沖縄で鮮魚のことを「イマイユ」という。沖縄の魚が本土の魚類分類に
なじまないことは、海の条件そのものがまったく違うことから
当然といえば当然である。
それは珊瑚礁の魚が熱帯性海域の魚だからである。
魚を陸に近いところから見ると、珊瑚礁に住む代表的な魚には、
ハタ類、フエダイ類、チョウチョウオ類がいる。
珊瑚礁を出たところでは、海面に近いところにキビナゴやダツ、
サヨリなどがいる。しかし本土でたくさんとれるマイワシ、
カタクチイワシなどはとれない。
それも沖縄の魚が、生産性の低い、熱帯の性格を持っているからだろう。
沖縄で高級魚の代名詞になるアカマチやシチューマチなどのマチ類は、
数百メートルの深さから一本釣りや底延縄で漁獲される。
現在沖縄に水揚げされるもののうち、最も金額が多いのは、
沖合を回遊するマグロ、カジキ類である。
魚の大半が日本本土とはまったくといって良いほど共通しないことが
この内容からわかる。
魚は熱帯性の魚なので本土の魚に比べると身の締まりはよくない。
本土にいったときにヒラメやマダイ、サバやイワシ、アジなどを
いただくと、改めて魚の美味しさがわかる。
しかし、この亜熱帯の気候に慣れてくるとブダイやハタ類が美味しく
感じるようになる。本土ではマグロは高級魚のイメージがあるが、
沖縄ではご飯感覚でマグロの刺身がテーブルに出てくる。