読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

都市計画家・伊藤滋が見た東北復興縦断2011₋2021 2023年5月

2023年07月16日 | 防災・復興(内閣府防災、復興庁、気象庁)

2011年7月から2021年まで、北は青森県八戸から南は福島県いわきに至る東日本大震災の津波被災地を毎年1回視察旅行し、復興歩みをカメラに収めた記録。
「はじめに」に著者の感想が記されている。「現地に身を置けば、復興に向けたたゆまぬ努力が続けられていることは感じられるのだが、目に見える成果として感じ取れない場面も少なくなかった。しかし、改めて10年分の写真を一覧してみると、どの場所も時代へとつなげる歩みをやめなかったことが感じられる。関係者の努力に最大限の敬意を表したい。」

私の読後感想としては、第1に震災復興の貴重な記録であるということ、第2に客観的な評価は避けざるを得なかったのだろうということ。p55には陸前高田市のかさ上げ工事後の空き地の写真がある。この工事を含め10年間に36兆円の国家予算(p122)投じたこととその成果の評価を、本書の各ページの写真の風景形成に直接関わった人々に突き付けることはあまりにも酷であるから。

p144「東日本大震災から東京は何を学んだか」に記されていること
・東京湾は湾口がくびれているため安全性は高い。防波堤(防潮堤?)による津波減災を検討する必要がある。
・火災は、湾岸、特に千葉県湾岸部の石油精製工場等の工場地帯で大火災を引き起こす可能性がある。埋立地の堤防が壊れ、石油やガスのパイプラインが破損して火災を発生させる恐れもある。
・鉄筋コンクリート造建築物は、火災を防ぎ、地震・津波に対する一番有効な手段になる。
など

 

 


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