「大阪のおばちゃん」というのは、人なつこくて、世話好きで下手な芸人よ
り笑いのセンスがすぐれている。
が、、ずうずうしいというか、人の気持ちにずかずかと踏み込ん
でくるたちの悪いところもある。
でも、普段そういう大阪のおばちゃんをはとても愛すべき存在だと私は思
っている。
私は今、大阪に住んでいるがお隣の兵庫で生まれ育ったので、生粋の大
阪人ではない。
でも、大阪のおばちゃん的資質は多分に持っているように思う。
それでも、本物の「大阪のおばちゃん」には絶対にかなわない。
三歳になる娘とよく一緒に電車に乗るのだが、おばちゃんたちはよく話し
かけてきてくれるし、飴ちゃん(関西では飴に必ず「ちゃん」づけする)をくれ
たり、お菓子をくれたりする。
娘が、「可愛いねえ」とか「良い子にしてるねえ」などと誉められると、悪い
気はしないし、娘もまたを愛想を振りまいて小首をかしげてにっこり笑ったり「バイバイ」と手を振ったりする。
そんな、愛すべき「大阪のおばちゃん」とのやり取りの中でも、たまにげん
なりすることがある。
ある日、いつものように娘と一緒に電車に乗っていると、
隣に座っていたおばちゃんが、
「かわいいねえ、何歳?」
と聞いてきた。
当時二歳だった娘は、指でピースサインをつくって
「にさい」
といつものようににっこり笑いながら、言った。
「そおお。かしこい子やねえ。
そやそや、この前、テレビでやってたんやけど、髪が黒々として髪の毛の量
が多い女性って苦労するんやて。
ほれ、雅子さん(雅子妃殿下のこと)も髪が真っ黒で量が多いから
あんな苦労してはるやろ。
この子くらい髪の毛が少なめで色がちょっと茶色いのがいいわあ。
幸せになれるで」
顔をずいと私に近づけて一気にまくしたてた。
「ここで降りなあかんねん。ほら、飴ちゃんあげるわ。じゃあね。」
とおばちゃんはごそごそと鞄から飴ちゃんを取り出して娘に渡した後、さっ
さと下車していった。
娘を誉めるための全く悪意のない言動だったが、
髪が黒々として髪の毛の量がたっぷりある私は、ずーんと思い気持ちで
そのおばちゃんの背中を見送った。
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「growing & healing room ♪Kanonn~カノン~」