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冬のソナタに恋をして

つのる想い



ーユジンに対する全ての誤解が判明してから、ミニョンの心はユジンに一気に傾いた。しかも、彼女は、倒れてくる材木から身を挺して自分を守ってくれたのだ。自分の中にチュンサンを見ているからの行為だとしても、ミニョンは素直に嬉しいと感じた。もちろんそれ以上に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そして、10年前に亡くなった恋人を心に秘めて想い続ける彼女を、本当に純粋で愛おしいと思った。こんな感情は初めてだった。

最近では仕事中も、つい彼女を見つめてしまう。サラサラとした髪の毛や、真っ白な肌、ふっくらとした唇、設計図をなぞる白くて細い指、華奢な身体、長い手足、そして真っ黒で純粋な光を放つ潤んだ瞳、見れば見るほど側にいたくなる。現場で姿を見つけると用もないのに、側に近寄って話しかけてしまう自分がいた。

そんなミニョンを心配して、キム次長はことあるごとに、
「ユジンさんは婚約してますよ」とクギをさすのだった。


一方でユジンもミニョンを男性として意識し始めた。顔や体つきはチュンサンに似ているけれども、だれにでも快活に話しかけて、仕事をテキパキとこなす様子、さりげない気遣いや、余裕からくる包容力はずっと大人で、チュンサンとはまた違った魅力があった。ときどき、彼の端正な顔立ちや、がっしりとした身体つき、しなやかな指先などをそっと眺めてしまうこともあった。優しい瞳で笑いかけられると、ドキドキしてしまうことがあった。サンヒョクの優しさとはまた違う、大人の余裕がある対応なので、仕事もリラックスして行えた。

ミニョンはユジンがチュンサンの話をしても、穏やかな微笑みで話を聞いてくれた。誰かにチュンサンの話を聞いてもらえるなんて、ユジンは嬉しくてたまらなかった。一方でミニョンはユジンが自分の中にチュンサンばかりを見ていることに軽い嫉妬も覚えるのだった。まだ見ぬ自分とそっくりなひと、、、。
ある日二人で歩いていると、ユジンの手帳からハラリと写真が落ちた。ミニョンが拾うと、それは高校生の時の写真らしく、笑顔の二人が自分を見ていた。ミニョンは胸がざわつくのを感じた。
「ユジンさんはサンヒョクさんを愛してるんですか?」
「婚約してるんですよ。当たり前でしょう。」
「じゃあどこが好きなんですか?」
するとユジンはまるで練習したセリフのように、理由をまくしたてた。
「サンヒョクは、誰よりも私の事をよく知ってますし、昔から家族のように過ごしてきました。それから、優しいし、思いやりがあるし、真面目だし、気がつくし、責任感もあるし、それからえーと、、、」
好きなところというより、良いところが多すぎて言い切れない。
ミニョンはそれを聞いて
「じゃあ、僕を好きな理由はなんですか?」
ユジンは怪訝な顔をして答えなかった。
ミニョンは気まずい雰囲気を誤魔化すように
「本当に愛してるなら、理由なんてないですよ」と笑って言った。そして、ふざけたように、「じゃあ、カンジュンサンを好きな理由は何ですか?」
と聞いた。

すると、ユジンの顔は途端に曇った。ミニョンがしまったと言う顔をすると、ユジンがは昔大好きでよくやっていたように、少し高いところに乗った。そしてチュンサンの話をし始めた。
「チュンサンとは、あんまり思い出がないんです。顔を合わすといつもケンカばっかり。一度学校をサボって湖に行って、あとは初雪の日にデートして、、、そんなものなんです。本当にイジワルな人、、、」
すると、突然バランスを崩して、よろけてミニョンの腕の中に倒れこんでしまった。ミニョンとユジンの視線が交わった。ミニョンは、腕の中にユジンの重みと柔らかさを感じた。また、スミレの香りが鼻をかすめて、信じられないほど動揺してしまった。今まで何人もの女性と付き合ってきたのに、こんなことで胸が高鳴る自分に驚いてしまった。ユジンもドキドキしてしまい、思わず俯いてしまった。

そんなとき、ユジンの母親が倒れたとチョンアが走ってきた。ミニョンはすぐにユジンを春川まで送ると申し出た。少しでもユジンの役に立ちたかった。ユジンは戸惑いつつも、ありがたく申し出を受けることにした。
ユジンは父親を亡くしている。大切な家族は母親と妹のヒジンしかいない。父親が亡くなってから歯を食いしばるように懸命に働いて自分を育ててくれたママ。母親に何があったらどうしよう、まだ、親孝行もしていないのに、、、ユジンは動揺を隠せなかった。そんなユジンの背中をさすって、ミニョンは優しく慰めた。
2人は春川に向けて出発をした。




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