きらせん

仙台のきらめき










東北大学公共政策大学院准教授
佐分利 応貴

 「加美町LOVE」

2008-01-08 22:03:35 | Weblog
  今年初めての公共政策大学院ワークショップの授業。
  昨年12月21日の加美町役場での中間発表以来、約2週間半ぶり。
  学生はその間、十分に試験勉強 and/or 就活のための修行に励んだはず。

  さて、加美町活性化の取組については、河北新報の元旦の紙面に特集記事「地域大学 新時代」の8回連載の第1号として大きく取り上げていただいた。 
    
  

  「加美町東北大公共政策大学院」「農村振興へ処方箋提言」として、加美町における学生達の取組が紹介されている。8回連載のトップを飾る、しかも元旦の紙面を飾れるというのは、大変な名誉である。記事を書いてくださった河北新報加美支局の門田記者や、この特集を企画し、東北大公共を選んでいただいた編集部の皆様に心から感謝申し上げたい。
 (取組の中身より、やはり東北大というネームバリューのおかげか?)

  学生達は、ほぼ毎週、レンタカーを借りて、あるいは宮城交通のバスに乗って、加美町を訪れ、ある時は文化祭のスタッフとして、ある時はマラソンイベントの参加者として、汗を流してきた。こうした情熱や誠意が「片思い」に終わるかどうかは、加美町の方々の心意気次第である。

  「よそもんがちょっと町に来て調べて、偉そうに提言なんて」 という声ももちろんある。半年の調査で会える人、聞ける話にも限りはあろう。
  だが、経産ゼミでの実績にあるように、学生にもできることはたくさんある。
  時間をかければ、たった一人の力で地域を変える、世界を変えることだってできるだろう。ガンジーが、マザー・テレサが、ジョン・レノンが世界を変えたように、ささやかな取組もネットワークでつながれば、波及効果と持続可能性を持てば、やがては世界を変える力になりうる。マイクロクレジットで貧困撲滅に取り組んだバングラデシュのムハマド・ユヌス氏がノーベル賞を受賞したように。

  ただし、あくまでも学生は外部者にすぎない。地域活性化の当事者ではない。
  当事者は町民一人一人である。
  一人一人が町を良くしたいと思うこと、その渦を作り出すこと。
  その渦を作り出すきっかけとなれれば、そして加美町に地域活性化に取り組むグループが一つでも生まれれば、このワークショップは成功といえるだろう。(できなければ失敗。基準は明快である。)

  昨日の経産ゼミのコメントに、こんなものがあった。
  「アパルトヘイト体制を最終的に終わらせる力として働いたのは、他国の経済制裁でも支配層の意識改革でもなく、活動家のスピーチでもなく、あらゆる場所にいる普通の人々に(子供を含む)よる日常的な抵抗が始まったことでした。特定の人物、集団を指令受けて取り締まる警察や軍隊のやり方では、この動きを抑えることはできなかったのです。
 → (ワークライフバランス(WLB)を)自分の問題として考え、行動する人が増えるとWLBに関することも解決すると思います。」
 
  そのとおりだ。そしてそれはWLBだけでなく、地域活性化の話でもある。
  地域の一人一人が、地域の問題を自分の問題として考え、行動すること。そういう人をどうやって増やすか。それがこのワークショップの課題である。
  こっちが情熱的に動くと、相手は受け身になってしまう。気をつけなければ。

  目指すべきはこっちが有名になることではなく、地域のコアメンバーが有名になることだ。そして、そのスポットライトが、コアメンバーから町全体に広がっていくことなのだ。そこを勘違いして舞い上がってはいけない。


  

最新の画像もっと見る