コージはあずさを愛している/Koji Loves Azusa

小説「On The Road Part2 & 3」とリック連作
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翌日-40 コージ

2010年09月16日 07時00分00秒 | 翌日/TheDayAfterWeLoved
 スーパーのエプロンが似合う男の子は、手際よくお客さんのオバサンたちのレジをこなしていく。「あの子は来年高校卒業なのよ」とお母さんが言った。「1年のときからバイトしてるの?」と僕はレジ袋を持った。
 「お刺身はまっすぐ持ってね」と言ってから、「はじめは声が小さかったけど、もうすっかり慣れたみたいね」とお母さんが答えた。3年もスーパーのレジを続けられたなんて、フラフラしていた僕からみればそれだけでたいしたものだ。

 「ありがとうございました。また起こしくださいませ」僕たちがレジを通ったときより大きい声が響いた。男の子のレジをおばあさんが通っている。おばあさんはニッコリ笑って、財布をしまった。
 「あの人は耳が遠いの」とお母さんが言った。
 あの男の子は高校生だけど、一流の商人だ。お客様に必要なサービスをきちんと提供している。勝つとかじゃなくて、僕もあんな対応ができるようになりたい。
 「僕もあの子みたいになれるかな?」と僕が言うと、「大丈夫。お父さんの息子だから」とお母さんが笑った。「お父さんが帰ってきちゃう。急ごうね」
 僕は車のキーを出しながらまっすぐになるように気をつけて袋を持った。買い物にもそのうち慣れると思う。



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