王子様らしい服に着替えた王子様は
町のみんなの前に立って言いました
「どこのだれか知らない勇者と
すてきな歌で励ましてくれた2人の歌手に、
心からお礼を言います
ありがとう」
子どもたちが、バリトン歌手とソプラノ歌手を舞台に押し出ししました
「離れていればいるほど
君への思いは強くなった」
「あなたの声が聞こえるたびに
1人じゃないと信じられたわ」
「お城に着いて、汚れた服も気にせずに働いている君を見た」
「あなたのかっこうだって、それはひどかったわ」
「ちゃんと聞いてくれ
僕はそんな君を心から美しいと思ったんだよ」
ソプラノ歌手は思わず顔を伏せました
それからバリトン歌手の顔をまっすぐ見て、歌い上げました
「私もあなたにほれなおしたのよ」
子どもたちが眠りについても
お祝いは続きました
「みんな疲れているから
はしゃぐのはほどほどにして寝たほうがいいよ」
王子様は眠い目をこすって言うと、安らかに眠りにつきました。
どうしようもなく暗い夜もあります
でも、希望を持って眠って起きたら、
きっと明るい朝が来るはずです