カモシカさんの山行記録・旅日記etc.

山は心のふるさと。登山(アルプス~低山まで)・ハイキング・小旅行の気ままな記録です。

抜け雀<一朝>&ホームラン<勘太郎> (末広亭)

2018-09-19 | 小さな旅

 

 抜け雀<一朝>

     ホームラン<勘太郎>

 

 シルバーWの3連休を利用しての登山を楽しみにしていたが、生憎の雨&くもりの空模様。 

 久しぶりに寄席=「末広亭」に遠征してきた。夜の部の喬太郎も狙い目ではあったが、帰宅時間が遅くなるので、昼の部の一朝までとした

 春風亭一朝が、イッチョウケンメイ古典落語「抜け雀」。

 私が古典落語に惹かれるきっかけは、金原亭馬生の「抜け雀」であった。

 今でも馬生師匠の「抜け雀」の方がしっくりくる。 しかし、久しぶりに寄席の高座で掛けてくれた一朝師匠に拍手。

 お気に入りの古典落語「抜け雀」が聴けてよかった。

 一朝風に味付けはされているが、本質は崩れないのが古典落語の真髄であろう。

 サゲは、浄瑠璃「双蝶々曲輪日記」橋本の段の、傾城吾妻のくどき、「野辺の送りの親の輿、子がかくとこそ聞くものを、いかに知らぬと云うものとても、現在親に駕籠かかせ・・・・」をふまえてあり、身の不幸と親不孝を嘆く吾妻の境遇を重ね合わされているという。そこまでは分かる人は少ないだろう。東京落語では、「親を駕籠かきにした」で、単純で分かりやすい。

     

 

 この日は、雨にも関わらず3連休ということもあって、桟敷席も2階席も激混みの満員御礼状態であった。

 夕方になって、雨が上がって比較的涼しい陽気となり 伊勢丹へ寄り道してから帰ることに。。。

 

 理屈抜きに面白い漫才コンビ「ホームラン」の勘太郎(岡本善陽さん)と伊勢丹で遭遇し、数分、直にお話をして

 栄寿司の曲がり角までを一緒に歩いた。 「広島の津田です。」と自己紹介してくれたのには、にやりであった(笑)

 杖をついて歩いておられた。かなり大変そうであった。 舞台で見せる漫才師魂に改めて感激である。

 楽屋入りしていく勘太郎さんであったが、カモシカとのやり取り・・・・・どうも夜の部のネタに使われそうな雰囲気であった。

 寄席に出かけると 偶に落語家師匠と遭遇することがある。

 今回は、相方とはバラバラ通勤の漫才師の勘太郎さんとバッタリは またひとついい想い出となった。

 

 ホームランの 勘太郎さん<広島出身 >&たにしさん<静岡出身>

 「わしらのは、適当やから。」と謙遜されてお話していましたが、

 理屈抜きに面白いお気に入りの漫才です。また楽しませてくださいね♪

 

 

 *おまけ*

 「抜け雀」あらすじ

宿代代わりに描いた雀が……。名工をたたえた不思議な噺です。

小田原宿に現れた若い男。

色白で肥えているが、
風体はというと、黒羽二重は日に焼けて赤羽二重。
紋付も紋の白いところが真っ黒。

袖を引いたのが、夫婦二人だけの小さな旅籠の主人。

男は悠然と
「泊まってやる。内金に百両も預けておこうか」
と、大きなことを言う。

案内すると、
男は、
おれは朝昼晩一升ずつのむ
と、宣言。

その通り、七日の間、
一日中大酒を食らって寝ているだけ。

こうなるとそろそろ、
かみさんが文句を言いだした。

危ないから、ここらで内金を入れてほしいと催促してこい
と、気弱な亭主の尻をたたく。

ところが男
「金はない」

「だってあなた、百両預けようと言った」
と泣きつくと
「そうしたらいい気持ちだろうと」

男の商売は絵師。

「抵当(かた)に絵を描いてやろうか」
と言いだし、新しい衝立に目を止めて
「あれに描いてやろう」

それは、江戸の経師屋の職人が抵当に置いていったもの。

亭主をアゴで使って墨をすらせ、
一気に描き上げた。

「どうだ」
「へえ、何です?」
「おまえの眉の下にピカピカッと光っているのは何だ?」
「目です」
「見えないならくり抜いて銀紙でも張っとけ。
雀が五羽描いてある。一羽一両だ」

