内藤環境管理株式会社の”あなたの分析室”だより

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蛍光X線分析② データ解析編~より正確なデータを!~

2010-06-21 10:58:41 | 技術情報 製品分析

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べん:こんにちは、べんです。

あむ:こんにちは、あむです。

べん:今回は蛍光X線分析法(以下XRF分析)のデータ解析に

   ついて話そうと思うんだ。

あむ:より正確なデータをご提供するための当社の工夫が

   聞きたいわ!

べん:まず、XRF分析の特徴についてもう少し詳しく話すね。

   前回簡単に説明したけど、XRF分析は対象試料にX線を

   当てて分析しているんだったよね。

   逆に言うと、X線が当たる範囲とその表面しか分析でき

   ないんだ。

   厳密には材質によってX線が透過する割合が違ってくる

   から単純に表面分析ではないんだけど…。

あむ:透過し易い材質だと、どうなっちゃうのかしら?

べん:有機物は簡単にX線が透過してしまうんだけど(数百

   μm~)、例えば、印字された紙の塗料の部分を測り

   たくても塗料を透過しちゃうから、塗料の部分と紙の

   部分を分離して測ることが出来ずに、正しい値が得ら

   れないんだ。

   金属はX線を透過し難いけど、それでも数μm~数十μm

   は透過してしまうんだ。

あむ:それじゃ、塗膜やめっき層で覆われた素材を正確に

   測定することは難しいのね。

べん:そうなんだ。

   正確なデータを得るために、X線が当たる面が均質

   試料(同一素材で構成されている)であることは

   大前提なんだけど、XRF分析では深さ方向にも均質で

   あることが求められるんだよ。

   加えてX線が当たる面に凹凸がないことも重要だよ。

あむ:均質試料だけど、フィルムのように薄くてX線を透過

   してしまうものは重ねて測れば良いのかしら?

べん:その通り!

   プレスして重ねたり、粉体にして嵩を増したりと、

   いろんな工夫でうまく測ることが出来るようになるん

   だよ。

   厚みを与えることで、測定のばらつきも小さくなって

   精度も上がるんだ。

あむ:他に正確なデータのために注意することはあるの?

べん:XRF分析に限らず、分析には必ず“ばらつき”がつきもの

   だけど、XRF分析ではその“ばらつき”をσ(シグマ、

   標準偏差のこと)と言って、σの3倍(3σ)がその時

   の分析結果の定量下限になるんだ。

   つまり測定値は必ず3σ以上でないと、その値は結果と

   して信頼できないってことにもなるんだ。

   だから、装置からの分析結果に必ずσ値が付いているんだ。

あむ:うーん、よくわからないわ!

べん:言葉で説明すると難しくなってしまうね。

   例えば、ある試料の鉛の測定結果が100ppmだったとするね。

   その時のσ値が30ppmだと…。

あむ:3σは90ppmね。

   測定値100ppm>90ppmだから測定値は大丈夫ということ?

べん:そうそう。

   でもここで注意して欲しいのが3σは測定値の“ばらつき”

   ということだから、測定結果は本当は100ppm±90ppmになる

   んだ。

あむ:本当の結果は10から190ppmの間ってこと?

   随分大きなばらつきね!

べん:そうなると、より正確なデータのためにはσ値が小さく

   なるほど誤差が小さくなるということになるよね?

   σを小さくするには、測定時間を長くしたり、試料の厚み

   を十分取ったりするなどの工夫が必要なんだ。

あむ:正確なデータのためには他にどんなことに気を付ければ

   良いの?

べん:他の機器分析にも共通することだけど、共存物質の影響を

   見極めることが大切だと思うよ。

   共存物質の影響によって、本来含有していない元素が含有

   されているような結果が出てしまうこともあるんだ。

   どの元素がどういった共存物質に影響されるかの解析は

   ノウハウに近いところもあるみたいだよ。

あむ:簡単に測れる装置だと思っていたけど、経験も必要なのね。

   私ももっと勉強します!

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