べん:こんにちは、べんです。
あむ:こんにちは、あむです。
べん:このブログでも何度か紹介している製品分析だけど、どの分析
も前処理が大変そうだったよね?
(過去記事「RoHS指令の金属分析について」をご参照下さい。)
あむ:分析者のノウハウが活きる部分だと思うけど、物によっては
分解や抽出にとても時間が掛かってしまうみたいだったね。
べん:それが、面倒で時間のかかる前処理をしなくても製品中の有害
物質の値がわかる分析装置があるんだよ。
蛍光X線分析法(以下XRF)という分析方法なんだ。
あむ:それは便利な装置ね!たしか当社にもあったよね(写真参照)。
前処理が要らないということだけど、どうやって分析しているの?
べん:まず簡単にXRFの基本的な原理を話すね。
サンプルに入っている分析対象の元素にXRF装置から出てくる
X線を当てるとその対象元素固有のX線が出てくるんだけど、
その強さを測ることでおおよその含有量がわかるんだ。
時間はサンプルによるけど、大体数分から数10分程度で測れる
んだ。
あむ:前処理だけで1日以上かかってしまう精密分析に比べると格段に
早いのね。
X線を当てるだけでわかってしまうの?
べん:そうなんだ。
それに時間が掛からない分、コストも精密分析に比べると低い
んだよ。
でも、デメリットもあるよ。
前処理を行う精密分析に比べると、どうしても精度では劣って
しまうんだ。
だから、あくまで高含有かどうかのふるい分け(=スクリーニング)
に用いられるんだ。
例えば、同じサンプルでICP分析でカドミウムを測定した場合
には5ppmまで測ることが出来てもXRFだと50ppmまでしか測定でき
ない(=定量下限が高い)んだ。
あむ:それでも、サンプルを酸に溶かしたり、溶媒に漬けたりすること
で、元のサンプルがなくなってしまっていたけど(=有姿を保て
ない)、X線を当てるだけのXRFならそんなこともなさそうね!
べん:そういう分析を非破壊分析と言うそうだよ。
有姿を保てるから、1度XRF分析を行ってみてその結果が高含有
だったり、閾値(=基準値)付近だった場合には、そのサンプル
をそのまま用いて、次のステップとして精密分析を行うことが
できるんだ。
あむ:精密分析とXRFスクリーニングをうまく使い分けることが合理的
に測定する1つのポイントなのね。
べん:スクリーニングといっても、正確なデータを出せないと精密分析
に回す数が増えてしまってコストが掛かってしまったり、納品先
で精密分析をした際に問題が生じてしまう恐れもあるよね。
扱いが簡単な装置だけど、サンプルによってはデータの解析が
難しい場合も多く、前処理とはまた違った意味でのノウハウも
求められるんだ。
あむ:その点当社では今までも様々な種類のサンプルのご依頼を頂いて
いるので、経験は豊富なのかしら?
べん:そうだね。
それじゃ次回はそのあたりのXRF分析のデータ解析について詳しく