オバァの吹き溜まり(失礼!)
沖縄では「年寄りは家の宝」と言われている。
その言葉通りなら、ここは宝の山ではないか。
いつも顔を合わして挨拶をするオジィやオバァも
いつのまにか会わなくなると「入院したよ」と
噂が聞こえる。そしてしばらくすると
「あっちへ行ったさぁ」と言う言葉を聞く。
海から帰ってくると、すぐご近所で葬式が行われ
ていた。喪服を着て立っている人に「誰が亡く
なったの?」と聞けば、「オジィが行ったさぁ」と
教えてくれた。葬式の行われている家から目頭を
押さえて出てくる人を見かけない。
長寿を全うされたのだろう。近所での葬式は珍しい
ことではない。大げさな事を言うわけではないが、
半径500m以内で一週間に一度はどこかで葬式が
行われていた時期もあった。年寄りばかりだから
仕方がない。
人が亡くなることに「仕方がない」なんて言える
ようになったのは、沖縄に来てからだ。
たとえどんな人であろうが、尊い命の火が消えることに
仕方がないなんて、ひどいと思う方もおられる
かも知れない。世話になった人が若くして亡くなった
ときに、オバァに聞いたことがある。
「オバァ、人が死んだらどこへ行くのかねぇ」と、
あのとき、オバァはあきれたような顔をして
「あっちへ行くだけさぁ」と、まるでリンゴが落ちる
のが当たり前のように「そんなこともわからないのか?」
と言いたげだった。
なんだか、そんな風に聞くと悲しみが少し
やわらぐような気がした。でも、オバァは本当に
人が死ぬと、ただ、あっちへ行くと思っているのは
確かだ!
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