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一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

昔のエッセイ

2025年04月01日 | 最近のできごと
 数日前、テレビで、出版社『秋田書店』のビルの解体工事現場で火事が起きたというニュースを見た時、
(そう言えば、秋田書店の雑誌にエッセイ書いたわ)
 と思い出した。
(何ていう雑誌だったかしら)
(何年前かしら)
(担当編集者、Sさん、STさん)
(その雑誌の編集長だったわ)
(どんなこと書いたかしら)
(雑誌は捨てたかしら、ううん、捨ててないわ、ううん、捨てちゃったかも)
(捨てる前にスキャンしてデータ保存してあるかも、ううん、してないわ)
 雑誌名も何年前かも書いた内容も忘れてしまったが、担当編集者の名前、しかもフルネームだけは、はっきり記憶している。
 STさんと知り合ったのは、出版パーティー会場だった。お喋りしていた編集者が私を紹介してくれたのだが、誰だったか覚えていない。
 年賀状のやり取りが続いて、ある日、定年退職の通知のハガキが郵送されてきた。
 パーティー会場で初めて会ったばかりで、エッセイの原稿依頼をされた。パーティーに出席すると、そんなことが時々あるけれど、歴史関係の雑誌には縁がないと思ったので、意外だった。その時、私は、
「歴史って私、詳しくないから、書けるかしら」
 初めての原稿注文は、うれしいもの。それに、歴史に関するエッセイなんて書けないとか忙しいからと断れるような売れっ子作家ではない。
 締切はかなり先だし、何とかなるかもと楽観的な気分で引き受けてしまった。私より上の世代のSTさんが、やさしくて温厚な感じでユーモアもあって雰囲気が良かったせいもある。
 ニュースを見た翌日、本棚を探してみた。ガラス扉越しに見えるのは単行本ばかりで、その奥に2重3重に重ねて詰め込んであるのを取り出していくのは時間がかかった。
(下段のほうに詰め込んだはず……)
 と検討をつけて、単行本を数冊ずつ取り出すのを繰り返して探したら、
(あった! 捨ててなかった)
 埋もれていた、なつかしい雑誌が出てきた。 スキャンしてデータ保存するつもりの雑誌のエッセイを切り抜かずにまとめておいた何冊かの雑誌の中にあった。
 書き出しとラストの文章だけチラッと読んでみたら、こんなこと書いたかしらというような、忘れきっていた文章を思い出した。
 奥付を見ると、〈編集人〉の名前は、私の記憶が正確だった。編集後記もSTさんが書いている。
 歴史小説を読む友人に助けてもらって書いたが、後日、郵送された掲載誌を見せたら、1箇所、ここは違うと指摘された。編集者が直してないのだから、いいのよとノーテンキに答えた記憶がある。

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