別館 兄弟仁義

超常現象ドラマの兄弟愛と家族愛をうっとおしくつつくブログ

スーパーナチュラル シーズン8 雑感感想その3

2014-09-25 13:23:13 | シーズン8
第6話。ガース、兄弟間を取り持つぜ、ちきしょうめ!の巻。
みんな大好き、ガース再登場。S7のトップ・ガンからテキサス・レンジャーごっこに。
ガース役の声優さんも上手いよねー。「これおいしいな」が好きだ。痩せの大食い。その前で相変わらずサラダつついてる大男。
兄弟は、前回の嵐を呼ぶ喧嘩の予感をさっさと略し、すでに狩りを捜している(^_^;)
一悶着あったのはサムの言動でわかるんだけど、距離感が類を見ない近さの二人は、腹に溜めながら日常に戻る毎度。

それが尾を引いてると(汗)

ガースは人の様子をよく見てるだけでなく、高学歴だったことが判明。しかし歯の妖精を倒しただけでハンターになるかね?
かなり非情な体験をしないとハンターにならないと思うのは偏見(?)か。
ボビーの後釜についているガースへのディーンの態度がもう。帽子ひとつにも「そんなかぶり方はしない!」って、ほんと変わらぬファザコンぶり。ジョンがボビーになっただけ。

兄弟で殺し合った兵士の霊を持ってくるあたりの人の悪さがスパナチュ的杉。

ディーンの苦しみにはグッとくるし、どうしてもここはサムの分が悪い。だけど過去の過ちはもう乗り越えたはず。サムは色々とディーンを傷つける行動をとったけど、多大な自己犠牲も払った。弟の努力と苦しみもこれまでのシーズンでディーンは理解し、認めてサポートしてきたはず。
そこは巻きなおし脚本の為とかは置いといて(^_^;) 人の心は非常に厄介で、理性では理解して水に流しても、感情面では傷の記憶を後生大事に持ち続けてしまう。
実は、ディーンは数々の“サムの間違い”について、まだこだわってたわけでもない。煉獄にいた自分を捜さなかった弟への不信と怒りが、以前同じように感じた体験を引っ張り出しているだけ。兵士の霊は水に流したはずの昔の怒りと憎しみを引き出し、復讐させることで自分の怨念を晴らしてたからね。

サムは地上でメロドラマを展開しており(笑)、兄の喪失の痛みを、同じものを抱えているアメリアとの出会いで乗り越えようとしていた。それを兄以上に認められないファンの気持ちもわかるけど、見かけとは逆に、基本ディーンは過去志向でサムは未来志向。ディーンが過去向きなのは、責任を負おうとする長男体質が根っこにある。いつまでも幼い弟、地上を知らぬ天使を俺が守らなきゃという想いが抜けない。先のことはわからないし、ハンターは考えちゃいけないと思ってる。
でもサムは、復讐に走ってた時や自己犠牲の選択をした時以外は、ハンターをしていても“将来”を考えてた。

ディーンが、怪物を狩り生き延びるだけの煉獄を“純粋”と感じたのは、ハンターであり続けることを選んだからじゃないのか。魂がなかった時のサムを、お前自身が選んだことなんだよ!と言うのなら、自分も不可抗力で煉獄に飛ばされたとは言えず、無意識にも戦いの場を選んだとも言える。
だってディーンはS7で、色々な相手からハンターを選択する覚悟を問われて、そうすることを決めた。フランク、エリオット・ネス、少女のクリシー。

