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「中国王朝の至宝」展と「出雲ー聖地の至宝ー」展

2012-11-21 08:52:53 | 一期一絵
11月15日に、今東京国立博物館で同時に開催されている二つの展覧会を見ました。

まず見たのは「中国王朝の至宝」

博物館の中でも大きな展示スペースがある平成館にて開催。
中国文明の黎明期から中世期まで国家の興亡を解説しながら出土品が展示されています。

古代に四川省あたりに存在した古代国家の「蜀」・・・
眼が飛び出た奇抜な顔の面が印象深いです。表情がなんだか原始的だなって思いました。小さな動物の像もリアルというよりかわいらしいのです。
でもすでに青銅で立派な壺「尊」を作ってます。肩部分に鳥や羊の飾りがついてるのがまた味わい深い。
何よりすでに玉石への愛着が定着していて、翡翠などで作った祭りごとの玉剣や玉壁があるのです。ところで中国産の翡翠は軟玉だそうです。硬玉は他国から取り寄せていたのでしょうね。

「夏」と「殷」の時代・・・
重厚感のある青銅器が美しい。特に「爵」というお酒を注ぐ三本足の青銅器は形がしゃれています。

殷の亀甲占いの亀の甲羅も展示されてました。ひび割れがあり、古代漢字が書かれている。
占いをするたびに生贄をささげていたと聞いてます・・・。

「楚」と「斉」「魯」・・・
戦国時代に現われた国家。
「楚」は意匠が風変わりでおもしろいです。
不思議な生き物がブレーメンの音楽隊のように重なっている「羽人」


鹿の角をいっぱい付けているオブジェのような守り神「鎮墓獣」。

それから貴婦人のお墓に入っていたという大きな太鼓「虎座鳳凰架鼓」

虎の上に2羽の鳳凰が反対向きになりその間に太鼓があります。貴婦人の生前のお気に入りなのでしょうか。鳳凰の羽にも鳳凰の絵が描かれていて繊細かつ豪華な雰囲気です。

また、青銅製の「編鍾」とそれを吊るす台に感動しました。大小順番に並ぶ編鍾は日本の銅鐸とそっくりなんです。きっと銅鐸のご先祖なのでは!日本と中国のつながりを感じました。

「斉」「魯」の出土品で気に入ったのは青銅製のお酒の容器「儀尊」です。

コビトカバ(かな?)の形をしています。とてもリアルに表現していて細かく美しい飾りが施してます。紀元前にすでにこんな技術があったのですね~。
あとでミュージアムショップのガチャガチャでカプセルを買ってみたら中身がこの「儀尊」でした。なのでこの一級文物(国宝級)の工芸品のミニチュアを激写
これです♪
前からはこんな感じです
とにかく精緻で凝った工芸品であることがわかります。日本のフィギュア技術もまた凄い!

他にもお猿さんの形をしたベルトのバックル「猿形帯鈎」。お猿さんの手がベルトの穴をひっかけるのかな。可愛いデザインです。
博物館の持ち帰り冊子に載ってました

「猿型帯鈎」前3世紀
ちなみに

南宋時代「蛛網[才禽]猿図冊」13世紀
それから

日本の桃山時代、長谷川等伯「枯木猿猴図」16世紀

ね、似てるでしょ(^o^)/。
もちろん等伯は南宋の絵を参考にしてるはずだけど。その南宋の画家は古代からある猿の表現のパターンにのっとって描いているのかしら。
この「楚」「斉」「魯」の工芸品はとにかくおもしろかったです♪

「秦」「漢」・・・
なんといっても俑という人型の土の焼物が印象的でした。
「秦」の俑は兵隊さん(いわゆる兵馬俑)

と水鳥の世話をする人の2点を見ました。実の人より大きく、兵隊はたくましく勇ましい顔立ち、水鳥世話人は痩せていて内向的な顔立ちをしています。その人の性格まで形にしています。
作品は全体的に作りが大きくて威圧的です。

「漢」の俑は小型で置物に丁度よい大きさ。男性と女性と1体ずつありました。

女性俑がインターネットで見つかったので載せます。彩色がきれいに残っていてこけしのようです。

またお香を炊く足長の容器「博三炉」は18日に見た映画「レッドクリフ」の周瑜の邸宅にも置いてありました。博物館で見たものが実際に使われているのをみるのは面白いです。

「北朝」と「南朝」・・・
「北朝」は「舞楽俑」が気になりました。十数体の女性の小ぶりな俑で楽団を表してます。楽器は失われていますが身振りでどんな楽器を使っているかが何となく想像つきます。横笛や琴、琵琶のような楽器、竪琴も。真ん中に踊る女性がいます。彼女らのモデルは小さい頃から厳しく楽器や踊りをしこまれたのでしょう。

「南朝」は漢の末期に曹操が設定した官位の認定印「関中候印」の金印が印象に残りました。再び三国志の世界に触れた気分です。曹操は関羽をとても気に入ってたのは有名な話ですね。
滑らかな風合いのグレー色の青磁も美しい。そしてダイヤモンドの指輪もありました。さすがにブリリアントカットじゃないけど。

「唐」・・・
龍門石窟の仏像を見れたのが嬉しいです。若い頃いつか中国の石窟の仏像にお会いしたいとおもっていたので。
そしてお墓の壁に描かれていた壁画も見ました。服装といい顔立ちといい高松塚古墳の壁画を思いおこします。
それから大理石で刻まれた「金剛神坐像」

