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金原亭駒与志の世界

一天狗連の楽屋

ネタ帖 雑俳

2011年02月24日 00時00分00秒 | 高座
長屋の八五郎が、横町の隠居の所に顔を出す。ご隠居の道楽が俳句。八っつぁんがご隠居に俳句を教えてほしいと言うので……

最初の題は「初雪」。
隠居「見たままに詠みゃいいんだよ」
八公「初雪や方々の屋根が白くなる」
隠居「それじゃ見たまますぎる。初雪や瓦の鬼も薄化粧」
八公「初雪やこれが塩なら金もうけ」



次の題は「春雨」。
八公「船端をガリガリかじる春の鮫」

俳句の後は、りん廻し。
隠居「リンリンと綸子(りんず)や繻子(しゅす)の振り袖を、娘に着せてビラリシャラリン」とやれば、
八公「リンリンと綸子や繻子は高かろう、襦袢(じゅばん)の袖は安いモスリン」
隠居「リンリンとリンと咲いたる桃桜、嵐につれて花はチリ(=散り)リン」
八公「リンリンとリンと咲いたる桃の実を、さも欲しそうにあたりキョロリン」

そして、七度返しの稽古。
「瓜売りが瓜売りに来て売り残し、売り売り帰る、瓜売りの声」
「山王の桜に三猿が三下がり、あいの手と手と手々と手と手と」
なかなか八公は上手くできない。



【一口解説】
雑俳とは、江戸中期から用いられた言葉で、様々な短詩形の庶民文芸を総称したもの。もっぱらウイットを楽しむ点に特色があったそうです。この噺自体は、笑話本『弥次郎口』(文化13(1816)年刊)に収録された「和歌」など、いくつかの小咄を集めたものです。
伸縮自在な前座噺のひとつ。新作落語を得意にした故・春風亭柳昇師の古典落語の持ちネタでもありました。当代・談志師匠の音源が最良ではないかと思います。


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