あるところに、野原一面にそれはみごとなひまわりの花が咲いている村がありました。 となり村に住んでいる小学1年生のくみちゃんは、その村を「ひまわり村」と呼んでいました。くみちゃんは毎日、学校から帰ってくると一人でひまわり村に遊びに行くのでした。
ある日、いつものようにくみちゃんはひまわり村へ出かけていきました。
「きょうはなにして遊ぼうかなぁ。」
くみちゃんはひとりごとを言いました。すると、
「ねぇ、ねぇ、遊ぼうよ! ねぇ、くみちゃん。かくれんぼしようよ。」
と、小さな声がしました。
くみちゃんは、不思議そうな顔をしてあたりを見回してから聞き返しました。
「あなたは、だぁれ? どこにいるの?」
すると、目の前に咲いていたひまわりの花の中から小さな豆粒のようなものが出てくるではありませんか。くみちゃんは、まんまるな目をうんと大きくして、それを見つめました。
それは、なんと小人でした。
「わたしは、ひまわり村の小人よ。きょうはひまわり村のおまつりだから、ママがいそがしいの。おねがい、いっしょに遊んでちょうだい。」
と小人はいいました。くみちゃんはうれしくなりました。なぜかというと、くみちゃんにはお友だちがいないからです。くみちゃんは、思わず大きな声で、
「いいわよ。かくれんぼしましょう。ひとーつ、ふたーつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、ここのーつ、とお!もう、いいかい。」
といいました。しばらくすると、
「もう~、いい~、よお!」
と小さな声がしました。くみちゃんはうれしくなって、夢中で走り出しました。もちろん、さっきの小人をさがすためです。
くみちゃんはひまわりの花を次から次へと見て回りました。
しばらくいくと、背は低いけれどまわりの花にくらべると一回り大きなひまわりの花に出会いました。よく見ると、黄色い花びらのかげに小さな赤いぼうしが風にゆられて見えかくれしています。
「み~、つけた!」
くみちゃんは大喜びで声を上げました。ところが、どうしたことでしょう。その花だけでなく、近くで咲いていたひまわりの花からも小さな赤いぼうしをかぶった小人たちが、ぞろぞろと出てきたのです。
「どうしてこんなにたくさんいるの?」
と、くみちゃんはききました。すると、ひとりの小人が答えました。
「今日はひまわり村のおまつりなんだよ。」もう一人が
「くみちゃんもいこうよ!」
とさそいました。くみちゃんはうれしくなって、いいました。
「わたしもつれていってちょうだい。」
(つづく)
創作童話「ひまわり村の小人たち」(金星太郎 作)
2007,9,25