金星太郎日記

教室は宇宙船 どこへだって行ける けやきのこずえに続く青空… 谷川俊太郎の詩より 

篭の登山09

2009年08月13日 13時03分44秒 | Weblog


毎年楽しみにしている日帰り登山。今年もN氏、M氏といっしょに「篭の登山(かごのとやま)」へ登ることになった。
昨年いっしょに歩いたH氏は体調を崩して、不参加。残念ながら自宅療養となってしまった。

登山ガイドブックによると、
「・・・篭の登山は東篭の登山と西篭の登山の総称である。小諸市車坂峠と東御市の地蔵峠を結ぶ湯ノ丸高峰林道の東に連なる篭の登山と水の塔山の3山の中では、東篭の登山の標高が一番高い。(2228m)」
と書いてある。

朝8時半、千曲川の河川敷に集合してN氏の車に乗せてもらって出発。
前日から台風の影響が心配されたが、うす曇りで風もなく穏やかな気候に恵まれた。東海・関東地方は台風による風と豪雨、偶然の地震のトリプルパンチで大災害となっていたことを考えると、この天候は奇跡としか思えない。
須坂から国道406号(大笹街道)を上って行くと、徐々に霧が巻いてひんやりとした空気が車窓から吹き込んできた。

菅平では高校や大学のラグビーチームが夏合宿の最中らしく、真っ黒に日焼けした選手たちがグランドを走り回っていた。大型観光バスで到着した一団はホテルに向かって行列をつくり、若者たちの笑顔とはじけた会話が通りを賑わせていた。
菅平を越えて鳥居峠を経由し地蔵峠へ向かう。途中のレタス畑は収穫の最盛期のようで、農道には大型トラックが何台も行き交っていた。
この頃になると、雲間から薄日が射してきた。暑くもなく寒くもなく最高のコンディションといったところか。

10時20分、池の平駐車場に到着。ヤナギラン、マツムシソウ、キリンソウ、チチコグサなど、高原の草花が歓迎してくれた。
観光客が以外に多いのには驚いた。夏休みの時期だけに大宮・横浜・千葉といった都会ナンバーを付けた車が並ぶ。

いよいよこれから出発というところで、M氏が携帯電話(ワンセグ)を取り出し、高校野球中継を見始めた。甲子園球場の第2試合は長野県代表「日大長野」対栃木県代表「作新学園」のゲームが始まったようだ。
ラジオとは違い、歩きながら画面を見るというのはいかがなものかとの心配をよそに、野球好きのM氏は郷土の代表チームを応援しながらの登山となった。
(案の定、途中でM氏は2回ほど、よろけて尻餅をついた。)

カラマツ林の下のなだらかな遊歩道には、ちょうど花を咲かせたササの大群落。しばらく行くと、「山頂まで600m」の道標が・・・。(えっ?! たった600mなの?)
山道で出会う人々に家族連れが多い理由がこれで分かった。
「クマ出没注意」の看板も。(熊除けの鈴が必要だったかな?)
「こんにちは!」と、小学生が元気良くあいさつして通り過ぎた。後からその家族が数人。「コンチワ!」「コンチワ!」
突然ウグイスが鳴き出した。「ホーーー、ホケキョーー、ケキョ、ケキョ、ケキョ・・・・・。」と、やけに長い呼吸である。ここのウグイスは健康優良児(鳥)といったところかな?
樹林帯が終わると、ガレ場が続く。

ここでM氏の野球解説が盛り上がってきた。なぜなら両チームの投手が不調らしく、打撃戦となったからである。
アルプス席レポートでは日大長野の応援団長のK君が紹介され、アップで映し出された。K君は小学生時代、ドッジボール選手(徳間ビクトリーキッズ主将)で夏の全国大会も経験している。中学ではバレーボールで活躍した。その後、幼少から習っていたバイオリンが縁で楽団に所属して演奏活動も続けているという。
K君の懐かしい顔が画面に出ると、もう登山どころではなくなる。立ち止まっては応援し、「カキーーン!」という打撃音に思わず掛け声も出る。

11時10分、東篭の登山の頂上に到着。駐車場から40分ほどで山頂まで登りきることができた。ここには一等三角点があり、偶然にもちょうど技師の皆さんが測量している最中であった。
残念ながら雲が湧き、展望が悪く、景色を楽しむことができなかった。
記念写真を撮ってから西篭の登山へ向かうことにした。
シャクナゲや針葉樹林の中の細い道をいったん下ってからガレ場を登っていく。
少し足がキツイかなぁ~と思い始めた頃、山頂に到着。11時50分だった。
西篭の登山は2212m。ここでも雲が邪魔して遠くの景色を望むことができなかった。でも、台風のことを考えれば、こうして山行できたことだけでも幸せかもしれないと、納得した。

ワンセグで高校野球観戦をしながら、約1時間の休憩。
もってきたノンアルコールビールを味わいながら、昼食にした。やはり、山で食べるおにぎりは美味しい。そして、きゅうりの丸かじり。
コンロで湯を沸かしてコーヒーを味わう。インスタントでも、なんでこんなに美味しいのかなぁ~?!

緊迫した試合が気になるが、出発。東篭の登山までもどることにした。
来た道を引き返すだけなのに、なぜか上りと下りとでは視界が違い、3回ほど道を間違えてしまった。つい最近、中高年登山者が北海道の山で遭難して死亡するといった事故が起こったが、それもうなずける。
30分ほどで東篭の登山に到着。ここで「日大長野」高校の夏の甲子園初勝利を聞いた。(応援団長のK君、おめでとう!)

駐車場に着いたのは14時。合計3時間半のゆとりある行程だった。
今年も夏休みにこうして山登りを楽しむことができたのは、仲間がお互いに健康で出会えたからである。改めて「健康」に感謝したい。
N氏、M氏共に20年来の友人である。年1回の小さな山行ではあるが・・・、これからもこの出会いを続けられることを願って、帰路についた。

2009、8、13