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先日、仕事の現場で一時間半ほど待機状態になる時間ができたので、現場から近所の紀伊国屋書店に行った。 そこで「みんなで考えよう 世界を見る目が変わる50の事実」という本が目に止まった。
この本は、世界中にある諸問題や不条理な現実などを、すべて数字を挙げて紹介している。50の項目にわたっており、ひとつひとつは3~4ページ程度で、文章もいたって平易だ。
同書はもともと、「世界を見る目が変わる50の事実」というそれなりに硬い構成になっていた書籍だったものを、小学生でも読めるような構成に再編集したものらしい。("みんなで考えよう"という冠がついてるほうが読みやすい版ということだ)
で、いつか家族で読もうと思って、この本を購入した。
立ち読みの時にある程度流して読んだけど、家に帰ってからまたじっくり読んでみた。 ざっと目次の中から、特に考えさせられたものだけを抜粋して紹介してみよう。
■日本女性の平均寿命は85歳。ボツワナ人の平均寿命は34歳。
■中国では4400万人の女の子が生まれてこなかった。
■世界の5人に1人は1日1ドル未満でくらしている。
■ロシアで夫や恋人に殺される女性は、毎年1万2000人以上。
■地雷によって、毎時間1人は死傷している。
■拷問は150カ国以上でおこなわれている。
■2005年、アメリカの防衛費は約5181億ドル。
「ならず者国家」7カ国の防衛費総計の36倍。
■世界には2700万人の奴隷がいる。
目次だけ見渡しても、こういう感じの表題がずらっと50項目ならぶ。
それぞれが日本に暮らしていては実感できない、しかし世界の中での「現実」なのだそうだ。 紹介した表題だけを見ても、ショッキングなものが多い。数字を挙げているだけに、強い説得力もあり、世界の複雑な諸問題を知るための、良いキッカケとなりそうな本だ。
これら項目のすべてに言及するわけにもいかないのでひとつだけ紹介を。
■世界中の紛争地帯で戦う子ども兵は30万人。
日本では絶対に考えられないことだが、18歳未満の子どもが、33の国で、政府軍、ゲリラ軍の両方で兵士として戦闘をしているとのこと。その多くは家族とはぐれた孤児であり、「食べ物をやろう」など言葉たくみに軍へひきずりこまれた子どもたちだそうだ。
女の子でさえ、戦争に利用される。
スリランカのゲリラ軍では、警備の網をくぐりやすいという理由から「自由の鳥」と名づけ、自爆兵として使っている。
9歳から兵隊として銃を持たされたカラミという男の子の逸話も載っていた。 カラミは15歳の時に、民家を焼き討ちし、仲間と一緒に一家を殺して、その肉を食べさせられたという。 カラミはそれをキッカケに脱走を決意し、やがて救助される。 しかし彼は言う。
「ぼくは読み書きもできません。家族の居場所もわかりません。いちばんつらいのは将来を考える時です。ぼくの人生は失われてしまいました。もう生きる希望もありません。夜も眠れません。眠ろうとすると部隊で目撃したことや、自分がやってきたひどいことを思い出すのです。」
戦争は人間を徹底的に破壊する。
そこには勝者も敗者もない。それは権力者たちの関心事でしかなく、戦場の者たちにとってははただ「生き延びる」ことに必死になる以外にない。 生き延びるためには殺さなければならない。 そして生き延びてさえも心に深い傷を残し、一生苦しまなければならない。
こういった極限状態を幼いうちから経験するということだ。
そしてそういう子どもたちが、まだ世界中に30万人もいるという現実。
これは子を持つ親としてはかなりショックだった。
戦争反対、世界平和、誰でもそう口にする。
実際に、そうなったほうがいいに決まっていることも、みんな分かっているはずだ。 しかし現実として世界は平和ではない。
変革するために、だったら何をすればいいのかと聞いた時、明確に答えられる人間もいないだろう。
また、ひとりの力は小さく、自分ひとりががんばってもどうにもなることじゃないとも思う。
それでも、こういった世界の事実に目を向けるということが、一歩になるような気がした。
子どもがもう少し大きくなったら、一緒にこの本を読んでみようと思う。
