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セントバーナードのキングスウッヅ犬舎雑感

犬種の正しいタイプを求めて46年
世界に通用するセントバーナードの作出と啓蒙

長足短胴「Powerful, proportionately tall figure」

2015年07月26日 09時53分16秒 | 繁殖の手引き

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今年の4月招かれてオーストラリア首都シドニーにあるオーストラリア最大のセントバーナードクラブ「New South Wells Saint Beernard Club」の第63回目のSpecialty Show (単犬種展)の審査をした。私の事前認識では、この国が英国連邦の一員である国なので当然英国系セントバーナードが主流であろうと想像していた。然し私の知る限りでは、おおよそ20年ほど前からアメリカ オハイオ州 に手アメリカセントバーナード界の大御所のひとつであるオプダイク(Opdyk)犬舎系のセントバーナード愛好家グループがオプダイクから数頭の犬を輸入してタイプの変更を試みていたことも私は、承知していた。同様に私の犬のタイプ(アメリカ西海岸の多くの犬は、サンクチュアリーウッヅライン)の総帥でありアメリカセントバーナード界の最長老スタンレイジリンスキ氏の犬舎からその血液を導入しているグループもある。
このような背景にあるオーストラリアセントバーナードを大変興味を持って審査をした。結果的には、完全に英国タイプという犬は、居なかったがアメリカタイプという犬もごくわずか目についた。

左の写真は、当日のBWD(ベストウイナーズドッグ)生後15か月

ここからが今日の本題である。

犬種の全体像とその全体像を造り出すための犬種の骨格構成構造を仔細にに記述しているのがスタンダード(Standard)で犬種標準書と言われているものである。
セントバーナードの全体像を理解するにはスタンダードに記述されている全体像を学ぶ必要があり正しい理解に繋がらない。
JKCが加盟している国際的な組織FCIのスタンダードではこのように規定され
They have a balanced, powerful, sturdy, muscular body with impressive head and an alert facial expression.
JKCでは、このように訳してスタンダードとして規定していっる。
「バランスが取れ、がっしりしており、筋肉質で、頭部は印象的で、
注意深い表情をしている。」(原文のまま)
また、原産国スイスのスタンダードを頑なに順守しているアメリカケネルクラブでは、
Powerful, proportionately tall figure, strong and muscular in every part, with powerful head and most intelligent expression. In dogs with a dark mask the expression appears more stern, but never ill-natured.
力強く均整の採れた大きな犬で身体のどの部分もしっかりした筋肉で覆われ頭部は、非常に知的な表情をしたどっしりとした頭部てある。その頭部が、黒色で多くおおわれてる犬は、一層厳しく見えるが決して性質(たち)の悪い犬に見えては、ならない。(外訳 中卒程度の英語力しかないので英語のエキスパートの方もう少しましな英訳を教えてください。)

ここで私がこの全体像の記述をしたのは、FCIにしろAKCのスタンダードにしろ「balanced 」バランスの採れた、「proportionately 」均整の採れたというように体高と体長のバランスに非常に厳しい数字の規定を設けている。
FCI(JKC)では、
Ideal relation of height at withers to length of body (measured from the point of the shoulder to the point of buttocks) = 9 : 10.と規定されの
AKCでは、FCIのような細かい規定はない。が解釈の根拠として
全体像の記述の
「Powerful, proportionately tall figure,」を引用して均等と理解し前腕に関しては、胸の深さと足の長さは5対5とし体高と体長も5対5であるが体長が10%前後長いのは許容している。

前置きが長かったが私が今回記述しているタイトルに「長足短胴」としたのは、オーストラリアでBWDに選択した上掲の若オスの写真をみてある初心者が「外さん、よくグレイトデンみたいな足の長いセントバーナードを選んだね。」と電話がかかってきた。ご本人は、この犬を成犬だと思ったようなので「この犬は、まだ15か月だぞ。これから肉が付き幅も出てきて出来上がったら丁度バランス良く見えるようになるんだからこの位の月齢ならむしろ望ましいバランスだと思うよ。」と答えたら「ヘーまだ15か月なのですか。」と納得したようなしないような返事が帰ってきた。恐らく彼らの所有する犬のバランスからすると奇異に感じたのであろう。
私は、1994年に私の師でもあり友人のスタンレイジリンスキ氏を3度目の審査員として招請した後日本のセントバーナードについて窺ったところバランス(短足胴長)が悪いと警鐘を鳴らされてからバランスには、格別注意を払い犬を観察して改善に努めてきた。下の写真は、4歳時の私が作出した犬の中でも最もバランスの良い犬の1頭と思う犬でありアメリカの友人仲間からも高い評価を得た犬である。
⇐King's Woods Warrior Spirit
 父親(Sire)King's Woods Dacapo V Quincy
 母親(King's Woods Holly Song
このワリアーは仔犬の頃は、足が長くひょろひょとした背の高い犬だなと思いながら成長を見守っていた。2歳3歳を過ぎて来る頃には、どの犬もそうであるが2歳過ぎころから肉が付き充実感が出てくる。それと同時に肉も下がってくる。パピー時代にバランスの良いと思われる犬も、完熟時になると短足胴長に見える犬が多い。ましてやパピー時代から短足胴長に見える犬は、完熟時になると目を覆いたくなる。そんな悲劇的なスタイルにならないでもかなりの確率で短足胴長の犬に見えるいぬに出来上がってしまう。短足胴長は、血統的なものなので見識(犬識)のある繁殖者は、交配相手や台牝に使用すべきでない。長い間家族の一員として或はショーで楽しむ犬として仔犬を購入しようとする希望者は、両親の骨格的バランスと仔犬の出来具合と両親の特徴を良く観察して選択することをお勧めする。

