読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

津波に負けない住まいとまちをつくろう 東日本大災害の教訓を後世に残すことを考える勉強会2015

2015年06月05日 | 防災・復興(内閣府防災、復興庁、気象庁)
 この本によれば、東日本大震災で、鉄筋コンクリート造やピロティ式の建物は津波に耐えられることが証明された。
 したがって、(津波到達までに一定以上の時間があることが必要だが、)高台移転や大規模な盛土、10m以上の防潮堤といった巨大な土木工事を行わなくても、高層のビルを建て、住宅は津波の届かない高さに設置し下層階にいる人や歩行者は垂直避難するようにすれば、津波に負けない街を再建・復興することができる。

(感想)
 現実はそれは一つも実現しなかった。現実にはL1津波に耐える防潮堤が築かれ、それでも海岸に近い土地は津波危険区域に指定されて住めず、L2津波でも安全な高台に新しい街が建設される。そのための莫大な予算が投入され、しかし工事量も膨大であるため時間がかかる。
 その理由は、土木と建築の融合ができず、土木ベースの事業制度、予算がつくられたから。

 ただし、私の考えとしては、それでも津波被災後に海の近くに住む気はしない。確かに津波に耐えた建物は私も南三などで見たが、女川では鉄筋ビルの基礎が抜けて転倒していたし、石巻では津波には耐えたが津波火災で全焼していた。
 高台に中高層集合住宅をつくるのが正解だったではないだろうか。 用地取得+造成面積を縮小、工期を短縮し、浮いた予算を建築費補助に充てれば住民負担も軽減される。交付金や事業制度がもっと柔軟なものであれば、どこかで実現したかもしれない。


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