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先日、仕事の現場で一時間半ほど待機状態になる時間ができたので、現場から近所の紀伊国屋書店に行った。 そこで「みんなで考えよう 世界を見る目が変わる50の事実」という本が目に止まった。
この本は、世界中にある諸問題や不条理な現実などを、すべて数字を挙げて紹介している。50の項目にわたっており、ひとつひとつは3~4ページ程度で、文章もいたって平易だ。
同書はもともと、「世界を見る目が変わる50の事実」というそれなりに硬い構成になっていた書籍だったものを、小学生でも読めるような構成に再編集したものらしい。("みんなで考えよう"という冠がついてるほうが読みやすい版ということだ)
で、いつか家族で読もうと思って、この本を購入した。
立ち読みの時にある程度流して読んだけど、家に帰ってからまたじっくり読んでみた。 ざっと目次の中から、特に考えさせられたものだけを抜粋して紹介してみよう。
■日本女性の平均寿命は85歳。ボツワナ人の平均寿命は34歳。
■中国では4400万人の女の子が生まれてこなかった。
■世界の5人に1人は1日1ドル未満でくらしている。
■ロシアで夫や恋人に殺される女性は、毎年1万2000人以上。
■地雷によって、毎時間1人は死傷している。
■拷問は150カ国以上でおこなわれている。
■2005年、アメリカの防衛費は約5181億ドル。
「ならず者国家」7カ国の防衛費総計の36倍。
■世界には2700万人の奴隷がいる。
目次だけ見渡しても、こういう感じの表題がずらっと50項目ならぶ。
それぞれが日本に暮らしていては実感できない、しかし世界の中での「現実」なのだそうだ。 紹介した表題だけを見ても、ショッキングなものが多い。数字を挙げているだけに、強い説得力もあり、世界の複雑な諸問題を知るための、良いキッカケとなりそうな本だ。
これら項目のすべてに言及するわけにもいかないのでひとつだけ紹介を。
■世界中の紛争地帯で戦う子ども兵は30万人。
日本では絶対に考えられないことだが、18歳未満の子どもが、33の国で、政府軍、ゲリラ軍の両方で兵士として戦闘をしているとのこと。その多くは家族とはぐれた孤児であり、「食べ物をやろう」など言葉たくみに軍へひきずりこまれた子どもたちだそうだ。
女の子でさえ、戦争に利用される。
スリランカのゲリラ軍では、警備の網をくぐりやすいという理由から「自由の鳥」と名づけ、自爆兵として使っている。
9歳から兵隊として銃を持たされたカラミという男の子の逸話も載っていた。 カラミは15歳の時に、民家を焼き討ちし、仲間と一緒に一家を殺して、その肉を食べさせられたという。 カラミはそれをキッカケに脱走を決意し、やがて救助される。 しかし彼は言う。
「ぼくは読み書きもできません。家族の居場所もわかりません。いちばんつらいのは将来を考える時です。ぼくの人生は失われてしまいました。もう生きる希望もありません。夜も眠れません。眠ろうとすると部隊で目撃したことや、自分がやってきたひどいことを思い出すのです。」
戦争は人間を徹底的に破壊する。
そこには勝者も敗者もない。それは権力者たちの関心事でしかなく、戦場の者たちにとってははただ「生き延びる」ことに必死になる以外にない。 生き延びるためには殺さなければならない。 そして生き延びてさえも心に深い傷を残し、一生苦しまなければならない。
こういった極限状態を幼いうちから経験するということだ。
そしてそういう子どもたちが、まだ世界中に30万人もいるという現実。
これは子を持つ親としてはかなりショックだった。
戦争反対、世界平和、誰でもそう口にする。
実際に、そうなったほうがいいに決まっていることも、みんな分かっているはずだ。 しかし現実として世界は平和ではない。
変革するために、だったら何をすればいいのかと聞いた時、明確に答えられる人間もいないだろう。
また、ひとりの力は小さく、自分ひとりががんばってもどうにもなることじゃないとも思う。
それでも、こういった世界の事実に目を向けるということが、一歩になるような気がした。
子どもがもう少し大きくなったら、一緒にこの本を読んでみようと思う。
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