~窓をあけよう☆~

二冊の本


まるでご夫婦が呼応しあっているような二冊の本です。

向かって左・・・『ありのままに  「三度目の人生」を生きる』西城秀樹著 2012年11月出版

そして右は・・・『蒼い空へ   夫・西城秀樹との18年』木本美紀著 2018年11月出版

70年代、日本の芸能界で新御三家は燦然と輝く大スターでした。テレビをつけて番組を見てるとき、彼らの一人でも現れると、画面がぱあっと華やぎ、歌番組に、コントやバラエティ番組に、ドラマにCMに現れて、彼らを見ない日はなかったです。同級生でも新御三家のどなたかのファンが必ずいました。歌もしょっちゅう流れていたのでその時のヒット曲が何なのかを知っていました。今でも歌っているときの印象的なアクションを鮮やかに覚えています。家族で見るテレビ番組で姿を見るのが当たり前の、お茶の間のスターとして親しみを感じていました。。

なかでも西城秀樹さんは背が高くスタイルが良くて、私の周りではスポーツ系男子に憧れる女子に人気がありました。

そして実は友人に誘われて、武道館でのコンサートに一度だけですが、行ったことがありました。会場みんなで歌いながら「YMCA」と手のアクションをしたのはいい思い出になってます、

少しずつ時代が変わり、私自身もあまり歌謡曲をきかなくなり・・・。

昨年5月16日に西城秀樹さんが亡くなったというニュースが流れたとき、心にぽっかりと大きな穴が空いてしまったことに自分で驚いていました。これまで当たり前にいる 存在がいなくなってしまった喪失感。確かに近年は闘病されていてたとは聞いていたのだけど、こんなに早く旅立ってしまうとは・・・

それからテレビで西城秀樹さんを特集した番組がいろいろ放送され熱心に見ていました。インターネットで懐かしい歌の動画を何回も見ました。

本屋さんでふと西城秀樹氏の2012年の著書を見つけ、思わず買って読みました。そんな時、なぜか母も本屋さんで西城秀樹氏の奥様木本美紀さんの著書を見つけ買い、家でじっくり読んだそうで、そのあと私に渡してくれたので読み、規せずしてご夫婦の著書を順番に読むことが出来ました。

 

 

まず読み始めた西城秀樹著「ありのままに」

2011年12月に発症した2度目の脳梗塞からある程度寛解した時期に書かれてます。

2度目の脳梗塞の事だけでなく2003年6月の1度目の脳梗塞の事も書かれて、家族やリハビリの話がメイン。芸能界の下積み時代やスターになった時代の苦労やトラブルも少し書かれてました。

 読んで感じたのは西城秀樹氏はチャームを持った人なんだという事です。子供の頃はかなりやんちゃだったそうですが、そんな頃から人を惹きつける何かを持っていたようです。ルックスも良いですしね。人に好かれる才能を生まれつき持っている方なんだなあと感じました

物事の加減を計ることが苦手でつい無茶をしてしまう性格も感じました。子供の頃のやんちゃっぷりもそれが起因しているように思えます。大人になってもその傾向があり、それが体にダメージを与えてしまったように思えました。

前向きな気持ち。脳梗塞の後遺症が残り、厳しいリハビリに取り組みながら、焦り、いら立ち葛藤する。でも、ともに闘病している患者さんの症状に想いを馳せ、医療スタッフに感謝し、そして献身的に尽くしてくれる美紀さんに感謝して、自分の「ありのままに」状態を受け入れていく。

 家族への愛情深さも感じました。子供時代のご両親の愛情、そして仲のいいきょうだいの事。のちに結婚する美紀さんとの出会い。初めてのデートでのエピソードはユーモラスで、秀樹氏が新鮮な驚きと共に美紀さんに惹かれていった経緯が良くわかりました。プロポーズの話も真剣な話ながらウプッと笑っちゃう部分がありました。ご本人も話の最後にオチを作るのが好きな人のようです( *´艸`)。この初デートとプロポーズの話は美紀さんの著書にも書かれていて、お互いの視点から読むことが出来て楽しかったです♪

