私が傾聴ボランティアに行っている施設では全て個室なので、しかも施設側が傾聴してほしい人は、あまり他の入居者と交流したがらない人と話してほしい、と言われるので、最近は慣れましたが行き始めた頃は毎回苦労しました。
まず初対面で部屋に入らせて頂けることは稀です。施設の担当者さんは入居者さんとは慣れていますから、気軽にノックして「~~さーん、話し相手のボランティアさんが来ましたよ~。おしゃべりしてみませんかぁ?」とか言ってますけど、
そのやり方で、あらどうぞ~となるパターンはゼロです。
それならと午後のお茶の時間に食堂にいる時に一緒にお茶を飲みながら…など試してくれる職員さんもいますが、次の回に違う職員さんが担当するとまた部屋へ直接行って玉砕(笑)するパターンになります。
私も慣れてきたら色々考えて、部屋じゃなくて廊下やナースステーションの近くで過ごしている時の入居者さんに近付いて話しかけてみたり、
部屋へ行くときには職員さんに、「日本舞踊の写真を見せてほしいと言う人が来てるんですが、と言ってみてください」などと入居者さんの趣味だったことなどを言ってもらうと部屋に入れてくれることがあります。
きちんとした目的を持って来た人を無下に断ることはしないのです。
ただ、おしゃべりしませんか、では、話し相手?ワタシは要らないわよ。1人で休んでいたいから部屋にいるのよ。となってしまいます。
入居者の中でもプライドの高いある人がいるんですが、初めてその人の部屋に案内された時には、玉砕パターンで私も部屋の入り口から一歩入ったあたりに立ってたものですから(後で大いに反省しましたが)その方は怒ってしまいました。何なの?初対面でいきなり部屋まで来るなんて!みたいな感じでした。
高齢の方にこちらの都合や理屈は通じないのです。
日にちが経って再びその時とは違う職員さんがその方の部屋に案内しようとするので、私は「~~(ある外国の都市)について聞きたいという人が来ていると言ってみてくれませんか」とお願いしました。以前、怒られながらもその方が昔その外国の都市に住んだことがあると話してもらったからです。
そうしたらすんなり部屋へ入れてくれて、椅子をすすめてくれて、もちろんその時も<初対面>の私にその外国の都市での生活の心得のようなことをたくさん話してくれました。いつのまにか私のことを何か大事な任務をもってその国へ赴く人のように思われたようで(私は決してそのような雰囲気は出してませんが…)いろいろ話してくれました。
その人の人生の中で輝いていた時期のことを話される時、その人自身も眼が輝いて背筋をピンと伸ばされてよけい美しく見えます。
また話して頂けるようにこちらも勉強しておきます……