kei's anex room

日々の歌日記(硲 比呂介)http://blog.goo.ne.jp/hiro5713 の別館です。

九月三日(日) 吉備路の会詠草・歌評

2006-09-03 16:07:19 | 吉備路の会 詠草
吉備路の会 2006年9月定例会(第42回)詠草への歌評

1 昨夜(きぞ)の雨ふいに発たしむ杳き日の若き乙女の脚の匂ひを

2 老いることまこと悲しき杳きひとの腋窩みづみづしく香り発つ

3  一夏の儚き命と知りて鳴くか吾も一緒に泣いてみましよう
   上句の重さに比して終句が少し軽すぎます。いなし かも解かりませんが                     アンバランスが気になりました。

4  同じ月を友も見ているとメールあり励まされつつ歩く15分
   欲を言えば15分の具体が欲しいと思いました。

5  ルドべキア花弁垂れつつ蝉しぐれ気が遠くなる炎天の午後
   気が遠くなる炎天・・ と直接言ってしまうと歌が固くなります。例えば
   気失せるごとき炎天・・(あまりいい例ではありませんが)と喩にしたほう   が纏まって歌が締まると思いますが・・。

6  口癖は気力に欠くるなかりしか叔父見る様な夏雲が立つ
   口癖と叔父との関連がよく解かりません。作者の心中では解かってみえるの   でしょうが、読者には跳躍が過ぎて解かり難い。

7  足長く美しく歩みし友よ今傷あと深く車椅子のる
   車椅子のあとの助詞”に”は絶対排除出来ません。此処はやっぱり 車椅子   にのる としなければ・・(たとえ字余り、破調になっても)。

8  長き廊下車椅子押す友のあり雨続く日び如何に耐えいる
   これは上手く纏まっています。

9  葉に白き点点の病やりすごしめばなの黄色灯るがに咲く
   病やりすごし がやや意味不明。白い点々のある葉の間に黄色の花が咲いて   いる状況はよく見えますが。

10 長啼きをつくつくほうし鳴き崩れもういいよーもういいよーとぞ啼き止め
   佳吟。終句にもう一工夫欲しい。

11 朝の月残す湖面を五位鷺は相対の影落し渡れる
   強いて意見を申すなら、相対の影 に再考の余地がありそうです。

12 朝より天下を執ったように蝉鳴き騒ぐなりわが家の庭に
   朝は あした と詠ませるのですね。 蝉鳴き騒ぐ が句跨りになってしま   うのが残念。

13 次々に雲塊を飛び出すちぎれ雲いくさの加勢に行くが勢(きお)いに
 

14 正確なるセンサー持つらしわが歩む前後を横切る燕は触れず
   センサーを持つ がいい着眼。超音波を出している(蝙蝠のように)とい説
   もあるようです)

15 天焦がす打上げ花火が間(あわい)より彼方の雲の寝姿発く
   発く は、あばく ですか?発くは確かに辞書にありますが、フリガナがな   いと詠みにくいでしょう。