美紀さんは理系の人であり理性の人で独身の頃はバリバリ仕事をこなし、堅実な人柄で地に足のついた考えがうかがえるエピソードを読んで感心しました。芸能界デビューした年に生まれた美紀さんは普段はあまりテレビを見なかったそうで西城秀樹氏の事を名前くらいしか知らなかったそうです。華やかな生活をしてきた芸能人は美紀さんの前では本名の木本龍雄氏に戻り、新しい価値観に出会い徐々に影響を受けていく。スターはその魅力で多くの人を惹きつけるけど、自身はスターでない自分を知る人、そして自分のこれまで知らなかった魅力を持っている人に惹かれるんですねえ。

発病してからは幼い三人の子育てをしながら病身の夫を支えます(いやもう大変だったに違いない!)。秀樹氏は著書の中で何度も感謝の言葉と共にこの人と結婚して本当に良かったと書かれています。

それから二人の間に生まれた三人のお子さんについても書かれていて、その文章には包み込むような温かい思いがあふれてました。2012年当時はまだ小学生だったお子さんたち、病身の父親に少しでも手助けをしようと小さな手を競って差し出してゆく。病身でなかなか外出できない日々も子供たちと過ごすために与えられた日々と受け止める。家族で遊びに行った楽しい思い出も書かれていました。そんな愛しいお子さんを持つ秀樹氏の心からの願いが書かれてます。

子どもが成人するまで生きていたい

そのためにも、またファンの為にも同じ病になった人へ勇気を届けるためにも、病気が少しでも良くなるように努力し、今の自分だからこそ新たな可能性を見つけていく。華やかなスターの最初の人生、一度目の脳梗塞でがらりと生活が変わった二度目の人生、さらなる脳梗塞で後遺症を持ちながらも明るい希望を持ち続ける三度目の人生。著書の終わり近く「青春」という歌の歌詞が綴られてました。これからの人生も瑞々しい感性で生きていく決意。そして自分の症状をちょっとしたユーモアで捉え文章にする。再発への恐怖を持ちながらも明るく文章を綴る人柄が素敵でした。

 

次に木本美紀著「蒼い空へ」

西城秀樹さんが亡くなり、沢山のファンの方から労いとお礼の手紙を受け取った美紀さんが、「私は、ファンの皆様の秀樹さんを、お預かりしていたという立場」と感謝と共に覚悟を決めて夫の闘病生活をファンの方々と共有すべく正直に綴っています。

男の人の中で対等に仕事していた美紀さんはある日お見合いのような形で秀樹氏と会う。お互い好感をもって初めてのデートでは後々まで秀樹さんにからかわれたと書いてました。美紀さんの社会人としての姿、質実さに惹かれたと秀樹氏の著書に書かれてましたが、美紀さんも秀樹氏の気取らない気さくな人柄に惹かれたそうです。美紀さんが仕事中にランチデートをするとき、作業服の人が多い食堂で美紀さんも作業服姿のまま一緒によく食べたそうです。あまりにローカルなお店で周りの人は気づいてなかったそうです。が、一方普段マネージャーさんにお任せして生活をしている芸能人であることも感じることがあったそうです。2001年に結婚。しばらくは夫婦二人の生活を楽しんだそうです。

秀樹氏は感性の人で思い立ったらすぐに行動をおこさずにはいられない人でせっかちな部分もあったそうで、一方美紀さんはおっとりとうけとめていく。お互いが補い合える相性のようです、そして美紀さんの著書を読んでるとさりげないエピソードにユーモアがあって、そのセンスが「ありのままに」で書かれていた秀樹氏のユーモアと通じるものを感じました。

結婚してお子さんができても「有名人なのはパパ。ママとあなたたちは一般人」と子供たちに言い聞かせ、有名人の子供としてもてはやされる場所には慎重に遠のいていたそうです。

その落ち着いた人柄だからこそ幼い年後の子供三人を育てながら夫の看病をやり遂げていけたのだろうな。

  「ありのままに」ではこれまで健康が自慢の自分が脳梗塞に2度かかってしまったと書かれていましたが、実はそうではなかったのです。病魔は結婚前からすでに存在していて、脳梗塞も2度だけではなかった。健康に気を使っていたと言っても加減が出来ず無茶をして、むしろ不健康な事をしていたようなのです。

