Kazucci ブログ

Composer, Bassist 土村和史の活動内容など

ベースの調弦法(2)

2013-06-25 22:07:10 | Weblog
まいど!

しつこく自分の5度チューニング(調弦)に関係した話を書いてみたいと思います。
低いほうからD-A-E-Bという調弦はいちおう自分で考えついたもので、他にそういう調弦をしている人を知りません。
もちろん世界は広いのでどこかに同じことを考えて実行している人がいる可能性もあるのですが。
「音域を広げたい」というのがこの調弦法を選択した一番の動機だけど、「他にやってる人がいない(っぽい)」ってのも大事な動機だったのです、実は。
で、誰もやってる人がいない(っぽい)のに何故実行できたか、言い換えるとどうやってその調弦に合う弦を調達できるのか。
実はダブルベース(コントラバス)には色々な調弦法があって、なにかしらの弦を流用することで「DAEBイケルッ!」って気付いたんですね~。

まず通常の4弦に一本足した5弦ベースがあります。より低い弦を一本足すか、より高い弦を一本足すかは演奏者それぞれの事情によって違いますが、つまり通常のEADGの4本に加えて下側lowBと上側highCがあります。
そして通常の調弦法に加えてそれより全音高い「ソロチューニング」ってのがあります。低いほうからF#-B-E-Aとなっています。これに、ややこしいことに5弦用のより低い弦C#があります。
さらに「通常5度調弦」のCGDA。
本気でややこしいので表にしてみます。

        通常  ソロ  5度
(特に高い弦) C
     1弦  G   A   A
     2弦  D   E   D
     3弦  A   B   G
     4弦  E   F#   C
(特に低い弦) B   C#

表中で赤い色をつけた弦がありますが、これが自分の5度チューニング(DAEB)に使っている弦です。4弦はC#弦を半音上げて、1弦はhighC弦を半音下げて使っています。
さらにバス弦には同じ種類でもテンションによるバリエーションがあったりするので、例えばlowDが欲しい場合きつめのテンションの4弦Eを買ってきて全音下げてチューニングするなんて方法もありです。実は僕も試してみたけど低音の輪郭がイマイチでした。ただ、lowC#弦を半音上げる場合は一気にきつく張るのではなく2,3日かけて半音あげていくのが良いようです、楽器のためにも弦のためにも。あまりきつくないテンションの弦を選んだほうがいいかもしれないですね。さらに低弦をきつく張ると弓が引っかかりにくくなるので、それも要注意です。いまのところ4弦D用にはすでに3種類試していて、スピロコアstark(きついテンション)のE・スピロコアC#・フラットクロムC#なんですが、フラットクロムC#が一番しっくりくる感じです。ナイロン系のC#弦もテンションが柔らかいのでかなり興味があるのですが、太さはどうなんだってるんだろう?そのうち試してみるかもしれません。

ところでこれだけバリエーションがあるベースの調弦ですが、これは現代になって多様化したわけではなく昔から様々な調弦法があったようです。17世紀以前は3弦が主流でそのころは5度チューニングが多かったようです。低いほうからGDAというのが主流だったみたい。ちなみに「主流」とか「主な」と資料で見かけるのは他の調弦法も存在したってことなのでしょうね。
18世紀になって楽器が4弦、5弦になるとともに現在の4度調弦や3度と4度が混ざったウィーンチューニングなるものが出てきたらしいです。低弦を細く作れる技術ができたことが背景にあります。なんで4度がレギュラーの調弦法になったのかはよくわかりませんが、18世紀のバカテクソロイスト、ボッテシーニがその調弦でかっこいい曲を残したから、なんて記述も見たことがあります。音階を弾くときに4度チューニングだと5度のそれと比べて左手の動き回る範囲が少なくてすむんですが、そのあたりも原因なんじゃないかと僕は思いますけどね。
自分は左利きなので5度に転向するのに少し有利かもしれないと思っているのですが、レッド・ミッチェルは「極端な」右利きだったらしいです。やっぱり天才なんだろうな、9日で5度チューニングをマスターしたという伝説もあるし。
ちなみに左手が大きく動き回る必要が増したので左腕を楽器を抱える負担から開放するため今は座奏です。あと大きな移動でも音程が正確にあたるようポジションシールを指板に貼っています、実は。

このチューニング法に興味を持たれた方は是非ライブに来てみてください。
なわけで、次回ブログは7/2のライブ告知です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

追記:ウチにはメインのフランソワ君(5度チューニング)とレッスンに使ったりするチロル君(4度)というダブルのダブルベースがあるのですが、先週フランソワ君の裏板に剥がれが生じてしまい入院していました。その間4度のチロル君を久々にマジ弾きしてみたんですが、やっぱり5度調弦の響きになれてしまうと4度はなんか物足りない感じです。薄いとまでは言わないけど、、、敷布団2枚で寝ていたのが1枚になった感じ?
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