kazzdokkのひとりごと

酒呑みの翁の日常の出来事

レモンと檸檬

2009年03月02日 | Weblog

会社に入社したばかりの若かりし頃、実家近くにある「レモン」という喫茶店によく通っていた。
カウンター5、6席と4人掛けテーブルが3卓程度の小さな店だった。

インベーダーゲームが流行っていた頃、ふらりと入ったこの店のテーブルもインベーダーゲーム機になっていた。
当時、表示可能な最高得点9,990点で止めようと思ったが、誤って別のインベーダーを打ち落としてしまったため0点に戻ってしまった。
そのことをマスターに話すと一瞬、信じられないという顔をしたが、是非、やり方を教えて欲しいと言ってきた。
100円もらってゲームを開始し、攻略方を教えた。
初入店なのにコーヒーまでご馳走になってしまった。
それが「レモン」のマスターとの出会いだった。

マスターは長身、ややがっしり、髪は何となく七三、ひげをはやし、お目々ぱっちりといった典型的な昔の喫茶店マスター風で、働き者のママ(奥さん)と二人で店をやっていた。
常連も多く、行けば必ず誰か来ていて、他愛ない雑談をしたり、ゲームをしたり。クリスマスにはパーティーにも参加し、マスターのポルシェに乗せてもらったりもした。
ルービックキューブを知ったのもこの店だった。

特に理由もないがあまり顔を出さなくなり、しばらくして行ってみると店もパスタ屋に代わっていた。
風の噂で、ひとり身になって、国道沿いでラーメン屋を始めた、ということは聞いていた。

今日、そのマスターがやっている「支那そば檸檬屋」に行って来た。
暖簾をくぐり目の前に現れた主人は、かなり太った体型で、髪は白く薄く、マスクをしていてひげは確認できなかったが、お目々ぱっちり具合は「レモン」のマスターのものであった。
他のお客様が居たこともあるが、遊び人風で小粋な感じだった雰囲気が大きく変わっていたこともあって何となく声を掛けそびれ店をあとにした。

「檸檬屋」のラーメン自体は、喉ごしの良いちぢれ麺、しっかり出汁が利いた醤油味でとても美味しかったが、40おやじの心には少しばかりほろ苦さが残った。


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