これは抵当に置くだけで、
帰りに寄って金を払うまで売ってはならない
と言い置き、男は出発。

とんだ客を泊めたと夫婦でぼやいていると、
二階で雀の鳴き声がする。

はて変だとヒョイと見ると、
例の衝立(ついたて)が真っ白。

どこからか雀が現れ、
何と絵の中に飛び込んだ。

これが宿場中の評判を呼び、
見物人がひっきりなし。

ある日、
六十すぎの品のいい老人が泊まり、
絵を見ると
「描いたのは二十五、六の小太りの男であろう。
この雀はな、死ぬぞ」

亭主が驚いてわけを聞くと、
止まり木が描いていないから、自然に疲れて落ちる
という。

書き足してやろう
と硯を持ってこさせ、さっと描いた。

「あれは、何です?」
「おまえの眉の下にピカピカッと光っているのは何だ?」
「目です」
「見えないならくり抜いて、銀紙でも張っとけ。これは鳥かごだ」

なるほど、雀が飛んでくると、
鳥かごに入り、止まり木にとまった。

老人、
「世話になったな」
と行ってしまう。

それからますます絵の評判が高くなり、
とうとう藩主・大久保加賀守まで現れて感嘆し、
この絵を二千両で買うとの仰せ。

亭主は腰を抜かしたが、
律儀に、絵師が帰ってくるまで待ってくれ
と売らない。

それからしばらくして、
仙台平の袴に黒羽二重という立派な身なりの侍が
「あー、許せ。一晩やっかいになるぞ」

見ると、あの時の絵師だから、
亭主は慌てて下にも置かずにごちそう攻め。

老人が鳥かごを描いていった次第を話すと、
絵師は二階に上がり、
屏風の前にひれ伏すと
「いつもながらご壮健で。
不幸の段、お許しください」

聞いてみると、
あの老人は絵師の父親。

「へええっ、ご城主さんも、
雀を描いたのも名人だが、
鳥かごを描いたのも名人だと言ってましたが、
親子二代で名人てえなあ、めでたい」
「何が、めでたい。あー、おれは親不孝をした」
「どうして?」
「衝立を見ろ。親をかごかきにした」

参考:

知恩院抜け雀伝説

この「抜け雀」という噺、
どうも出自がはっきりしません。

講釈ダネだという説もあり、はたまた中国の
黄鶴楼伝説が元だと主張なさる先生もあり、
誰それの有名な絵師の逸話じゃとの説もありで、
百家争鳴、どの解説文を見てもまちまちです。

その中で、ネタ元として多分確かだろうと
思われるのが、京都・知恩院七不思議の一で、
襖絵から朝、雀が抜け出し、餌をついばむと
いう伝説です。

 

参考:

 古今亭志ん生の噺、「抜け雀」(ぬけすずめ)によると。

志ん生 小田原宿に現れた若い男、色白で肥えているが、風体はというと、黒羽二重は日に焼けて赤羽二重。紋付も紋の白いところが真っ黒。誰も客引きはしないが、袖を引いたのが、夫婦二人だけの小さな旅籠の主人。男は悠然と「泊まってやる。内金に百両も預けておこうか」と言った。

 安心して案内すると、男は、おれは朝昼晩一升ずつ飲むと、宣言。その通り、七日の間、一日中大酒を食らって寝ているだけ。こうなるとそろそろ、かみさんが文句を言いだした。危ないから、ここらで内金の5両を入れてほしいと催促してこいと、気弱な亭主の尻をたたく。
 ところが男「金はない」、「だってあなた、百両預けようと言った」、「そうしたらいい気持ちだろうと」。男の商売は絵師。「抵当(かた)に絵を描いてやろうか」、「絵は嫌いですからイヤです」。新しい衝立(ついたて)に目を止めて「あれに描いてやろう」 それは、江戸の経師屋の職人が抵当に置いていったもの。「だめです。絵が描いていなければ売れるんです」。
 亭主をアゴで使って墨をすらせ、一気に描き上げた。
 「どうだ」、「へえ、何です?」、「おまえの眉の下にピカッと光っているのは何だ」、「目です」、「見えないならくり抜いて、銀紙でも張っとけ。雀が五羽描いてある。一羽一両だ」。これは抵当に置くだけで、帰りに寄って金を払うまで売ってはならないと言い置き、男は出発。

 とんだ客を泊めたと亭主にぼやくし、朝になっても機嫌悪く女房は起きない。亭主が二階の戸を開けると朝日が差し込み雀が鳴きながら外に出て行った。はて変だとヒョイと見ると、例の衝立が真っ白。外から先程の雀が戻ってきて何と絵の中に納まった。

 これが小田原宿中の評判を呼び、泊まり客がひっきりなしで、大忙し。
 それから絵の評判が高くなり、とうとう藩主・大久保加賀守まで現れて感嘆し、この絵を千両で買うとの仰せ。絵師が現れないと売れない。

 数日後、六十すぎの品のいい老人が泊まり、絵を見ると「さほど上手くは無い。描いたのは二十五、六の小太りの男であろう。心が定まらないから、この様な雀を描く。この雀はな、止まり木が描いていないから、自然に疲れて落ちて死ぬ」。
 嫌がる亭主に書き足してやろうと硯を持ってこさせ、さっと描いた。
 「あれは、何ですか」、「おまえの眉の下にピカッと光っているのは何だ?」、「目です」、「見えないならくり抜いて、銀紙でも張っとけ。これは鳥かごだ」なるほど、雀が飛んでくると、鳥かごに入り、止まり木にとまった。老人、「世話になったな」と行ってしまった。

 それからますます絵の評判が高くなり、また藩主・大久保加賀守が現れてこの絵を二千両で買うとの仰せ。亭主は律儀に、絵師が帰ってくるまで待ってくれと売らない。

 それからしばらくして、仙台平の袴に黒羽二重という立派な身なりの侍が「あー、許せ。一晩やっかいになるぞ」。見ると、あの時の絵師だから、亭主は慌てて下にも置かずにごちそう攻め。
 老人が鳥かごを描いていった次第を話すと、絵師は二階に上がり、衝立の前にひれ伏すと「いつもながらご壮健で。不幸の段、お許しください」聞いてみると、あの老人は絵師の父親。「あー、おれは親不孝をした」、「どうして?」、
「衝立を見ろ。我が親をかごかきにした」。

 

写真;「志ん生」 『土門拳の昭和』風貌 小学館より

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