毎日がしあわせ日和

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いのちを超える物差しなんてあるのでしょうか ・ その1

2018年08月01日 11時31分13秒 | 貴秋の視点、すなわち偏見


久々のブログです、またもやご無沙汰してしまいました。

毎日すごい暑さですね。

夏至からこっち 日照時間が日ごとに2分ばかり縮まってゆくことが無性にうれしく思えるほどの、強烈な日差し。

そんな猛暑をいっそうヒートアップさせるかのようなさまざまなニュースが連日流れていますが、そのひとつ、杉田水脈議員の 「LGBT差別発言」 問題。

以前なら間違いなく 議員やそれをかばう党の重鎮たちを激しく非難していたことでしょう。

頭から湯氣をたてて夜行バスに飛び乗り 抗議デモに参加していたかもしれません。

が、今回はどうも反応が違います。




最初にこのニュースを知ったとき 真っ先に意識に引っかかったのが、「生産性」 という言葉。

辞書で調べると 「生産のために投入される労働・資本などの生産要素が生産に貢献する程度」 とあります。

次の瞬間浮かんだのは、一時期パートや派遣社員として携わっていた旅館接客業の記憶。

お客さまを迎えおもてなしする 人間ならではの触れ合いのひとときが、まさにこの 「生産性」 という物差しでがんじがらめにされ、"もてなしと効率” という本来相容れないものを無理やりひとつ箱に押し込めた矛盾は、最前線で直接お客さまと顔を合わせて働く私たちが身をもって味わうことになります。

係ひとりひとりが その能力に応じて接客しうる限界ぎりぎりの人数を受け持たされ、お客さまの到着と同時に時間との戦いの火蓋が切って落とされます。

とりわけ大変なのが、夕食時。

3部屋なら3部屋、すべて同じ時間にかち合うことがないよう そこはご案内の段階であらかじめ調整しておきますが、それでも料理が進むにつれ 3部屋分の進行が重なり合うのは避けられなくなります。

一品ごとの手順やタイミングを考え 秒単位で動きを組み立てても、飲み物の注文や 余分な器や調味料の希望など さまざまな予定外のリクエストが入り、動きが狂います。

最悪なのは 遅れて到着したお客さまのお出迎えで、部屋までの案内はさすがにフロントが受け持ってくれますが、そのあとのご挨拶からお茶出し、館内の説明までを お尻に火がつくような状況で 焦った様子を見せずにっこりこなさねばなりません。

たいていのお客さまは そんな事情を知ってか知らずか 料理の遅れもこちらのミスも寛大に受け止めてくださいましたが、ときには叱責されることもあり、こちらはすべての理不尽をぐっと飲み込んで ひたすらあやまるしかありません。

こちらが何部屋受け持とうと それぞれのお客さまには関係ないこと、お客さまと係はあくまでも一対一の関係であり、おひとりおひとりが十分なサービスを受ける権利があるのですから。

このブログを以前からお読みくださっている方々はご存知のように、貴秋のテンポはひたすら “アダージォ (ゆっくりと、ゆるやかに) ” 。

ただでも苦手な 「早く、早く」 を限界を超えてなお強いられるこの仕事のストレスはかなりのもので、いまこうして思い出すだけで胸が苦しくなります。

ならそんな仕事に就かなければよさそうなものですが、どんな職種であろうと この 「生産性」 なる言葉はつきものであり、時間や数量といういのちなき物差しでいのちあるものが分け隔てられ切り刻まれるという事態は避けられないのですね。




ここで杉田議員の発言に話を戻せば、どんな個性を持とうと この世に生れ落ちた瞬間からかけがえのない存在であるはずの自分たちを 「生産性」 という即物的で無味乾燥な物差しでばっさり否定されたLGBTの方々の怒りや悲しみは察するに余りありますが、同時に 議員やその賛同者をどれほど口を極めて非難したところで この問題の根本的な解決には結びつかないとも思うのです。

なぜなら、この 「生産性」 という言葉で表される物差しは、為政者のみならず 私たちひとりひとり、差別するなんてひどいことだいけないことだと固く信じている人たちの内側にまで いつのまにか深く入り込んで根付いているからです。



















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