Ken doc. 犬と猫のブログ

当院での症例や出来事等何でも言っちゃう暴露ページです。自分勝手なブログのためご意見等にはお答えできませんのであしからず。

多難な膀胱結石手術

2011-01-31 12:03:12 | 症例報告
2011年1月15日

今日は6歳チワワの女の子の膀胱結石の手術をしました。
この子は僧房弁閉鎖不全症という心不全を患っていましたので、手術をするにも細心の注意を払って行う必要がありました。
1日掛けて念入りに術前検診を行い、麻酔のリスクやその他の既往症などを調べました。
心不全以外ではBUNがやや高値(37mg/dl)で腎不全兆候でした。

一ヶ月間心不全の治療を行い、ようやく手術日まで来ました。

手術前の腹部レントゲンです。




腹部エコー所見です。



膀胱一杯に結石がありますが、角が取れて丸く、透過度も低い(音響陰影も強く高エコー)ものであることから、固く崩れにくく、安易に取れそうな結石であることが分かりました。

手術開始です。1.8kgのワンちゃんを平均体重60kgの大人5人のチームで行いました。
麻酔医は澤田先生。この子の担当医です。
執刀は私が行いました。平均体重のUPに貢献しているのも私デス。
第一助手に桑原先生。第二助手兼器具出しに河野主任動物看護士。
外回りに下垣動物看護士で行いました。



尿は無いのに結石のために膀胱は縮みきれず大きめでした。




膀胱切開所見です。



摘出後、素早く縫合。拡張水圧テストを行って漏洩箇所が無いことを確認し、閉腹して手術を終了しました。
今回も難なく無事終了。




飼主様の希望により避妊手術と歯石除去も行いましたが、約80分の手術で大成功でした。
心不全もありましたが、事前の僕らの心配を余所に、全く順調な麻酔管理で手術もスムーズに行えました。
腕の良い麻酔医と素晴らしいチームに感謝!!!

取れた結石です。洗浄してきれいにしました。これを後日検査に出して成分分析を行います。




手術直後の様子です。まだ少し覚めたところなので担当の澤田先生に抱っこされて酸素化してもらっています。




結石の成分分析の結果はリン酸アンモニウムマグネシウム98%以上(ストラバイト結石)というものでした。
今後の食餌指導が重要な結石であることが分かりました。
食餌管理だけで再発をかなりの確率で予防出来ます。


手術後5日目に退院されました。術後の経過も順調です。飼主様も嬉しそうでした。

今後も心不全の治療は続くけど、これだけの手術を乗り越えた心臓だからきっと大丈夫だね。これからも一緒にがんばろう!!!


文責:佐羽

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