私たち夫婦は今年で二回目の結婚記念日を迎えた。
実際は結婚して8年経つ。
が、うるう年の2月29日に入籍したので、今年で二回目の結婚記念日になる。
2月29日に籍を入れたことについて、友人たちは、
「何か意味あるの?」
と興味津々に聞いたり、
4年に一度しかめぐってこない日なので
「バカじゃないの。」
と呆れられたりと様々な反応だったが、この日に入籍したことについて
特に深い意味はない。
その年の2月29日が日曜日で大安だったので、吉日だし、夫も仕事が休み
だったので役所に婚姻届出を出しに行きやすかっただけなのだ。
ただ、後から気づいたのだが、2月が29日まである年は、オリンピックがあった
り、アメリカ大統領選挙があったりと、世界的にもいろいろイベントのある面白い年
だなあということだ。
私の結婚した相手(つまり夫)は、
人生の宝くじがあたったような、よくできた人であった。
家族によく尽くし、私の最大の理解者で、何より暮らしていて心地良い人だ。
感謝の言葉をいつも自然に述べ、私の心身の調子を常にさり気に気遣い、
イクメンなどという今時の言葉を使わずとも、娘の世話を自然にこなし、根気よく遊
び相手をする。
(だから娘はパパが本当に大好きだ)
これが、20代初めに結婚した人だと、そういう夫の人柄も空気のように
当たり前に思ってありがたさも感じず、もしかしたらもっと素敵な
イケメンとドラマチックな恋ができたかもと夢見たかもしれない。
でも、私は若い頃さんざんに恋愛に傷つき、自分もいたらぬところがあったが、
何度も恋人の裏切りに泣き、いくつかの修羅場もまた体験してきたので、
家族に対して「誠実」を体現したような夫の存在を大変貴重に、またいとおしく
思うのである。
ただ、そういう恵まれたパートナーとの結婚後に、私の人生で一番苦しい時期
を味わうことともなった。
娘の出産後に、うつ病という、自分が決してなることはないと
思ったどん底のような暗闇と苦痛を体験することになった。
この心の病の回復については、私自身の強い執念もあったが、家族の温かいサ
ポートなくしてありえなかったと思う。
うつ病とその治癒の体験は、のちにカウンセラーとして、私の大きな強みでもあり
かけがえのない財産ともなったが、私のうつはかなり重かったので、二度とあの
地獄は味わいたくない。
夫婦とは面白いもので、私がうつから立ち直ってしばらくして、今度は夫が
仕事の多大なストレスから、心身のバランスをどんどん失い、彼が少しづつ
壊れていくのを目の当たりにした。
今度は、私の心の専門家としての持ちうるものをすべて動員して、
彼を支えた。
今は、元気一杯の娘を中心に、夫婦二人とも健やかに過ごせることに
しみじみとありがたさを感じている日々である。
結婚して8年の間に、凝縮して様々なことが起こったが、
もう8年たったのかという思いと、まだ8年しかたっていないのかという
感慨がある。
三回の結婚記念日は、また四年後にくる。
その時、娘は9歳になり、私は本格的な更年期に突入する45歳である。
私たち夫婦と家族は、どうなっているか、
「まあ、なるようになるわ
」
というゆるーい自然体な気持ちと
「どうなってるんだろうなあ」
という決して分からぬ未来へのどきどきとが
あるが、
でも夫婦二人して助け合って、
そして宝物の娘が強力な存在感を発揮していろんなことを乗り越えて、
日々大過なく過ごせていたら
これ以上の幸せはないと思うのである。