安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

仕事、楽しい!

2018年05月18日 | 月刊ブログ

 さわやかな風が、日々の雑踏から、私を遠く広がる緑の山々へ誘ってくれます。車窓からは、新緑がゆっくりと左右に通り過ぎて、初夏の予感がしてきます。

 週に何日か、朝、佐世保を出て、高速バスで長崎まで向かう日々が続いています。光町にある長崎デュアルシステム専門学校で、新入生に、「秘書検定対策」の授業を行っているのです。今年のブライダルプランナーを目指す学生たちは、ハツラツとした声と笑顔がとても素敵な学生たちです。6月からのホテルでの実習の前に一通りのマナーと、パソコンや文書の資格を取りながら、実習までの準備を進めているのです。その実習が始まる日が近づくにつれ、何となく表情に緊張の色見えてきているのを感じます。

「ちょっと緊張してる?」と尋ねると、「ハイ。」とまた素直な返事が返ってきます。「大丈夫!2年生の先輩たちがしっかりとサポートしてくれるからね。」と私も確信に近い気持ちで応答するのです。未知の現場に飛び込むことはやっぱり不安なのです。

 

 私は、長崎県北地域の高校に公務員ガイダンスや本校のPRを兼ねて学校訪問を行っているのですが、季節を感じながら運転をするのが好きで、この仕事を十分に楽しんでいます。

 また、高校生のちょっとはにかんだ男の子や微笑みかけてくれる女の子との出会いも、毎回大切にしたいと思っています。1時間以上もかけて目的地に到着することもありますが、その土地ごとの風景は楽しみの一つでもあります。

 特に平戸地区は私の好きな場所でもあります。

 平戸大橋を渡る手前の「田平昆虫園」はかつての日本の原風景であった畑、小川、池、雑木林、草はらなどの里山の環境を再現し、そこに集まる昆虫などの生きものを自然のままに観察できる施設です。園外から昆虫などの動物は移入せず、田平に棲む昆虫のうち3000種類以上が生息しているそうです。

 いつも入口まで行っては、仕事中でもあり時間にも追われて、実際に入園したことはありませんが、とても興味があります。

 

 先日、田平町に在住している生物生態写真家の栗林慧さんのお話を聞く機会がありました。初めてテレビのCMでその写真を見たときに、アップに撮られたカマキリの滑稽な表情に感動したことを覚えています。栗林さんは、おもに自宅周辺の田平町での昆虫の写真を取り続けられているそうです。一枚一枚の作品には、どうしても嫌われてしまう虫たちが、命いっぱいに生きている様子が写っていて、栗林さんの昆虫に対する尊敬と愛情を感じずにはいられません。人の目では見ることが不可能な、昆虫や植物の素早い動きの一瞬を切り取った写真など、まるで自分が自然界の小さな住人になったような、栗林さんの特殊カメラだからこそ撮影できる、誰も見たことがない、生き生きと活動する大迫力の昆虫たちや、命あふれる自然界の知られざる表情がそこには写し出されています。

 

 栗林さんは、講演の間に何回も、この仕事は面白くてしょうがないとおっしゃっていました。

 理科や工作が好きだった幼少期、1953年にディズニーが公開した「砂漠は生きている」というドキュメンタリーの映画を鑑賞したのを機に、小さな虫たちの動きが鮮明に映し出される様子を見て、映像の世界に惹かれていったそうです。その後仕事をしながら専門学校で写真技術を学び、さらに独自の工夫による昆虫スナップカメラを開発、アリ等の小型昆虫の接写技術を確立し、センサーを利用した撮影システム、5万分の1秒の高速ストロボ、超被写界深度接写カメラなどを次々に開発して、今では、唯一無二の生態写真を40年以上にわたり撮影し続け、昆虫写真家の第一人者としていくつもの賞も取られています。

 栗林さんは、昆虫をさらに生かす背景にも心を配られ、平戸の自然をも一緒に撮りたいと、カメラに改良を重ねたとおっしゃっていました。なるほど、被写体をアップで撮ると、背景は必ずぼけて写ります。素人の私でも納得がいきますが、それでも栗林さんは、より良いものを作り出すその探究心から、独自のものを作り上げて、緑の山々と深いブルーの海が背景に写った満足できる1枚の写真が撮れたと、誇らしげに話されました。

 もう間もなく80歳になられるとお聞きして驚くばかりでした。栗林さんは、まだまだこれからも写真を取り続けたいとおっしゃっていました。面白くて楽しくて、と。栗林さんの写真に込める願いは「自然に対して興味を持つ子どもをもっと増やすこと」。

 深い興味と探求心、仕事に対する誠実さなど、私は、まだまだこの年でも若輩者だなと反省させられました。

 

 佐世保校では、公務員を目指す学生たちが、裁判所に見学に行ったり、長崎県警の説明会に行ったり、長崎税関の方のお話を聞いたりと、目指す公務員の選択肢をたくさん増やしているところです。

 これから暑くなると、勉強も実習も大変になりますが、一つ一つ乗り越えて、自分が夢中になれる仕事を見つけてほしいと思います。

 今月の写真は、クラブアップルの花です。この花一つ一つが実を付け姫りんごになります。こんなに優しい色が情熱的な真っ赤な実になるなんて自然の力に驚くばかりです。

 

 Photo by mizutani

 


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