桜を見る会で
安倍首相「メンツのためだけの発言」で
事務方が大慌て 帳尻合わせも限界〈AERA〉
桜を見る会を巡る問題で、安倍首相本人と昭恵夫人の関与が明るみに出た。野党だけでなくポスト安倍の面々も説明を求めており、逃げ切りは難しい情勢だ。この問題をめぐる事務方や与野党の動きに迫った、AERA 2019年12月2日号の記事を紹介する。
【写真】満開の笑顔を見せる昭恵夫人
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20日の参議院本会議。これまで安倍晋三首相は「桜を見る会」の招待者の人選に関し、「そのとりまとめには関与していない」と明言してきたが、ここにきて安倍事務所が内閣官房からの推薦依頼を受け、幅広く参加希望者を募る中で、「私も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」と自らの関与を認めた。虚偽答弁への謝罪はなく、野党は反発を強めている。
霞が関の関係者はこう分析する。
「首相答弁が後になって翻るのは周知の事実。これは首相が秘書官とだけ調整し、事務方に根回しをしないことが原因。会見でもその場のメンツを守るためだけに思いつきで発言をする傾向がある。その度に事務方が慌てて、帳尻を合わせるために動く。ただ、どうにもならないことが出てくるから、後になって自らの発言をそれらしく訂正し、翻さなければならない」
部下の手柄は上司のもの。上司の失敗は部下の責任──。結果、矢面に立たされているのが内閣府の大西証史内閣審議官だ。衆院の内閣委員会では野党の追及に対し、「安倍事務所において幅広く参加を募る中で、夫人からの推薦もあったとのことだ」と「昭恵枠」の存在を認めた。
また、共産党の宮本徹衆議院議員が、内閣府に対して桜を見る会に関する資料を要求をした日と、政府が参加者名簿を破棄した日付が同じだった件について問われると「大型のシュレッダーを使おうとしたところ、各局の使用が重なったから」と釈明。このやりとりを見た野党議員は語るに落ちたと憤る。
「政権中枢を支えるエリート中のエリートが、この程度の言い訳しかできない実態が、この案件の根の深さを物語っている。絶対にオモテにできない事情があるのだろう」
首相本人が直接関わるこの疑惑は、自民党内のポスト安倍をめぐる動きにも影響を与える様相を呈してきた。石破茂元防衛大臣は17日、テレビ番組で安倍首相は改めて会見を開いて、国民に経緯を説明するべきだとの考えを示した。また、野党が求めている首相出席の集中審議を開催する見通しが立っていない件に触れ「国会で説明できないとなればいろいろな場がある。質問する側も準備して臨み、首相がきちんと答える場だ」と踏み込んだ発言をした。
同じく、岸田文雄政調会長も「国民が疑念を持つならば説明責任を果たしていくことは大事だ」と発言していて、いずれも「これで幕引きにはならない」という構えだ。
首相の虚偽答弁を受け「税金の私物化」を中心に追及することで野党は一致。改めて衆参両院予算委員会の集中審議開催を要求した。政府・与党がこれを拒否した場合について、立憲民主党の安住淳国対委員長は「やらないなら、来年の通常国会で2カ月間かけてこの話をやらせていただく」と強気の姿勢を見せた。この発言に首相周辺は神経をとがらせていると自民党関係者の一人は語る。
「首相本人が説明責任を果たさなければならない案件であり、
それに加えて総理夫人の昭恵さんも関係していることが表沙汰になった今、この防戦一方の政局はあのモリカケ問題を連想してしまう。まさか通常国会の冒頭で首相が解散に打って出るとは思いませんが、党内ではポスト安倍の動きも含め気が抜けない年末年始になりそうです」
この問題が表面化した時、首相周辺は「この程度の問題か」と高をくくっていた。しかし問題が長期化し、拡大したことで、ボディーブローのようにじわじわと政権の体力を奪っている。今回ばかりは、誰か関係者のトカゲの尻尾を切って幕引きにはできない。そのことは首相本人がよくわかっているだろう。
私たち有権者は、 安倍首相の答弁内容・態度 自民党全体の対応を注視し
決して 忘れてはならない!
小沢一郎氏が危惧
「(疑惑を)
うやむやにしてしまうのが長期政権の秘訣」
国民民主党の小沢一郎衆院議員が26日、公式ツイッターを更新。11月に国会での追及から問題化した「桜を見る会」で
安倍政権に対する疑惑が生じても、
森友加計問題のように、時間の経過とともにスルーされかねない現状について
「うやむやにしてしまうのが長期政権の秘訣」
と皮肉を込めて指摘した。
「何をやったって国民はどうせみんな忘れる。文句を言ってくる『こんな人たち』は一部の変わり者に過ぎない。だからやりたい放題できる」。小沢氏は、安倍晋三首相が選挙演説時に「反安倍」を掲げた聴衆を指差して発した「こんな人たち」という言葉を引用して切り出し、「総理の本音はこんなところか」と問題提起した。
さらに、小沢氏は「グダグダやっている内に、
うやむやにしてしまうのが長期政権の秘訣。
世界は、じっとこの国の民主主義のレベルを見ている。じっと」
と国際的な見地から問題提起した。
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