今さら聞けない「絵の具って何?」その1
~テンペラと油彩 絵画古典技法 3 ~
今回は、古典技法の難しいお話ではありません。
絵画一般の知ってて得する、やさしいお話の始まりです。
皆さん、小学校から中学高校まで、授業で絵を描いてましたよね。
現在、絵を描くのが趣味の方も、「絵の具って何?」と尋ねられて、
きちんと答えられる方は少ないのではないでしょうか?
すべての絵の具は、色の粉と画面に接着するもので出来ています。
色の粉を西洋絵画では「顔料(がんりょう)」と言います。
今回は、この「顔料」についてです。
絵を描いている方なら誰でも知っているこの画材メーカーにも、
この様なビンに入った「顔料」が商品のラインナップとして揃っています。
大きめの画材店や、小さな画材店でも専門的なものを扱っているところなら、
置いているところがあります。
中身は色の「粉」です。
鉱物である場合が多いですが、近年は化学的に作られたものも多くなっています。
古い時代から使われていた、希少で高価なものには、
ラピスラズリ(瑠璃)の砕いたものがあります。
ラピスラズリは天然石ビーズなどで、現在とても人気ですよね。
ラピスラズリのブレスレットやネックレスをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
現在は化学的に作られた比較的安価で耐久性のある青色の顔料が出ていますので、
ラピスラズリィの粉を使う人はあまりいないと思いますが、
何百年間も、最も貴重な青色「顔料」として使われてきました。
「なぜキリストと聖母マリアの衣が青いのか?」
その理由が、「青色顔料のラピスラズリが高価だったから、尊い方々の衣に使った。」というのは、
ちょっと面白い理由だと思いませんか?
写真の2列目の「顔料」はほとんどが「土」です。
「バーントシェンナ」はイタリアのシエナの赤土を焼いたもので、赤褐色の顔料です。
「テールベルトグリーン」は「緑土」です。
奥は代表的な白色顔料「酸化チタン」と「鉛白」です。
酸化チタンは、私がいつも油彩とテンペラの混合技法で描く時に、
テンペラ絵の具の白を作るために使用しているので、大きな容器で購入しています。
私は西欧絵画の古典技法が専門なので、洋画の「顔料」について書きましたが、
日本画の色の粉についても触れておきます。
日本画では色の粉を「岩絵具」と言います。
希少な鉱物である場合が多く、貴石、半貴石などを焼成したものが使われます。
興味のある方は調べてみてくださいね。
では次回は、画面との接着の役割を果たす物質についてのお話です。
鎌倉伊織 URL http://www.kamakura-iori.net
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