若々しくてかわいらしい感じを受けました。

「遼」と「宋」・・・
遼は北方民族の文化で南朝・北朝や唐や宋と時代が重なっています。
「銀製仮面」はこの遼の遺品です。

顔立ちがなんとなくモンゴル系です。騎馬民族なので馬具や革袋を模した壺が印象的でした。
仏教を信仰していたそうで銀製の仏塔型容器に金製の容器と銀製のお経を刻んだ巻物が入っている精緻な工芸品が信仰心の篤さを感じました。

宋は仏教の遺品が多く展示されていました。仏舎利を入れる器がいくつもありました。どれもかなり作りが凝っています。
「阿育王塔」という仏塔が大小二つ展示されてました。

この図版は大きい方です
いずれも古代インドの阿育王(アショカ王)の建立した八万四千の仏塔にちなんで作られたそうです。足のついた四角い箱の四隅が上にとんがっていて、とんがった角みたいな部分の内部に小さな仏像が飾られています。昔、阿育王が作らせた仏塔もこのような形をしていたのでしょうか。

全部で168点の展示を夢中になって見続け・・・ご一緒した方を随分待たせてしまいました。大反省。作品数の多い展覧会を見るときは、一人で見るか時間の配分を考えて見ます。


続いて「出雲ー聖地の至宝ー」展

本館1階の2室を使って展示されていました。
規模は大きくなく、展示内容も地味な感じですが、平日なのに鑑賞者が多いのに驚きました。みんな自分たちの国が好きなんだなと思いました。もちろん私も(#^.^#)。

まず最初に見たのが銅戈と勾玉。

戈は長い柄の先に付けた両刃の剣です。青銅色です。元の形をよく保っている状態の良いものでした。
その傍に飾られていた勾玉は大きく美しい澄んだ緑色の翡翠のものでした。
翡翠は多分新潟の糸魚川産出なのでしょう。島根県の真名井遺跡から出土したものだそうですが、紀元前にすでに翡翠を遠方から取り寄せる交易があったのでしょうか。
それだけの価値を感じるとても美しい勾玉です。きっと有力者が自分の権勢を誇るようにこの大ぶりの勾玉を身に付けていたのでしょう。
古事記の世界の人物が目に浮かびました。翡翠への愛着は東洋人のDNAなのかしら。
一つ付け加えるなら糸魚川の翡翠は硬玉です。

展示室内にはかなりの数の銅剣と銅鐸が展示され、錆びる前の本来の色や形を再現した復元品もあわせて展示されていました。
金色の剣や銅鐸は日の光を浴びて輝く存在感を皆に見せていたでしょう。大陸からわたってきた青銅の技術を日本の人々が自分たちの技術にしていったのでしょうね。

銅鐸は、先ほど書いた中国の編鍾とやっぱり似ていて文化のつながりを感じました。

編鍾は明らかに楽器の体をしてましたが、銅鐸はどうだったのでしょう。大小様々な大きさがあったから鳴らす音の違いをメロディにしてたのか、お祈りの合図にしてたのか・・・。

それから鎌倉時代に建てられた大社の中心にあった宇豆柱の根元部分も周りに固めた石もいっしょにごっそり展示されていました。そして当時の大社の建物の復元模型も。当時の人々は天にも届くような階段の上にある社に畏れと敬いを感じていたでしょう。

奉納された工芸品も端正で美しい。絵の書かれた扇とそれをを開いたまましまえる扇形箱が印象的でしたこの扇は踊りを奉納するときに使われたのでしょう。お能とか、神楽とか・・・。

最後に神様の像が数体展示されていました。木彫りで作られたお姿を拝みながら、平安時代や鎌倉時代の日本人の姿はこんな風だったのかしらと思いました。髪の毛が少しウェーブしている比売神様は現代の若い女性にも通じる感じがしました。日本の神様は畏れと威厳と親近を一緒に感じました。
こちらも楽しく興味深く鑑賞させてもらいました。

帰りにショップでこんなものを買いました。

古代人になったつもりで時間をみつけてシャコシャコ削って作ってみようと思います♪













2 コメント

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半年ほど前の話 (遵命)
2013-06-18 19:45:59
「中国王朝の至宝」
私が行ったのは12月でした♪ 
まさか展覧会で持ち物検査されるとは思わなかった
入り口での持ち物検査。数年前に行ったサッカースタジアム以来ですワ。

今まで何度か中国系の展覧会に行きましたが、これが一番観やすかったです♪
ド偉く空いていたから…(爆) 同時期に開催されていたツタンカーメン展の方に
お客様が誘われたのかな?黄金の光に導かれて。
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私は7か月です♪ (blueash)
2013-06-20 07:39:44
「中国王朝・・・」は確かに専門的な内容だったですね。
古代中国に興味があると面白いけど、華々しい目玉展示品は特になく、知名度でいえば圧倒的に少年王ツタンカーメン君の方がありますもんね(*´з`)

おかげでゆっくり見れてよかったじゃないですか♪
個人的には楚の国の展示品が個性的で面白かったです。楚といえば項羽の国。土俗的で野生的かつ豊かな音楽の文化が覇王項羽を培ったのかと思いました。 
あと契丹人の工芸品。「天竜八部」の喬峯さまの国のものだと萌えました♪
それから「レッドクリフ」の周瑜さまの家にあった博三炉。
結局萌え系で楽しんでました
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