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調剤薬局の休憩時間

なかなか外では話せない(?)薬局の話です。
薬の使い方、保険・レセプトなどにもふれたいと思います。
基本雑多です。

タミフルドライシロップがのめません

2012-02-01 15:50:18 | 薬について
タミフルドライシロップ(タミフルDS)はのみにくい、という話を聞きます。

一応ヨーグルト風味が付いているのですが、あとに独特の味が残ることが嫌われているのでしょうか。

私が勤務する薬局でも、タミフルDSが処方されると、
「タミフルはのめないんです。他の薬に変えられませんか」
と親御さんから尋ねられることがあります。

しかし、リレンザにしろイナビルにしろ、うまく吸入できなければ意味がありません。
特にイナビルは独特の味と苦みがあるので、小さなお子さんには難しいでしょう。

吸入に不安があればタミフルDSということになります。
でもタミフルDSもなかなかのめなく、親御さんにしてみれば大変な作業になるわけです。

しかし、タミフルDSとムコダインDSを混ぜると、これが嘘のようにおいしくなります。

私の薬局では、後発希望の患者には方はカルボシステインDS50%「タカタ」を使用しています。
たまたま採用していたからですが、はっきりとしたピーチ味は先発に遜色ありません。
これ以外でもしっかりとピーチ味がついていれば問題なく使用できると思います。

タミフルDSとムコダインDS(またはそのGE)との混合は、メーカーに尋ねたところ、安定性には問題がないそうです。

混合の指示があれば、薬局でも計量混合加算がとれます。
薬局としてもおいしい話です。

そして小さな子供にも嫌がらずにのんでもらえ、親御さんとしても助かります。

お困りの方はお試し下さい。
一度処方医にタミフルDS単独と、タミフルDS+ムコダインDSの味を比べていただくといいでしょう。

医師は意外と製剤の味など知りませんから。

追記
友人から、タミフルDSはピーチ味なら大抵おいしくなるとの情報を得ました。
どうしてもムコダインDSなどとの混合が無理な場合、桃の天然水や桃ネクターなど、ピーチ味のジュースやアイスなどと混ぜるとおいしくのめるそうです。
こちらもお試し下さい。



鑑査

2011-11-11 13:04:14 | 薬について
鑑査の時、医薬品名、剤型、規格、メーカーを確認することは当然のことです。
これらは皆さんも日常業務で行っていることと思います。

ある調剤薬局グループでは1文字鑑査ということもしているようです。
鑑査の時、ヒートの文字を処方箋と突き合わせ、1文字ずつずらして確認していくというものです。
慣れればそうでもないのでしょうが、時間がかかりそうです。
また、必ずしもヒートの適切な位置に薬品名等が記載されていないこともあります。

鑑査は慣れると結局流れ作業になってしまいます。
見ている「つもり」になってしまい、結局のところ何も見ていないことと同じになってしまいます。

私は鑑査の時、「音(おん)」で処方箋との突き合わせをしています。
その時、処方箋の該当する音のところに鉛筆で○を付けていきます。
どういうことかは次の例を参照してください。

1.メインハーツ錠2.5の場合
ご存じの通りメインテートのGEです。
字面はかなり似ています。
これを「メイ・ン・ハー・ツ・錠・2.・5」と音で区切っています。
メインテートでは「メイ・ン・[テー]・[ト]・錠・2.・5」となり、[ ]の部分に音の違いが出ます。

2.オメプラゾン錠10mgの場合
同じく音で区切っていきます。
「オメ・プラ・ゾン・錠・10mg」となります。
これをGEのオメプラゾール錠10mgと比べると、「オメ・プラ・[ゾー]・[ル]・錠・10mg」となり、[ ]のところで違いが発見されます。
当然、GEの場合、メーカー名が記載されていれば、そこまで同じことを行います。

その他外用では、軟膏かクリームか、点眼か耳科用製剤かも同じように行います。

もうひとつ他の方と違うことと言えば、集薬された薬剤をランダムに取り、処方箋と突き合わせます。
大抵の方は処方箋を先に見て、該当する薬剤を探し、チェックをしています。
私はあえてその逆をやっています。

具体的には次のようにやっています。
0.集薬された薬は間違っていると決めてかかります(気持ちの問題ですがこれは重要です。間違い探しのようなものです)。
1.適当に手に取った薬剤の名称を確認します。
2.ゴムで止められた薬剤の数量を確認します。
3.扇を広げるようにずらし、裏表を確認し、同じ薬剤か、ヒートに欠落はないかも確認します。
4.手に取った薬剤が処方箋にあるかチェックします。
5.あれば先ほどの音でのチェックをします。
6.正しければヒートの枚数やバラの数を書き込みます。
 例えば、ヒート2枚なら○で囲んだ2、バラ4錠なら4のように書きます。基本的に最小限のまとまり(ヒート、チューブやパックなど)は○囲み数字で表しています。
 1回2錠の服用の場合など、「1回2個」と書いた2cm×5cm程度の紙をゴムの間に挟み込みます。これで倍量あることを確認できます。

