喰っていると、隣に座っている人が
「兄ぃチャン、大阪の人やろ」と酒を片手に
声をかけてきた。
(私)「ちゃう、ちゃう、ちゃうでぇ」
自分から人に声をかけることはよくあるが
人から声をかけられるのはあまり好まない。
ましてや、ほろ酔い気分の酔っ払い。
(オヤジ)「ワシもな、大阪やねん」と言う。
どこから来ようが知ったことではない。
観光客に見えないその人は、大工さんで、大阪
から宮古島に仕事で来ているという。沖縄には
過疎地に虫食い状態で空き地が多く、そこに目を
つけた本土の不動産屋が分譲住宅を建ている。
沖縄本島から石垣島へ、その後、宮古島へとやって
きたそうだ。石垣島もマンションや分譲住宅が
過剰となり、今、宮古島もたくさんの新築住宅が
出来て過剰状態になりつつある。土地を持っている
人に言葉巧みに近寄り、「空き地にしているより、
建物を立て人に貸したほうが儲かりまっせぇ」
騙しているわけではないだろうが、建物を建てる
業者は儲かる。「建てた後はしりませんよ」と
いうわけだ。
隣に座った大工さんは、「宮古島は、さっぱり
売れませんわ」頭を垂れて、「仕事があるだけまし
ですわ」と一人酒!宮古島には住宅専門の大工さんが
少ないので大工さんも本土からきている。
大変なんだなぁとい思いつつも酔っ払い。
飯も喰い終わったので、
(私)「ほな、お先に失礼しますわ!頑張ってくださいね」
(私)「ほな、さいなら」と席を立った。
勘定を終えて店を出ようとしたら、
垂らした頭を上げて、後ろから
(オヤジ)「兄ぃちゃん、やっぱり大阪の人やろ」
(私)「ちゃうで、おっちゃん、ワシは江戸っ子や!
まっすぐ歩けるあいだに帰りや」と店を後にした。
