きらせん

仙台のきらめき










東北大学公共政策大学院准教授
佐分利 応貴

 「地域振興セミナー」

2007-10-18 22:40:42 | Weblog
  宮城県地域振興センター主催のセミナーに出席。
  講演者は出口富美子さん、相沢優氏ら。
  
  伊豆大島の隣の利島(としま)を元気にする話。
  利島の住民は300人。たどり着くまで船で1泊。現地についてもその日のうちには帰らず、必ず1泊しなければならない。
  村人は集まると人の悪口ばかりだったそうな(上勝町と一緒)。
  そこへ乗り込んだ出口さんは、椿の採集の邪魔になっていた“カラムシ”という植物から繊維をとりだし織物を作ることを提言する。(縄文時代はこの草から繊維をとり服を作っていたらしい。)

  画像:Boehmeria nivea 1.jpg カラムシ

  最初は島民は誰も見向きもしてくれなかったそうだが、「無知の強み」で1年半全国を周って試行錯誤し、繊維の水処理、乾燥のさせ方、色の出し方、織り方を工夫した。やがて地元の人の協力も徐々に得られるようになり、今では17人のメンバーが作品を制作し、物産展等で売っているとのこと。

  講演は、地域の「火のつけ方」について示唆に富むものだった。
  「三密力(さんみつりき:仏教用語)が大事。まずは思うこと、それを口に出すこと、そうするとやらざるを得なくなる。」
  「まずは地域の人の誰でもいいから100人に声をかけなさい。その中に2人ぐらいうなずいてくれる人がいる。その人を味方にすること。その2人の後ろには、さらに多くの人がいる。」
  「そして一緒にやること。自分はたいしたことなくてもいい。自分がたいしたことない方が、相手にとって自信になる。」
  「地域が元気になるということは、地域の人が一緒に活動すること。一緒に働いているうちに、悪口も減ってきて笑顔も出てきた。」
  「人生に失敗なんてない。“まだ成し遂げられないこと”がたくさんあるだけ。諦めたら」

  また、パネリストだったコンサルタントの相沢氏の話も面白いものだった。
  講演後ぶらさがっていろいろ聞いたが、やはり地域住民の力をどう引き出すかがポイントだという話で落ち着いた。「3年で成功失敗が決まる。ダメなところは3年やると「もういいか」となり続かない。」 仙台の秋保温泉に、利島から若い木材加工の研修生が来ているが、こうした地道な人作りが大事なのだと。

  日本は広い。面白い人がまだまだたくさんいる。
  そうした人たちに会えることが、仕事の醍醐味である。

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