このとき重要なのは、小さな声に出すと言うことです。
声に出すことによって認識度が格段に上がります。
あまり大きいと他の方の仕事の邪魔になるので気をつけてください。

当薬局では薬袋に薬剤名が印刷されます。
監査が終わった薬剤は薬袋の上に並べていきます。
最終的に薬袋に記載された薬剤と、監査が終了した薬剤が合っているかを確認します。

それでもこの数年の間に1回だけ間違えてしまいました。
ウィークリーヒートのおしりが2錠欠けていたものが中程に挟まっていたのですが、見逃してしまったのです。
このときは熱があってボーッとしていましたが、そんなことは言い訳にもなりません。

皆さんも薬局や会社で決められたやり方があるかと思います。
それがどうしてもやりにくかったり、間違いが改善できなければ、こんなことも試してみてください。

人間がやることですので、間違いはつきものです。
患者と一緒に確認することが最良かもしれませんが、面倒くさがる患者も多々いることは否めません。
ですから、調剤室から出たときには、できうる最高のことを終えている必要があります。

それと、体調は万全に。二日酔いなど以ての外です(^_^;

後発医薬品の調剤

2010-07-12 06:05:17 | 薬について
後発医薬品(GE)の採用が少しずつ広がっています。
当薬局でも、今年に入ってからどうしようかと喧喧諤諤として全然まとまりがつきませんでした。
それでもお上は鼻の前にニンジンをぶら下げて、GE調剤を半ば強制しています。
GE調剤を希望する患者も増えてきています。

いよいよ待ったなし、というところまで来ているようです。

GE採用にあたり、まずは医師の意見を聞きました。
医師からは薬剤の動態に関しては薬剤師の方が専門家だろうから、いくつか候補を挙げてくれとの回答がありました。

そこで、採用できそうなGEに関し、添付文書やメーカーのHPから溶出試験と血中濃度のデータを取り出し比較しました。

しかし、慎重派もいれば生物学的に同等なら問題ないという者もいて、何度話し合いをしても話はまとまりませんでした。

時間は過ぎていきます。

そこでまず、いくつか候補を挙げ、医師と相談し使用するGEを決定しました。
次に初めてその薬を使う患者に対し、GEを使用することにしました。
今まで使用していた薬剤を急に変更することは、医師も患者も不安が大きいと考えたからです。

また、GEに変更した患者の3人に異常や効果不十分などの所見があれば先発に戻そうと決めました。
3人という人数は統計的な意味はありません。
把握しやすいだろうという人数で決定されたものです。
ひとつの医療機関(薬局)で変更した薬で、3人に変化があれば十分という気がします。

患者にきいてGEへの変更に抵抗がない場合はGEに変更することにしました。
ただし、基本的にひとつずつの変更とし、一度に変更することはやめました。
体調に変化がなければ次を変更というように、段階的に変更することにしました。
患者の強い希望があれば全部の変更としました。

GE変更に関しあまり不安を煽っても意味がありません。
次の来局のときには
「GEでも大丈夫ですか?」
とは聞かずに、
「お薬の名前など変わりましたが、ご心配などはありませんか?」
というように聞くようにしました。

今のところランソプラゾールとボグリボースに関しては先発に戻しました。
ランソプラゾールはどうも先発のほうが効くようだと患者の感想がありました。
ボグリボースに関しては血糖値がやや高くなったとのことです。

そのほかのGEに関しては今のところ変更はありません。

体調も変わらず負担金も安くなっているので、おおむね好評です。

無理に先発を使い、患者が医療費を節約するために間引いて服用するのと、負担金が安くなり毎日服用するのではどちらがより好ましいでしょうか。

GE調剤はそのようなことも問いかけているのではないかと思います。


服用開始はどうする?

2010-06-14 06:43:13 | 薬について
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合カプセル剤の処方箋を持って患者が来ました。
当薬局には25mgは在庫してありましたが、患者が持ってきた処方箋は20mg。
4Cap 分2 朝夕食後服用 7日分でした。
当薬局では初めての処方です。
夕方遅くで卸にも在庫がなかったため、患者にその旨説明して次の日に取りに来てもらうことにしました。

次の日、薬を取りに来た患者に聞き取りをしました。
・既に入院中から服用している。
・7日間服用し次の7日間は休薬する。
・嘔気、下痢、口内炎、味覚異常、食欲不振、色素沈着などの副作用はない。
・食事もおいしく食べられている。

検査値はわかりませんが、患者が感じ取れる副作用はなさそうです。
患者自身も元気で、明るく話していました。

帰り間際、「今日の昼からのむことにする」と言いました。
今日の昼から?
1日2回、朝夕食後の服用です。
それは正しいでしょうか?

