き時間に、パン好きのお母様のためにサロンでパンを焼き、
フリーザーバックに入れて家に持ち帰るのだけれど、お母様はもったいないからビニール袋に入れてくれればいいよ、とおっしゃるそうです。

「パンはお好きですよね？パンを食べる時、どこかで買ったパンでもいつも温め直したり焼きなおしたりして召し上がる姿が見えるんですが…。パンも最高のコンディションで食べてもらって嬉しいみたいです。毎日せっかく作るパンですから、かわいい袋に入れてお持ち帰りになってはいかがですか？」

お客様がいらっしゃる時には、最高の笑顔とまごころを、お客様がいらっしゃらない間はパンに愛情を。
そうしているうちに案外早く、彼女の夢が叶う日がやってくるのでしょう。