安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

しあわせの空間

2021年11月19日 | 月刊ブログ

 自宅と職場を行き帰りするだけの毎日がどれだけ続いたことでしょう。季節の移ろいも感じることができずに、月日が過ぎていったことを後悔する日々です。

 いつもなら、この時期にはキンモクセイの香りを感じながら遠くの山々に鮮やかな紅葉を見ることができています。今は、外に出る機会がめっきり減って、学校から、公園の木々が色づくのを眺めるくらいです。

 コロナ感染が一応消息の兆しです。この2年間、我慢していたみんなは、外に出たいという感情がむずむずと動き出しています。催し物もはばかることなく案内の告知を行っています。

 私も家族と、落ち着いたら旅行に行きたいね、カラオケにも行こう、などと先の楽しみを語っているところです。

 

 学校では、公務員試験の最終合格が発表されています。講座を受けていた高校生がお母さんと一緒に報告に来てくれました。「ありがとうございました。」と満面の笑みで感謝の言葉をいただくと、こちらから、「あなたの努力の賜物です。よく頑張ったね。」と喜びを分けてもらっています。他の職員も教務室から出て来て、そのひと時は幸せの空間になります。

 

 今日は10年ほど前の卒業生が学校に来てくれました。1歳の女の子を抱いて、「先生、私よ!」と教務室の入り口から声を掛けられました。学生の時は、少し濃いめのメイクをしてスレンダーなスタイルでしたが、今日は薄化粧でもとてもきれいになって、「お母さん」という感じになっていました。話題は、子供のことや結婚生活のこと、家族のことに特化されます。私も母親のような気持ちで懐かしさと同時に元気にしていることに安堵感を覚えました。2階の自習室を兼ねたロビーは、ほんわかと幸せ色になっていました。

 

 ホームページに告知しているように、本校は、来年度の募集を停止しました。周辺高校や保護者の方から、ご心配やお問合せをいただいています。学校では学生や講座生のご家庭にも文書を発送してご理解をいただくようにしました。しかし、それでも外部の方や、先日はお孫さんの進学のことで高齢の女性の方がお見えになって、事情をお話すると、私たち職員のことを心配してくださったり、残念だと涙ぐんだりして、この学校ことを本当に信頼してくださっているようでした。こんなにも地域の方々に可愛がっていただいていたのだなと私は有難い気持ちになりました。今は在籍している本校学生や講座生が100%就職できるよう、面接練習や追加募集を紹介したりしています。

 今日も、学校帰りの高校生が佐世保市消防に内定したと報告に来てくれました。良かったね、と、私たちも幸せを分けてもらいました。

 

 先日、ふとしたことから、「ライオンのおやつ」(小川糸原作)という番組を見ました。深夜放送枠のため全回を見ることはできませんでしたが、その一編一編に「生きる」ということを考えさせられる内容でした。瀬戸内海の島にあるホスピス「ライオンの家」が舞台ですが、そこの住人には、人生を終えるときに、食べたい思い出のおやつを作ってもらうことができるというご褒美があります。そのおやつを食べる時には、そのおやつにまつわる幸せな思い出が蘇ってきて、それは、依頼者本人だけでなく、そのおやつを一緒にいただいている「ライオンの家」の住人たちをも、幸せの空間に招いていくのです。このドラマを見ていて、私は夜中にひとり感動で涙していました。

 

 感情は、伝染します。それは、家族や身近な人や思い入れがある人ならなおさらです。嬉しいときや喜びのときには、私たちもそのおすそ分けをもらっているのですよね。学生たちからもらう幸せの空間が、私たちのこの仕事のモチベーションに違いないと、改めて確信する毎日です。

 

 これから、まだ進路が決定していない学生たちを、公務員として社会に送り出すことに、専心していこうと思います。そして、卒業式には満面の笑みで学生たちと、幸せの空間を一緒に味わいたいです。楽しみです。

 

 今月の写真は、大輪の菊です。菊は、桜と共に日本の国花で日本を代表する花ですが、薬用植物として中国から入ってきた外来種なのです。菊と言えば、私は、伊藤左千夫の『野菊の墓』を思い出します。登場するは野菊ですが、明治期の淡くて切ない恋を描いた物語で、今日の写真とは対照的です。まるで女王のような豪華なたたずまいです。パワーをもらえる大輪の一枚ですね。

 Photo by Mizutani


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