翌日-37 あずさ

　お母さんを迎えに行く彼を車まで見送って、もう一度キスしてもらってから、私は玄関に戻った。パパはだらしないいつものパパに戻っていて、私はがっかりした反面ちょっと安心した。
　パパは区民フェスティバルに出店する会社が固定してきて、新しく出店するところが少なくなったのを気にしているみたい。彼のお店がパパの希望通りかはわからない。でも、社長は４０代だっていうし、彼もやる気になっているから、私も応援したい。彼がミッキーになって私を応援してくれたみたいに。

　「パパ、明日の夜、先輩の家に行ってくる。お姉さんには会ったけど、ご両親には会ってないし」
パパはソファの上で体を伸ばして、「鈴木の人口が一人増える分すぐに一人減って、プラスマイナスはゼロだな」とつぶやいた。愛ちゃんは二人姉妹の姉だから、前田さんはきっといつか二人の人口が減ることになるんだ。

　彼は今ごろ指輪の店のあたりを走っている。新しい道を見つけるのが楽しみになったと言っていたけど、私の家の近くは最近走り始めたばかりだから、コース変更はしないと思う。
　お店の前を通るとき、私のことを考えてくれるかな？それとも、迎えが遅くなったことを気にするのかな？
　まあ、どっちでもいい。絶対に私のことはいつも考えてくれているから。