七月三十日(日) 季節は夏
日々の創作短歌 | 2006-07-30 08:35:24
季節は夏
*ふりかへり見れば光陰矢のごとく窓の外を過ぐ儚きひと世(外=と)
*夢はつひに夢に終はりぬ夏猛ける夜の静寂に噴き上ぐる汗(静寂=しじま)
*夏といふはげしき季節 遠がすむ過去か未来か暗き森見ゆ
*夜のこと朝のことども頭をめぐるされど再び来ぬ夏と知れ
七月二十九日(土) 月影に想ふ
日々の創作短歌 | 2006-07-29 05:34:47
月影に想ふ
*「月読」は光陰あふらしめ狭庭辺の暑きに萎る茴香を起たす(光陰=かげ)
*雲を追ひゆるり山端に曳かるるがごとくその光陰揺らしゆく月
*真闇なる中天にいま燦とありかのひとも見む大きつきかげ
*かのときのかの月いづこ二人して茫と眺めし鵜飼夜の かの
七月二十八日(金) なつかしき香
日々の創作短歌 | 2006-07-28 14:24:59
なつかしき香
*そのひとの夏の香りの懐かしきひとり伏す夜にほのか顕つ香よ
*かぐはしき香に酔ひ恋ひぬそのあまり白きししむら百合の顔貌(顔貌=かんばせ)
*わが生活日々細るなかかねて酔ひしひとの香のする夢さへも見ず(生活=たつき)
*この生命果てなむ日々も近からむ昨日・今日・明日疾く走り過ぐ
七月二十七日(木) 梅雨明けぬ
日々の創作短歌 | 2006-07-27 06:02:08
梅雨明けぬ
*逢へることのぞみ得ぬ日々送らしめ池に輪を成す雨を見つ居り
*なみださへ涸れ果つる身に夏の夜のしげく降る雨なぜ欲せざる
*やうやくに梅雨明け初めし夕暮れの雲のくれなゐその彩ぞ佳き(彩=あや)
*わたくしの心の揺れかはた地震かかそか地の面の定かならぬは(地震=なゐ)
七月二十六日(水) 夏の目覚め
日々の創作短歌 | 2006-07-26 06:54:29
夏の目覚め
*呟きのやうないかづち遠鳴りてやつぱり夏をわたしは嫌ふ
*いたつきに伏す耳に鳴る夏の夜の風は囁く亡き母の声に
*長き雨なほ降り止まぬ朝にして記憶失ひつつ目覚む身は
*目覚むれど重き頭の冴えゆかず夢にうつろふこれもしあはせ
七月二十五日(火) けふあす
日々の創作短歌 | 2006-07-25 05:54:20
けふあす
*濫造は歌をけがすとわがともの謂ひの痛さに耳ふさぎたし
*逢ふことのふたたびは無き寂しさに独り枕を固くいだきぬ
*臑ながき乙女ふたりの輝きてわが棲み得ざる世界ともしき
*差し迫る驟雨に追はれ飛び込みし「鴉族の巣」なる茶房冷ややか
七月二十四日(月) 宿命なりせば
日々の創作短歌 | 2006-07-24 11:39:42
宿命なりせば
*運ぶ風持ち去る風等うづまきて千々に散り居りわが恋ひ心
*あまやかに喉とほりたり小夜更けて吾に禁断のひと口の水
*塩と水控へたるゆゑ味うすくパサパサなれど食むは 夕餐
*この時に在るといふこと如何やうに辛くとも耐ゆ宿命なりせば(宿命=さだめ)
七月二十三日(日) 透析室にて
日々の創作短歌 | 2006-07-23 08:54:26
透析室にて
*こころ冷むままに仰臥を強ひられつ数リットルの血を洗ふため
*二の腕に蛇のごとくに捲きつきしわが血に赤く照るカテーテル
*ときならぬ尿意に止むを得ず呼びぬ 若きナースへさらす老体
*目を閉じて耐ゆひたすらに若き等の好奇溢るるさげすみの眼に
七月二十二日(土) 夏の晨
日々の創作短歌 | 2006-07-22 07:21:21
夏の晨
*冷感のあな裏に快・むし暑き夜々の最なかに庭に下るれば
*歯に沁むは老いたるゆゑかあさあさに漱ぐ水道水の逆襲
*走り去る影とし見ゆる朝ぼらけ月を追ふがに逃ぐる雲ぐも
*夏の朝さはやかに明く昨夜来たる阿修羅のごとき不整脈去る(昨夜=よべ)
夕映えのひと
*「忘らるる身はわれかかのあやまちに」古人の歌の悲しくもあり
