内藤環境管理株式会社の”あなたの分析室”だより

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蛍光エックス線分析①

2010-05-17 14:40:19 | 技術情報 製品分析

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べん:こんにちは、べんです。

あむ:こんにちは、あむです。

べん:このブログでも何度か紹介している製品分析だけど、どの分析

   も前処理が大変そうだったよね?

  (過去記事RoHS指令の金属分析について」をご参照下さい。)

あむ:分析者のノウハウが活きる部分だと思うけど、物によっては

   分解や抽出にとても時間が掛かってしまうみたいだったね。

べん:それが、面倒で時間のかかる前処理をしなくても製品中の有害

   物質の値がわかる分析装置があるんだよ。

   蛍光X線分析法(以下XRF)という分析方法なんだ。

あむ:それは便利な装置ね!たしか当社にもあったよね(写真参照)。

   前処理が要らないということだけど、どうやって分析しているの?

べん:まず簡単にXRFの基本的な原理を話すね。

   サンプルに入っている分析対象の元素にXRF装置から出てくる

   X線を当てるとその対象元素固有のX線が出てくるんだけど、

   その強さを測ることでおおよその含有量がわかるんだ。

   時間はサンプルによるけど、大体数分から数10分程度で測れる

   んだ。

あむ:前処理だけで1日以上かかってしまう精密分析に比べると格段に

   早いのね。

   X線を当てるだけでわかってしまうの?

べん:そうなんだ。

   それに時間が掛からない分、コストも精密分析に比べると低い

   んだよ。

   でも、デメリットもあるよ。

   前処理を行う精密分析に比べると、どうしても精度では劣って

   しまうんだ。

   だから、あくまで高含有かどうかのふるい分け(=スクリーニング)

   に用いられるんだ。

   例えば、同じサンプルでICP分析でカドミウムを測定した場合

   には5ppmまで測ることが出来てもXRFだと50ppmまでしか測定でき

   ない(=定量下限が高い)んだ。

あむ:それでも、サンプルを酸に溶かしたり、溶媒に漬けたりすること

   で、元のサンプルがなくなってしまっていたけど(=有姿を保て

   ない)、X線を当てるだけのXRFならそんなこともなさそうね!

べん:そういう分析を非破壊分析と言うそうだよ。

   有姿を保てるから、1度XRF分析を行ってみてその結果が高含有

   だったり、閾値(=基準値)付近だった場合には、そのサンプル

   をそのまま用いて、次のステップとして精密分析を行うことが

   できるんだ。

あむ:精密分析とXRFスクリーニングをうまく使い分けることが合理的

   に測定する1つのポイントなのね。

べん:スクリーニングといっても、正確なデータを出せないと精密分析

   に回す数が増えてしまってコストが掛かってしまったり、納品先

   で精密分析をした際に問題が生じてしまう恐れもあるよね。

   扱いが簡単な装置だけど、サンプルによってはデータの解析が

   難しい場合も多く、前処理とはまた違った意味でのノウハウも

   求められるんだ。

あむ:その点当社では今までも様々な種類のサンプルのご依頼を頂いて

   いるので、経験は豊富なのかしら?

べん:そうだね。

   それじゃ次回はそのあたりのXRF分析のデータ解析について詳しく

   話すね!

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