安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

着地

2022年01月14日 | 月刊ブログ

 新しい年がスタートしました。ようやくコロナ感染も終息に向かい、私たちの行動範囲制限が解除されつつありました。初詣の人出も昨年の数倍増え、何事もなかったかのように街に繰り出していました。しかし、そんな心の緩みにつけ入るように、新種のオミクロン株が拡大しています。完全終息にはまだ時間がかかりそうです。

 学生たちとの時間も残り少なくなってきました。今週から授業が再開して学生たちの笑顔が戻ってきました。感染対策を十分に行いながら卒業までの時間を大切に取り組んでほしいと思います。

 

 冬休み期間中は、いつものように、卒業生が顔を出してくれました。懐かしい顔もあれば、夏休み以来の人もいて、仕事のことなど楽しく、社会人の顔で話をしてくれました。

 先日は、夜間講座に来ていた男性が、一旦就職をしたけれど諦めきれずに勉強を続けて、念願の法務省専門官に合格をしたと報告に来てくれました。心理系の大学生でもなかなか合格できない職種なのに、仕事をしながら独学で受験をすることは、並大抵のことではなかったと、彼の、その努力に感服しました。講座に来ているときから、法務教官として青少年の更生に務めたいと言っていました。人となりは、穏やかでにこやかで礼儀正しい青年でした。初志貫徹で目標を達成できたその精神力は尊敬に値します。本当におめでとう!学校が閉まることを知って、こうやって急いで遠方から挨拶に来てくれること自体、求められる人材なのだと確信しました。

 

 体操の内村航平選手が引退を発表しました。地元出身ということで、私はずっと応援していました。「絶対王者がついに幕を下ろした。」と各報道機関で大きく取り上げられていました。内村選手は、2008年北京五輪から世界大会で個人・団体28個のメダルを獲得しました。全盛期は、「世界一美しい」と評された演技と寸分の狂いもない着地を世界中に披露しました。内村選手の引退には、国内外からその功績を称えるメッセージが届きました。

 最後の演技となったのは、昨年10月に北九州市で行われた世界選手権。東京オリンピックでの汚名を返上するためにもどうしても挑戦しなければならない大会でした。鉄棒で6位とメダルこそ届かなかったものの、1ミリも微動だにしない完璧な着地を見せてくれました。観客の拍手は鳴り止まず「会心の一撃。あの着地はもう出せない」と、多くのファンの心にも刻まれた演技となりました。「今まで散々こだわってきたものが今日の最後に出て、全てをいろんな人に伝えられた嬉しさがありますね。」とインタビューに答えていました。

 その演技で、内村選手は、あと一歩で金メダルを逃した後輩の橋本大輝選手に対して「着地を止めなければ世界では勝てない」ことを、世界で結果を残してきた王者としてのメッセージとして若きエースに向けて発していたのです。
 橋本選手は大会のあと「内村選手が世界で勝ち続けてきたことの難しさを身を持って知ることができたし、自分の課題が着地だと気付かされた。いちばん大事なところで着地をしっかり決めるすごさを感じられた」と話していました。

 体操人生でこだわってきた着地は、見る者を沸かせたいという内村選手の美学でもありました。「練習では着地するのもいっぱいいっぱい。(東京五輪以降は)一回も止まってないし、止められる次元じゃない。」と満身創痍で言いながら、本番でこそしっかりと決めたところは、流石というほかありません。「ウチムラ」という技名がなくとも、私たちの記憶にはしっかり刻まれています。

 

 学校ではほとんど学生が就職を決めていますが、公務員試験の最終内定を待っている人や、これから追加募集の試験を受ける人もいます。いつまでも続く長い就職活動に、悩んだり苦しんだり諦めかけたりした分、合格した時の喜びはひとしおではないかと思います。必ずその日が訪れることを信じて、今日も今週末に行われる面接試験の練習をします。

 就職することは、この学校に来た学生の着地点です。紆余曲折の就職活動であっても、卒業するときに行き先が決まっていることが、この学校を卒業するときの着地点であり、この学校の存在意義です。

 最後まで使命感を持って、全員の就職を決めるために取り組まなければならないと、内村選手のコメントを聞きながら、決意を新たにしました。そして、この学校の着地も決めていこうと思いました。

 Photo by Mizutani


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