私は昼からの服用は中止させ、夕食後まで待つようにいいました。
なぜでしょうか?

実は以前にメーカーに尋ねたことがあります。
用法はきちんと守り、服用間隔は8時間以上あけることとありました。
つまり、昼から服用するとその時間をきっちり覚えておかなくてはならず、次の服用が極めて難しくなるからです。

この手の薬の場合、すぐにでも服用させた方がいいのでは、と考えがちです。
しかし、それ以上に、重大な副作用があることを意識していなくてはなりません。
患者が昼食後(12:00)に服用し、18:00に夕食を食べ、そこで服用しないとも限らないのです。
服用間隔が短くなれば血中濃度は上がり、副作用が出る可能性が高くなります。

入院中は食事も服薬もしっかり管理されているため、効果発現に十分かつ副作用軽減の血中濃度が保たれていたと考えられます。

私も10数年前に2か月ほど入院しましたが、朝食は7:00、夕食は18:00でした。
さらに食事を摂らなくても(食事に問題のない薬は)時間で服薬と決められていました。
分2の薬の場合、概ね1日を均等するようになっていましたし、分3の薬でも種類によっては6~8時間の間隔で服薬していました。
これらは血中濃度を一定に保ち、効果と副作用を十分に考えた結果だったのです。

不明な点があれば、すぐに処方医に確認することも大切です。

そしてこの患者には、必ずお薬手帳を持ってもらい、併用禁忌につながらないよう注意してもらうようにしました。
もちろん、日記のように体調変化のみならず、食事内容や味の感じ方なども書いてもらうように話しました。
また、日常生活も尋ね、食事の時間なども確認しました。
その上で、飲み忘れがあったときは無理に時間をずらして服用せず、次の回まで待つようにお話ししました。

患者も理解を示し、今のところ問題なく継続しています。


スタチンの併用注意をどう考える?

2010-06-07 05:39:26 | 薬について
ロスバスタチンカルシウムは効果が高いということで、最近処方量が多くなっている抗コレステロール(Cho)薬です。

女性は閉経後、Cho値が高くなる傾向があります。
エストロゲンが肝のレセプターに働きかけるため、閉経後では肝でのCho代謝が低下することが理由といわれています。

女性に多く処方されている薬剤にはまた、塩類下剤があります。
いわゆる酸化Mg製剤です(水酸化Mg製剤もあります)。
女性の半数以上は便秘で悩んでいるとも言われています。
さらに、便秘患者の90%は女性というデータもあります。

皆さんも、女性にロスバスタチンと塩類下剤の同時処方を、よく目にするのではないでしょうか。

実はこれが結構くせ者だったりします。

ロスバスタチンの添付文書の併用注意の欄には、次のように記載されています。
水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウム:
本剤の血中濃度が約50%に低下することが報告されている。本剤投与後2時間経過後に制酸剤を投与した場合には,本剤の血中濃度は非併用時の約80%であった。

添付文書は水酸化Mgですから、MR氏に酸化Mgについてはどうか尋ねてみました。
MR氏が言うのには、Mg、Alなどとキレートを形成するので、添付文書上の記載はないが、酸化Mgも2時間あけた方がよいとのことでした。

50%に低下してしまえば、当然、2.5mgの薬効を得るためには5mgの投与が必要になります。
もし、医師がこのことを知らずに2.5mgを投与し、思うような効果が得られなかったら薬剤の変更や用量の増加、多剤併用などもあり得るでしょう。
また、今まで以上に厳しく食生活の見直しや運動を勧められ、他の障害が出ないとも限りません。

しかし併用注意なのです。
さほど大きな問題ではないととらえてもいいのかもしれません。

それでも私は、基本的にMg製剤などの処方をずらします。
それは元々、酸化Mg製剤は調節服用が日常的に行われているということがあるからです。
しかし、1)排便時間など生活に支障があり、2)多少の服用法の変更に理解がある医師の処方であるなどの条件があれば、ロスバスタチンの服用時間をずらすようにしています。
もちろん、服用法を変えていますので、処方医にはその旨を伝えます。

Caについては質問しなかったので回答はありません。
ただキレートを形成が効果減弱の理由なので、Ca製剤や乳製品の摂取には注意しています。
Mg、Al、Caなどを含むサプリメントなどは時間をずらすか、摂取しないように話しています。

また、アトルバスタチンと同様、HbA1cの上昇があるとの報告もあります。

さて、皆さんならどのように服薬指導をするでしょうか。