クオリティー・オブ・ライフ QOL

医院・クリニック開業コンサルタント 佐藤 徹

メディカルタウン構想に対する考察

2017-07-25 18:15:21 | 日記

  その昔、今から25年以上も前に、診療科の違う複数のドクター同志が集まって、同じ敷地の中に共同出資で戸建の建物を建て、検査機器などを共有する「グループクリニック構想」なるものが、流行り始めた時がありました。お互いに資金を捻出しあい、同じ建物の中で共同経営を行うという構想です。その後この構想は、利害と目的にアンバランスが生じ、最終的にはもつれあい、上手くいかなかったケースが見受けられました。

  上記のように、利害は絡み合わないとはいえ、同一敷地内に違う診療科の医療施設がワンストップで建ち並ぶ、メディカルタウン構想も一見考えると集積性があり、患者にとっても便利なようで、開業を目指すドクターにとっても、飛びつきたくなるような魅力を感じることは、無理のないことのように思えます。しかし、余程用心深く判断をして頂きたいと思うのです。旨そうな話には裏があることを考慮し、開業を希望する医師自身が地域の実態をくまなく調べ、納得がいく(患者様が絶対に来る)場所であるかを理論的に検証してみることをお勧めしたいのです。

  過去にある大手デベロッパーが、新しく出来たばかりの大型団地の入り口に「クリニック開業最適地!3区画!」という、大きな看板を掲げ、開業希望医を募集していました。私にも、どなたか居ませんかという相談を持ちかけられたことがありますが、お断りしたのです。

  理由はというと、いくら数百区画の団地といえども、団地購入者のほとんどは、30代40代が多く、若い年代の傷病率はとても低いのです。ましてや働き盛りのこの年代は、昼間ほとんど働きに出ており、昼間人口が極めて減少する場所だったのです。(結局売れなかったので良かったのですが)

  このように、不動産絡みで、基本的な基礎調査を行わず、「販売ありき」のみで誘致を乞おうとする業者には、執拗なほどの用心が必要だと思うのです。

  ひいては後々に苦労するのはドクター自身なのですから 。