*後朝のわかれも杳き思ひ出にひとり寝の朝ほほ濡らす 露(後朝=きぬぎぬ)
*去り行きしひとの香りす遠山に夏夕映えの色彩のたしかさ(色彩=いろ)
*虹をわたりゆくがごとくに夕雲のかのひとに似る形懐かし
七月二十日(木) 未練
日々の創作短歌 | 2006-07-20 05:53:53
未 練
*君去りし理由さへ知らず 悶々の時よ空しく過去へ疾く去れ (理由=わけ)
*そを訊くもつひに答へず去り行きしひとの心を計りかね居つ
*還暦のひとを喜寿なる老いびとのわが恋ひぬるは儚きや・否 (否=ノン)
*一瞬に変るこころを知らばこそをみなとはげに解らざるもの
七月十九日(水) 哀悼 嗚呼 蔵本瑞恵さん
日々の創作短歌 | 2006-07-19 06:28:33
哀悼 嗚呼 蔵本瑞恵さん
*訃報ひとつ胸の空虚にひびきけり夏更くる夜に風鳴りのして
*おもかげのふと浮かび来る颯爽の風姿すずしき過去の遥けし
*「炎を孕む」如く激しき日もあらめ君安らかに嗚呼眠りませ
*ときとして胸詰まるまま繰る歌集 切々と呼ぶ声聴くがごと
七月十八日(火) 嫩き日の恋ひへ
日々の創作短歌 | 2006-07-18 07:11:26
嫩き日の恋ひへ
*トシ坊よいづこにおはすあの白き脛にときめきし日の懐かし
*ヒロコヒロコ夏のホームの陽炎に揺めき消えしあの終の日よ
*夕陽差す木立のかげに佇ずみしセーラー服の襟の まぶしき
*手をひとつ握ることすら無き別れされど胸刺す思ひいまだに
七月十六日(日) 小島ゆかり讃
Weblog | 2006-07-16 05:45:46
小島ゆかり讃
*うづくほど熱き夕べに鳴るベルは恐らくは汝れ 小島ゆかりよ
*汝が歌集飽かず読みつつ眠る夜の夢にまた見ぬ 小島ゆかりを
*汝が残す香り慕ひてあゆみたしその名うるはし 小島ゆかりよ
*季節を抱くこころに熱き風の中たゆたひて恋ふ 小島ゆかりを(季節=とき)
日々の創作短歌 | 2006-07-30 08:35:24
季節は夏
*ふりかへり見れば光陰矢のごとく窓の外を過ぐ儚きひと世(外=と)
*夢はつひに夢に終はりぬ夏猛ける夜の静寂に噴き上ぐる汗(静寂=しじま)
*夏といふはげしき季節 遠がすむ過去か未来か暗き森見ゆ
*夜のこと朝のことども頭をめぐるされど再び来ぬ夏と知れ
七月二十九日(土) 月影に想ふ
日々の創作短歌 | 2006-07-29 05:34:47
月影に想ふ
*「月読」は光陰あふらしめ狭庭辺の暑きに萎る茴香を起たす(光陰=かげ)
*雲を追ひゆるり山端に曳かるるがごとくその光陰揺らしゆく月
*真闇なる中天にいま燦とありかのひとも見む大きつきかげ
*かのときのかの月いづこ二人して茫と眺めし鵜飼夜の かの
七月二十八日(金) なつかしき香
日々の創作短歌 | 2006-07-28 14:24:59
なつかしき香
*そのひとの夏の香りの懐かしきひとり伏す夜にほのか顕つ香よ
*かぐはしき香に酔ひ恋ひぬそのあまり白きししむら百合の顔貌(顔貌=かんばせ)
*わが生活日々細るなかかねて酔ひしひとの香のする夢さへも見ず(生活=たつき)
*この生命果てなむ日々も近からむ昨日・今日・明日疾く走り過ぐ
七月二十七日(木) 梅雨明けぬ
日々の創作短歌 | 2006-07-27 06:02:08
梅雨明けぬ
*逢へることのぞみ得ぬ日々送らしめ池に輪を成す雨を見つ居り
*なみださへ涸れ果つる身に夏の夜のしげく降る雨なぜ欲せざる
*やうやくに梅雨明け初めし夕暮れの雲のくれなゐその彩ぞ佳き(彩=あや)
*わたくしの心の揺れかはた地震かかそか地の面の定かならぬは(地震=なゐ)
七月二十六日(水) 夏の目覚め
日々の創作短歌 | 2006-07-26 06:54:29
夏の目覚め
*呟きのやうないかづち遠鳴りてやつぱり夏をわたしは嫌ふ