 秀樹氏がいう1度目の脳梗塞(2003年)に患った時、美紀さんは最初のお子さんを産んですぐに第2子を妊娠しているころでした。夫が退院して第2子を出産後しばらくして第3子を妊娠出産。美紀さんの体だって大変だったと思います。でも、自分の事は淡々と事実を書くだけで感情的な文章は書かれていません。

徐々に回復し仕事復帰した秀樹氏と家族との日々の思い出も綴られてました。ご夫婦で連携してお子さんたちを育てる一方、秀樹氏は子供たちと一緒にいることを大いに楽しんでいたそうです。秀樹氏がこだわって設えたまるで美術館のようだと言われたシックな家は自らが買ってきた遊具でカラフルになり、子供たちの幼稚園や学校の催しにも参加し、食卓では子供たちと競ってお喋りして賑やかだったこと。仕事で遠くに行っても可能な限りその日のうちに帰ってきたこと。愛情深さと共になんだか子供心をずっと持ち続けている人なんだなあと感じました。

2011年の脳梗塞では後遺症が残り、以前にもまして健康に気を付けていく秀樹氏はリハビリを真剣に取り組み、神経質なくらいちょっとの具合の変化でも不安になって薬を飲む。でも、仕事になるとシャキッとした姿になっていたという。さすがプロですね!

「ありのままに」を出版した翌年、新たな症状が現れ、さらに翌年難病が発覚。一人で立つことも厳しくなっていく・・・

2015年4月の還暦を祝うバースデーイベントでは西城秀樹氏を慕う芸能人が出演し盛り上がり、そこで新曲「蜃気楼」を歌った姿は堂々としていたそうです。

お子さんたちはそれぞれの形で父親を慕い接してました。なかでも末っ子の次男君は、秀樹氏が自著で自分に似てると書いてましたが、読んでいて相通じる気持ちがあったように思えました。

病気が進行してもお子さんたちとの交流が綴られてました。娘さんのバレンタインチョコのエピソードなど微笑ましかったです。

そして、さらに深刻になる闘病の日々。家族は回復を祈り続け・・

 

結婚して美紀さんは苦労ばかりだったんだな、と思いました。西城秀樹さんも病気に苦しんだ日々で無念だっただろうなと思いました。だけど、お互いを思いやる夫婦で、ユーモアを持ち日々の生活を楽しみながらお子さんたちと過ごした日々はとても豊かで幸せな日々だったのだと感じました。だからこそどんなに体が辛くても秀樹氏は明るい気持ちを失わず前向きに人生を過ごせた。

ファンの方々が美紀さんにお礼の手紙を送った気持ちが良くわかり、ファンとスターの奥様の関係がまた素敵だなと思いました。

どちらの著書にも周りで手助けしてくれたスタッフや関係者への感謝が綴られ、秀樹氏は妻への感謝を、美紀さんは天国の夫に伝えるように子供たちを育て上げる決意が書かれてました。

 

秀樹氏のまるで話しかけてくるような文章も魅力的でしたよ。

 

 

 

 

 

追記

西城秀樹さんが2015年に還暦記念にリリースしたアルバムを購入しました。

これまでの代表作を、この年齢だからこその味わいで歌いなおし、さらに新曲「蜃気楼」が入ってます。伸びのある若々しい歌声でした。やはり歌がかなり上手い歌手なんだと思いました。

「ちぎれた愛」でのセリフ「好きだ、好きなんだよー!!」と絶唱するところは、聞いてもうキュンキュン(#^^#)♪

「ヤングマン」、メドレーの中の「ブルースカイブルー」すごくよかったです。「眠れぬ夜」が入ってないのは残念。そして

「蜃気楼」は歌詞に秀樹氏の思いが込められて胸が熱くなりました。

自分の体が思うようにいかないもどかしさと諦観と、それでも生きていく覚悟に、実は共感していました。

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