カヤ日記

活動する研究者、かやちゅ。@カヤニストの行動記録
カヤネズミの研究&保護活動や野生生物の保全に関する話題をつれづれに

桂川のヌートリア2010

2010-09-23 | 外来種問題

先日(9/16)のフィールド調査で見つけたヌートリアの坑道と足跡(穴の縁についている)。

桂川にはほぼ全域に生息していて、目撃情報もあちこちであるが、
私のフィールドではこれまで目立った痕跡はなかった。
足跡から判断すると、成体でかなり大きいと思われる。
2kmほど上流に2年ほど定着していた大きな成体(オス?)が最近姿を見ない。
コイツが大雨の増水で流れ着いてきた可能性もないではないか・・・。

ヌートリアは草食性の大食漢で、カヤネズミの営巣植物を食べてしまう。
いわば、間接的な天敵と言える、招かれざる客だ。

さて、どうやってお帰り願おうか。
ホウキを逆さに立てて追い返すという訳にもいかないし・・・。


桂川のヌートリア

2009-06-27 | 外来種問題

今朝,たまたま桂川を通りかかったら,橋の真下でヌートリアを発見.

川岸近くの水面に体半分を出して,しきりにもぐもぐと口を動かしている.どうやら水草を食べているようだ.残念なことに,桂川にはヌートリアが定着していて,あちこちで目撃情報がある.

ふと,去年の秋に対岸で岸辺に掘られたでかい穴を見つけたのを思い出した.
そうか,あれはたぶんヌートリアの巣だったんだな.

・・・などと考えながら観察していたら,通りがかりの人が集まって来て,即席のヌートリア観察会みたいになってしまった(^^;

知らない人も多いようだが,ヌートリアは特定外来生物に指定されている.
京都府ではこちらから生息情報を集めているので,目撃した場合は教えてあげて欲しい(本日のデータは報告済み).


バイオ燃料用作物が侵入種になる危険性

2008-06-14 | 外来種問題

け・ke・ケ・KE・ケナフ?のサイトを見て私のことを知ったという人から,問い合わせがあった.

なんでも,欧米のどこかの国で,Miscanthus gigateusという植物がエネルギー資源として注目されているそうだ(メールには詳細が書かれていなかったので,どこの国がどの程度の活用を検討しているのかは不明).「Hybrid種なので、種子からは拡がらない」「Originalは日本」と紹介されているらしい.それで「ケナフより安全なので,日本で栽培してはどうか」と考えたという.

結論から言うと,私は導入には反対だ.というか,

賛成できるわけないでしょう.

「そんな怪しい植物をわざわざ輸入しなくても,日本にはススキがあるじゃない(実際にはもうちょっと丁寧に書いたけど)」,と回答しましたが,いやもうね,10年前からわたくし,同じこと言ってるんですが,全然変わらんですね・・・.

実は先日,国連からこういう報告(↓)が出されたことを知って,ちょっと危険だなぁと思っていたところ.なんとタイムリー!ということで,ついでに紹介します.

バイオ燃料用作物が環境を破壊する「侵入種」になる危険性、国連で報告


ケナフの残りカス

2007-11-18 | 外来種問題

先日、東京から来客があった。授業の課題でケナフについてレポートまとめるために、わざわざ関西まで私の話を聞きに来たという。なんて物好・・・もとい、行動的だなぁと感心。

取材に際して、質問をメールで貰っていたのだが、その中で「ケナフは環境に良い影響しか与えないという認識が広まってしまっている気がするのだが、それはなぜなのか、またその原因はどこにあるのか。」という項目があり、驚いた。

ホンマに、世間ではまだそんな認識が一般的なんかなぁ。そう言えば、近所のスーパーでケナフのコーヒーフィルター売ってたな、と思いだし、早速リサーチ。製品パッケージの表には大きめの赤い文字で「環境に優しいケナフ」の表示。しかも隣に陳列されている再生紙製品よりちょっと安い。なぜ環境に優しいかの説明書きは一切無し。

なるほど、答えは「すり込み」だ。

他製品より値段が安ければ、環境に対して特別な関心がなくても、充分買う動機になる。コーヒーフィルターは、コーヒーが好きな人は、日に2、3回は使うだろう。そのたびに「環境に優しいケナフ」の文字が目に入る。

マクドナルドの紙ナプキンや、ファミリーレストランの箸紙にもさりげなく書かれている、「環境に優しいケナフ」の文字。探せばもっとあるだろう。つまり、「工業製品としてのケナフ」が、じわじわと消費者の無意識下に働きかけ、「環境に優しいケナフ」を印象づけているということだ。

そして、すり込みは新たな消費行動を生み出す。消費者は、ケナフ入りコーヒーフィルターを使ったら、あたかも環境に優しい行動をしているような錯覚に陥ってしまう。しかし、使い捨てのコーヒーフィルターを使っている時点で既に環境には負荷をかけているのだよ、ワトソン君(誰

「どのように環境に優しいのか」が明確でない、「環境に優しい製品」って、おかしいと思いませんか?

昨今、食品の偽装問題が取りざたされているが、こういった「環境にやさしい」とされる製品も、ちょっと見直してみたら、あやしいものがいっぱいありそうだ。環境省には、JAS法のような仕組みをぜひ作って、基準を満たさない商品は「環境にやさしい」という表示を入れさせないようにして貰いたいものです。まがい物のエコロジー製品は厳格に法律で排除しないと、いつまでたっても、環境に負荷をかけ続けることになる。


琵琶湖、雑感

2007-09-22 | 外来種問題

9/10-11に滋賀県の海津という町に行ってきた。過去にカヤネズミ調査でこの近くを訪れたことがあるが、今回は全く関係の無い用事。でもついつい、道ばたの草むらに目がいってしまう(苦笑

町のあちこちに、家々の間から湖岸に続く細い道が伸びている。そこを通り抜けると、一面に青い湖水をたたえた琵琶湖が眼前に広がる。あまりに広い湖面と岸辺に立つさざ波が、ふと実はこれは海なのではないかという錯覚にとらわれ、潮の香りがせず水が塩辛くないのが奇妙にさえ思えてしまう。

そういう感覚の混乱を、湖岸に打ち上げられている貝殻が、ここは淡水湖だよと理性に働きかけて諭してくれる。しばらく湖岸に沿って歩くと、細い水路に、ゴリの群れがピチピチとはぜていた。手を水に差し入れ、1匹を掬いあげた。太陽の光を浴びて、きらきらと金色に輝く姿をしばらく観察して、そっと群れに戻してやる。

じりじりと太陽に照らされながら、さらに歩いて船着き場にたどり着く。船の間に、外来魚の回収いけすが作りつけられていた。以前、守山の漁港で「もう、外来魚しか商売にならん」とつぶやいていた漁師のおじさんのことをふと思い出した(「カヤ談義、インターナショナル」参照)

町にある佃煮やふなずしを売る店で話を聞いたところ、ゴリなどの小魚は昔は文字通り「佃煮にするほど」たくさんいたが、最近は数が減ってきたとのこと。郷土料理として親しまれてきたふなずしが高級品になって久しいが、ゴリもそうなってしまわないことを願っている。