kei's anex room

日々の歌日記(硲 比呂介)http://blog.goo.ne.jp/hiro5713 の別館です。

Web短歌詠草九月分

2005-11-03 11:06:29 | Weblog
  
■九月コメント
2717:秋風に昼寝もできず慌し洗濯物の温き夕暮れ 風蘭
秋の日は短いですね。 もぐら
けふ明日は洗濯せよ、とテレビ言ふ。但しイラスト主婦しゐるなり。 ○もぐら
2716:疑のこころ浮きつ沈みつ持て余しふと見上げれば満面の月 風蘭
なかなかフランクになれなくて。 もぐら
何億年浮かびゐるかは知らねども、月の笑ひしことあり、と聞かず。 もぐら
2715:瞳閉ず一瞬の間も時は過ぎ流るる星に夢を盗まる 船坂圭之介
夢は儚いです。 もぐら
足元を見ずにゐたれば、誤用とふ落し穴にぞはまりたりける。 ○もぐら
2714:俗世(ここ)からの出口のごとく闇に明く満月を閉じひとり眠らな 船坂圭之介
吸い込まれそうですね。 もぐら
お父さん、お月様消すリモコンは何処にあるの、と。可愛げも無し。 もぐら
2713:緋のいろに染まるこころや哀別の楽とし聴かん 遠き夕雷 船坂圭之介
今年は夕立が多かったです。 もぐら
ひとしきりごろごろ鳴りて去りて行く後に、秋風吹き入るるなり。 もぐら
2712:ひとなつをまた流しゆけ夜を徹ししとどわが血のごとき濁流 船坂圭之介
夏休みも終わって。 もぐら
再びは蘇ることなき悲しみの汚濁の街を、けふは去りなむ。 もぐら
■九月詠草

吉備路の會 詠草歌評

2005-11-02 15:18:46 | Weblog
 

 

 


吉備路の会 2005年11月定例会(第37回)詠草 (歌評)

1  老い母の枯木のごとき腕(かいな)より採血されゆくかなしきくれない

採血されゆく が八音なのが惜しい。・・さるる か されし とされたら哀韻の調べが生きると思います。


2  くやしさと汗を洗えば少年のユニホーム風に胸張り踊る

同じく ユニホーム風に が八音でしかも句跨りとなり、全体にギクシャクしてしまいます。着眼はいいので下二句を推敲されたらよい。

3  返らざる遠き恋あり木犀の香りほのかに私を誘う

かえる には 歸る 返る 還る 反る といろいろ在るが、字ひとつで感じが随分かわります。返る が最適かどうか。

4  裡に抱くわが哀しみの形とも秋空たかき雲のひとひら

この歌も振り返って杳い日の悲恋(だったのでしょう)へのほのかな思慕の情がつつましく詠まれていて好感持てます。

5  満開の薔薇挿ししゆえ散りがてを黄昏どきの身につまさるる

6  砂嵐猛る幾夜さ砂深き木乃伊一族醒むることなく

7  実の果肉酢の物となす夕顔のぶどうに似たる甘さととろみ

8  青さまし葉のちぢれ消ゆるピーマンの大型の実をしかとつけおり

9  成らざりし恋おぼろなり口開けて入歯の型をとられておりぬ

10 遠き日の哀しみふいに憶い出づ夕映えに揺るる茅花の小径

11 傍らに妻のいびきの安らけく深き眠りに秋の虫の音

12 手にしたるエコー写真の人影に生命(いのち)の鼓動伝わりて震う

13 歯を抜きて痛くもなきに西風がアカネ流しつ老いの身に沁む

14 太古よりかく過ぐものかごうごうと陽は沈みゆく海原染めて

15 帰り得ぬ遠き昔のあれこれを脳漿(なずき)に秘めて秋の陽を浴ぶ

16 まどろみの中降り来るはちりぢりの過去の破片の混じる林檎酒

17 パソコンの受信トレイに並びくる「あなたもやせられる!」広告憎し

18 着信のレターマークが表れて待てば融資の広告出でぬ