当犬舎では、パルを交配に多用するがそれなりの理由がある。
パウルの仔犬は、殆どパピー時代(18か月まで)には、長足短胴であり背が高く見える。今のところ3歳4歳になった犬は、存在しないが2歳を過ぎた犬は、一胎居る。その中の1頭は(奈良県生駒市)、背も高く私が
主張する長足短胴論の実践的存在である。やや小ぶりであるが帯広市にも1頭存在する。この犬は、私がFBで紹介したこともあるがアメリカのセントバーナードの男性ヴェテラン陣からもそのバランスの良さに高い評価を得ている。

FBを読まれたり書いたりしている方は、大勢いるが、女性のポスティング(コメント)には、あまり期待していない。日本人であれ外国人であれ女性のポスティングは、感情的なものが多く犬の本質的なものの素直な評価が殆ど感じ取れないからである。
「ワー可愛い」「ワー素敵」「良い犬ですね。」「Cute」「Pretty」「Beautiful」「Handsome」なる言葉を頂いてもちっとも嬉しく感じない。何処が如何と言ってもらえれば聞く耳はある。
一考に値する面白い話がある。あるベテランの方が通りすがりのセントバーナードの飼主に「良い犬ですね。」と御愛想を振ったらその飼主から「何処がいいんですか?」と聞かれて逆に回答に参った。と話していた方がいたと聞いた。そのベテランの方は、それ以降見知らぬ方のセントバーナードに声をかける時には、「可愛いですね」という事にした。と言っていたそうだ。

なるほど。と感心した。
しかし、犬だから年齢に関係なく「かわいいですね。」で通るけどもしそれが妙齢のご婦人でしたら挨拶でも「可愛いですね」と声をかけたら頭から水をかけられ「頭を冷やして来い。」と怒鳴られるのが関の山であろう。

話は、大分横道にずれたが本筋に戻り「スタンダード(犬種標準書)」は、犬種の生まれながらにして備わっていなくてはならないもの以外は、一般的に成犬時(24か月)以上時の判断基準である。展覧会にあっては、チャンピオンポイント取得可能月齢時以上が評価の対象月齢である。JKCなら9か月以上FCI15か月以上そしてAKCは、6か月以上である。ドッグショーという犬の良し悪しを判断する対象となる時以外は、成犬時以上の月齢でスタンダードから逸脱しているか否かを判断すれば良い事で成長の過程では、決断を下すのは、早計であろう。具体的な例を示そう。
オス犬の片睾丸の場合かなり時間が経過(遅い犬の場合1年半経過後)して二つ揃い正常な睾丸になった例があるが展覧会となるとJKC、FCI、AKCが規定するチャンピオンポイント取得可能月齢以上の場合には、片睾丸は、審査の評価の対象とならず退場を命ぜられてもおかしくない。又産まれながらもっているもので成犬になっても変わる事の無い欠陥事項(持って生まれた欠格事項)の場合は、一生欠格犬犬の烙印を張られ子孫の継承には、使用してはならない。JKCのスタンダード上では、下記のように記述されている。
欠格事項

・オーバーショットや明らかなアンダーショット
・ウオール・アイ
・眼瞼外反、眼瞼内反。
・被毛がホワイトの単色あるいは赤みがかったブラウ ンの単色のもの。
・異なる毛色。
・アンダーサイズ

睾丸の存在については、 直接的な記述は、無い。片睾丸、や両睾丸の無い犬は、スタンダードの想定外の事なので、ある事が前提でスタンダードは、記述されている。同じようにAKCのスタンダードは、アンダーショットについては、記述されているがオーバーショットについて

は、何ら触れられていない。これも想定外の事なので欠格とされている。

 ⇐これらの写真は、Paul(パウル)の成長時の写真で長足短胴の礼の参考にしていた期待。

⇐Ten months old

パウルの10か月時の写真、
このようなプロポーションの犬は、日本の審査員は、理解しない。パピー時代は、ことごとくドンケかブービーであった。外国人審査員の時には、リザーブキングにも選ばれているのだが・・・
 

 ⇐Twentytwo months old

1年10か月の写真、

 

 

 

 

現在(4歳6か月)の写真をご覧いただければ
私の主張「パピー時までの長足短胴」が納得いただけるであろう。

His four years six months picture

 

 

次稿では、「私にとってドッグショーとは、?」を寄稿する予定である。



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