シカゴ通信

つれづれなるままに、シカゴでの生活を記録します

Pricing Strategy

2005-04-08 11:51:31 | GSB
先日からかなりの時間をかけて取り組んだ、Pricing Strategyの最初の宿題。内容は、建設現場で用いられる杭関連の新製品のケース。
新製品導入にあたっての導入価格を求めよ、という問題なのだが、これが非常に新鮮で、とても刺激的。朝4時ぐらいまでわけわからなくなりながら宿題をし、今日のお昼の授業に出席。

大まかな内容は以下の通り。
製品が顧客に与える価値を以下の基準に従って、要素分解する。

 EVC(Economic Value to the Customer)
         = Reference Value(競合製品の価格)
         + Differentiation Value(その商品だけが与えることができる新しい価値。差別化要素。機会費用含む)
 
ケースで紹介されていた新製品では、作業時間が従来製品に比べて30時間短縮できる、というもの。(この時間を計算するのが本当に手間取るのだが)
したがって新製品は、これまで30時間かかっていた直接労働費、直接材料費分を、新しい自分の製品価値として付加することができる。(これは機会費用でもある)だから直労費などを割り出していって、各要素を足しこんで求めた価格が、この製品の価格となる。

自分でやっていた価格では1,500ドル。今日授業で教授が示した価格が800ドル。実はOverhead costをVariable(変動費)として足しこんでいたために私は間違ってしまったのだが。。。(ともあれ、多くの学生がOverheadを変動費として足しこんでいたのでちょっとした議論になったけど・・・だって、私、overhead variable costっていうのを管理会計で習いましたよ・・・)

教授が続けて言うには、
「従来のマネジメント手法では、Cost-Plus、限界利益(Contribution Margin)にしたがって利益計算し、価格を決定しますよね。この事例では、マネジメント層は限界利益率を50%として設定しているので、単純に計算すると、単価は$138にしかならない。ところが、このように顧客に与える価値=EVCに基づいて計算すると、単価は$893になります。つまり、マネジメントが想定している価格は、underprice(安く売りすぎ)なわけです。」

「さて、顧客へ示す単価は、$138が最低ライン(粗利50%)、$893が最高と考えることができますが、果たして顧客は$893という価格の正当性をどう理解すると思いますか? ここから、この製品のマーケティング活動をするかどうか、という意思決定が生まれるわけです。例えば宣伝や口コミ、教育といったものですが、さて、この製品はそれをするに値すると思いますか。高価格設定にすることによって失うもの、低価格によって失うもの、を考える必要がありますしね。」

「また、顧客に与える価値ベースで価格設定をする、ということは、違った顧客に対して違った価格で販売できるということですね。このケースでは、顧客Cに対しては、最大$893ですが、顧客Fに対しては、$1,272の価格をつけることが可能ですね。」

等等、刺激的な内容だ。

とにかく、授業はシカゴらしくごりごりの数量・計算ベースで気に入っているし、教授の授業の進め方が非常に巧いのと、情熱的なのと、常に「何故?」を突き詰めていく手法と、内容が非常に今までの仕事に関連していて、かつ、とても新鮮なので、3時間という長丁場の授業があっという間に過ぎる。素晴らしい。

で、授業の後半はひたすら需要の価格弾力性の話。今週末の日曜日の補講では、弾力性の計測を、データをつかって回帰分析する、と言っていた。

ちなみに、結局、この製品は導入されなかった、というオチがついてました。。。。
(しかし、自分の英語、もうちょっと何とかならんかな・・・)

授業が終わった後は、Cultural Diversity Festivalを軽く打ち合わせ。フランス人のA氏が、こういうことをやって、もっともっと皆でコミュニティを作りたいし、協力したい、って言ってくれて嬉しかった。(彼自身、Investment Banking Groupの部長で、投資銀行就職活動in Asiaの関連もあって、話が弾んだ)

今週はあと2つ授業。明日の晩は2つパーティ。ちょっと体力的にかなりきついです。