大阪府高齢者大学校 2013年度 考古学研究科

2013年度考古学研究科がスタートしました。
この一年を、楽しい学習の場にしていきましょう。

橿原考古学研究所附属博物館見学(13.7.18)

2013年08月22日 | 日記
 考古学研究科  7月18日の授業
午前は教室で講義を受け、午後はJRと近鉄電車を乗り継いで、奈良の橿原考古学研究所付属博物館に出かけました。

【午前】
講義は、三内丸山遺跡と青谷上寺地遺跡のことを中心に、百済の前方後円墳、「縄文海進」、古代の大阪平野にも若干触れる内容です。
青森の三内丸山遺跡は縄文時代前期~中期(約5500年~4000年前)の大規模場集落跡で世界遺産の登録を目指しています。調査によって竪穴住居跡、掘立柱建物跡、大人や子供の墓、土器・石器、木製品、骨角製品など多量に出土し、平成6年には青森県の特別史跡に登録されています。
青谷上寺地遺跡は鳥取市に位置し、保存状態がよく、「地下の弥生博物館」とも呼ばれる集落遺跡です。5m超の高層建築や水田の跡、まつりやまじないに使用されたであろう、木片や木製楯、鯨の骨の剣、イノシシの頭骨、また、魚をとる道具、分銅形土製品、鉄製工具、獣が描かれた土器、船形木製品など弥生人の暮らしを物語る多彩な遺物が数多く出土しています。また、100体以上ものバラバラな人骨、刃物傷のある頭蓋骨、国内はじめての前頭葉のある脳などは、当時を推量する貴重な資料となります。

【午後】    
 橿原考古学研究所附属博物館(略称「橿考研」)は1938年(昭和13年)「紀元二千六百年記念行事」の橿原神宮外苑整備事業として橿原遺跡調査が行われた跡に建てられています。
 常設展では発掘調査で出土した考古資料を中心に、旧石器時代から中世に至るまでの考古資料約5000点が展示されています。


    
 当橿考研の訪問は2度目で、この日は、主に特別陳列「シリア・古代パルミラの人々」と「2012年度発掘調査速報展」の見学です。
 「シリア・古代パルミラの人々」は奈良県の22年に及ぶ発掘調査の成果として、パルミラの墓に葬られた頭骨をもとに復顔し、当時の彫像と類似性を検討するという試みがされています。
 紀元前1世紀から紀元後3世紀にかけ、東西の交易の隊商都市として栄えたパルミラ、その墓には副葬品が伴わないこと、また、骨折や関節症などパルミラ人の病を骨から推量していることにも興味が湧きます。



  
 奈良県には、先人が残した貴重な文化遺産である、都城跡や古墳をはじめさまざまな埋蔵文化財が数多く存在します。これらは、歴史や文化を研究するための重要な資料となります。そのため県内の「大和を掘る」調査は、毎年行われており、今回で31回目に当たります。
今回の「2012年度発掘調査速報展」
<報道提供資料>
 ◎史跡唐招提寺旧境内(旧開山堂)
 ◎弥生前期水田管理の実態解明(中西遺跡・秋津遺跡)
 ◎中西遺跡・秋津遺跡などの弥生水田遺構から採取した水田土壌を使用したイネの栽培
 ◎桜井市脇本遺跡第17・18次調査
 ◎箸墓・西殿塚古墳赤色立体地図の作成
<現地説明資料>
 ◎史跡・名勝飛鳥京跡苑池第7次調査
 ◎桜井市脇本遺跡第18次調査
 
 この「2012年度発掘調査速報展」は9月1日まで行われています。旧石器時代から中世に至る出土品の常設展示も内容が豊富です。遺跡・遺物を実際に見て、触れて体感することは大事なことです。機会を作って橿考研にもまた足を運んでみてはいかがでしょう。


                        
担当 3班(S・M)