*いたつきに伏す耳に鳴る夏の夜の風は囁く亡き母の声に
*長き雨なほ降り止まぬ朝にして記憶失ひつつ目覚む身は
*目覚むれど重き頭の冴えゆかず夢にうつろふこれもしあはせ
七月二十五日(火) けふあす
日々の創作短歌 | 2006-07-25 05:54:20
けふあす
*濫造は歌をけがすとわがともの謂ひの痛さに耳ふさぎたし
*逢ふことのふたたびは無き寂しさに独り枕を固くいだきぬ
*臑ながき乙女ふたりの輝きてわが棲み得ざる世界ともしき
*差し迫る驟雨に追はれ飛び込みし「鴉族の巣」なる茶房冷ややか
七月二十四日(月) 宿命なりせば
日々の創作短歌 | 2006-07-24 11:39:42
宿命なりせば
*運ぶ風持ち去る風等うづまきて千々に散り居りわが恋ひ心
*あまやかに喉とほりたり小夜更けて吾に禁断のひと口の水
*塩と水控へたるゆゑ味うすくパサパサなれど食むは 夕餐
*この時に在るといふこと如何やうに辛くとも耐ゆ宿命なりせば(宿命=さだめ)
七月二十三日(日) 透析室にて
日々の創作短歌 | 2006-07-23 08:54:26
透析室にて
*こころ冷むままに仰臥を強ひられつ数リットルの血を洗ふため
*二の腕に蛇のごとくに捲きつきしわが血に赤く照るカテーテル
*ときならぬ尿意に止むを得ず呼びぬ 若きナースへさらす老体
*目を閉じて耐ゆひたすらに若き等の好奇溢るるさげすみの眼に
七月二十二日(土) 夏の晨
日々の創作短歌 | 2006-07-22 07:21:21
夏の晨
*冷感のあな裏に快・むし暑き夜々の最なかに庭に下るれば
*歯に沁むは老いたるゆゑかあさあさに漱ぐ水道水の逆襲
*走り去る影とし見ゆる朝ぼらけ月を追ふがに逃ぐる雲ぐも
*夏の朝さはやかに明く昨夜来たる阿修羅のごとき不整脈去る(昨夜=よべ)
夕映えのひと
*「忘らるる身はわれかかのあやまちに」古人の歌の悲しくもあり
*後朝のわかれも杳き思ひ出にひとり寝の朝ほほ濡らす 露(後朝=きぬぎぬ)
*去り行きしひとの香りす遠山に夏夕映えの色彩のたしかさ(色彩=いろ)
*虹をわたりゆくがごとくに夕雲のかのひとに似る形懐かし
七月二十日(木) 未練
日々の創作短歌 | 2006-07-20 05:53:53
未 練
*君去りし理由さへ知らず 悶々の時よ空しく過去へ疾く去れ (理由=わけ)
*そを訊くもつひに答へず去り行きしひとの心を計りかね居つ
*還暦のひとを喜寿なる老いびとのわが恋ひぬるは儚きや・否 (否=ノン)
*一瞬に変るこころを知らばこそをみなとはげに解らざるもの
七月十九日(水) 哀悼 嗚呼 蔵本瑞恵さん
日々の創作短歌 | 2006-07-19 06:28:33
哀悼 嗚呼 蔵本瑞恵さん
*訃報ひとつ胸の空虚にひびきけり夏更くる夜に風鳴りのして
*おもかげのふと浮かび来る颯爽の風姿すずしき過去の遥けし
*「炎を孕む」如く激しき日もあらめ君安らかに嗚呼眠りませ
*ときとして胸詰まるまま繰る歌集 切々と呼ぶ声聴くがごと
七月十八日(火) 嫩き日の恋ひへ
日々の創作短歌 | 2006-07-18 07:11:26
嫩き日の恋ひへ
*トシ坊よいづこにおはすあの白き脛にときめきし日の懐かし
*ヒロコヒロコ夏のホームの陽炎に揺めき消えしあの終の日よ
*夕陽差す木立のかげに佇ずみしセーラー服の襟の まぶしき
*手をひとつ握ることすら無き別れされど胸刺す思ひいまだに
七月十六日(日) 小島ゆかり讃
Weblog | 2006-07-16 05:45:46
小島ゆかり讃
*うづくほど熱き夕べに鳴るベルは恐らくは汝れ 小島ゆかりよ
*汝が歌集飽かず読みつつ眠る夜の夢にまた見ぬ 小島ゆかりを
*汝が残す香り慕ひてあゆみたしその名うるはし 小島ゆかりよ
*季節を抱くこころに熱き風の中たゆたひて恋ふ 小島ゆかりを(季節=とき)