といっても関西で過ごしたのは20年弱で、
この島にやってきて30年をこしてしまった。
関西に住んでいた頃は、当たり前であったことが、
改めて外から関西を見ると関西が見えてくる。
大阪伊丹空港行きの搭乗口にまで行くと、そこには
関西。
搭乗前に「Jクラス(プレミア)に空きがあります。」
とアナウンスがあった。
ほぼ満席に近い搭乗率なのに一般席から埋まっていく。
(普通は逆のような・・・)
次に優先搭乗の案内がされるが、すでに搭乗口前には
多くの人が並んでいる。
その横を通っていく人は冷たい視線をあびながら
「あれなんやの、健康そうな人やん」
「なんで・・・?」そんなささやきの中を通るのを
あきらめた人もいるだろう。
機内に入ると、まるで一つの団体ツアーのようで、
「私の席ここや、あんたこっちの席やで、
窓ぎわのほうがよかったのに」
窓際に座っている人が関西の人なら「残念でした」と
ひとこと言えるだろうが、関西以外の人なら
気まずい時間を過ごすことになる。
着陸態勢に入り外の景色が見え始めると機内は
いっそう賑やかになる。
「四国ちゃう」「淡路島やで」
「ちゃうちゃう、和歌山やろ」
「あっ 海の上に空港が見える!」
「関空か神戸空港やろ」
「あそこに降りるのかな・・・」(伊丹空港行きやし)
着陸して飛行機が地上走行していると、ガチャガチャと
ベルトをはずす音があちこちから聞こえてくる。
そして止まると同時に一斉に席を立つ。
その光景を見ながら、
(関西のエスカレターと動く歩道は、左が
追い越しだったな)と古い記憶を呼び戻す。