互いの選んだ世界で、この一年感じたことを、価値観が違う相手にどう伝えるか。
いつも一緒で会話も多いのに、伝えベタな兄弟は、またそこにかかってる。

サムとアメリア劇場は、ついに事後のベッドに。すみやかな進展だな! しかし酒の力は借りている(笑)
ここでアメリアはアフガニスタンで戦死した夫がいたことを語る。でも翌朝には、全部忘れて!と。
このひと、タカピーじゃなくて完全にツンデレだよね。そしてサムの兄喪失の告白を聞くと一転、「みんな言っちゃえば」とサバサバ。男前。
ん? 弱みを見せたがらず、ツンデレで、他者の苦しみには胸を貸し、自分は抱え続けてる美人…ってどこかに。
兄貴じゃねえか! それを言葉とパピーアイで落としていくって、兄にしてることじゃないか!
これまでサムが惚れた女性は、教養が高くて頭の良い、しっかりした女性がほとんど。
アメリアもそれにならってるけれど、あのツンデレぶりと揺れは今までにないタイプ。だから投影なんだよなあ。
この時点ではわかってないけど、互いの大切な人が生きていたという展開で、どちらを選ぶかというのも同じ。

憑りつかれたディーンは「俺を見捨てて女を取った!」などと、愛人に走った亭主に切れた古女房みたいなことを叫び、腐女子の兄弟派をモギモギさせ、兄と天使派をほくそえませたりしましたが。
実は“兄貴がいないとどうしていいかわかんないよだから女のひとんとこいくよ”のサミークオリティであるのだよ(確固たる自説)
しかしサムも、「自分がバラバラになって、その破片がやまない雨のように降りかかったよ」などとポエム表現で女を口説いてる暇があったら、兄貴捜せよとは思う私も(笑)

サムが兄を捜しながらハンターを続け、その中で出会った女性と恋愛してたら、ディーンは怒らなかっただろう。傷ついたのは自分を捜しもしなかったことと、もう一つ、弟がハンターを捨てたこと。
リサやベンを諦めてもハンター業を選んだ、選ばざるを得なかったディーンは、どれだけの経験を経てもなを、弟が根本ではハンターを宿命だと思ってないことこそが受け入れられないんだよね。真っ先に言ったのが、「ハンターになりたくなかったんだろ」だもの。
この根深い相違こそが、ウィンチェスター兄弟の長年の揉め事の基本。なんで今更シーズン1に戻んのよ!とも言われた展開だけど、ここらにメスを入れるのはわたし的には見応えある。ぶっちゃけ、天界のわけわからんいざこざの方が食傷してるので、辛くとも兄弟の葛藤に焦点を当てる方が本筋だと思ってる。まあ描き方によるというのはあるが(笑)

「ああ、お互い大人げないことをした」「ディーンにも訳があったようにな! ベニーさ!」のサミーちゃんは、自分だけでなく必ず相手にも非があったと展開していく弁護士ディベート術と、単なる弟節の「あにきだって!」が混ざってて笑いました。これぞサミー。
正気に戻ったディーンに逆切れしてるし(笑) 
でもこの「僕は全部ゆったのに兄貴はだまってた!」の弟節が、今度はサムの中に根深い哀しみを残したことが、あとの方の話で分かるという…。
ディーンの「この一年、ベニーはまさに兄弟だった。実の弟よりもな!」が、あとでどう響いてくるか。

いやあ、ものすごくイケズだしわかりにくいし、全編通さないとキャラ心理(主にサム)が見えてこないというこの展開。兄弟が仲違い辛い、サム酷い!という方々の気持ちも汲めますが。
おいらカーヴァー節、クルわ(笑)← あきらめちゃいかんのは視聴者もですぞ!

兄弟夫婦大修羅場に立ち合ったガースご苦労さん! 兄弟よりも君の勝ち!(北の勝ち!@東地さん声で)
能天気なだけじゃない、自分の中に澱みや膿を溜めないことを選んでる君はエライ。彼のおかげで、修羅場ありだけど楽しい回に。
あそこで本当にディーンがサムを撃ち殺す展開にはなるはずがないんだが、そうなってたら兄貴はもう立ち直れなかったはず。たとえ生き返えらせても、自分の絶対神域、弟を守るを破るんだから。
それはまた、シーズン9から10にもつながる部分らしい…。



コメントを投稿