カヤ日記

活動する研究者、かやちゅ。@カヤニストの行動記録
カヤネズミの研究&保護活動や野生生物の保全に関する話題をつれづれに

仮剥製作り

2012-06-12 | 研究日誌

6月10日(日)、カヤネズミの標本制作のため、琵琶湖博物館へ。

研究のサンプルとして所蔵していたカヤネズミ10体あまりを琵琶博に寄贈することになり、せっかくの機会なので、標本作りにも参加させていただくことにした。
標本作りは、琵琶博の交流活動「はしかけ」のグループである、「ほねほねくらぶ」の活動の一環として行われている。

今回、私がチャレンジしたのは、仮剥製と頭骨標本。
仮剥製というのは、皮の中身を詰めないで、「ロケット」と呼ばれる台紙にはめ込む。
つまりぺたんこの皮だけの状態。
頭部、四肢、尾は切り離さずに皮についた状態なので、ほぼ外観の特徴はそのまま。
毛並みも、ある程度は質感が保たれる。

仮剥製を作るのは初めてで、慣れない作業にかなり手間取ったが、ほねほねくらぶのYさんに丁寧に教えていただいたおかげで、午前中から夕方近くまでかかって何とか完成。



もともとは毛並みの良い子だったのに、作業中に腰の毛がはげてしまって残念。
ただ、背中の上の方の毛の質感は良い感じに仕上がった。
ヒゲもきちんとついた状態。

頭骨標本は、中身を取り出したあと、ポリデント溶液に浸けて漂白している。
今日で3日目だが、まだ外観に変化無し。
きれいに真っ白に漂白されるまでは、しばらくかかりそう。


4月前半の日誌

2012-04-21 | 研究日誌

新しい所属に変わったものの,まだ書類上の手続きがすんだという段階で,なんら実感がわかないまま,半月がすぎた.来月,受け入れ先の先生と面会の予定なので,その時までに研究計画にめどを立てておきたい.

残念ながら客員研究員の身分では科研費の申請ができないので,それ以外の方法で研究費を得る必要がある.
現在申請中の
研究助成は新しい研究手法へのチャレンジなので,GISを調査手法のメインにすえた研究計画で,あと2つほど,申請しようと考えている.

ここ2週間ほどは,農業系の専門誌からの依頼原稿の執筆にかかりっきりだった.
昨日,ようやく脱稿.編集長から「希望通りの内容です」とのお言葉をいただき,責務を果たせた満足感.
執筆テーマはカヤネズミがらみだが,農業系の専門誌への寄稿は初めてで,予備知識を得るために関連文献を読むところから始めた.時間はかかったが,非常によい経験になった.
掲載は少し先になりそう.


異動のお知らせ

2012-04-01 | 研究日誌

4月1日付で、東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)客員研究員に着任しました。

研究活動の拠点は東大に移しますが、転居はせず、これまでのフィールドで研究を続けますので、桂川生物保全ネットワーク、保全協会保護・調査研究部メンバーとして、地元での自然保護活動は今後も継続します。
もちろん、カヤネットの活動も今まで通りやっていきます。

CSISでは、「GISを活用したカヤネズミの生息分布の解析」を研究テーマとして取り組んでいきます。
勉強することがたくさんあり、まだどの程度実現できるかわかりませんが、チャレンジ精神で前向きにやっていきたいと思います。

まずはお知らせまで。


3月の日誌

2012-03-31 | 研究日誌

4月から本格的にフィールドワークを再開させたい、とこの前書いたが(→桂川の春)、その一環として、2つの研究会に参加することにした。

ひとつは地域環境学ネットワーク。地域の環境問題解決に向けて、メンバー間の交流やシンポジウムの開催など、様々な取り組みが行われている。

もうひとつは西日本草原研究グループ。個々のメンバーのフィールドに月1回集まる研究会が活動のメインで、とても楽しみだ。
出来るだけ機会を作って参加したいと思っている。

3月前半はカヤネット関連で動くことが多く、研究の方はあまり進まなかった。
活動の合間に専門書を読んだり、文献収集をしたり、データの解析準備を進めたくらい。

3/17(土)~21(水)は生態学会に参加。今回の私的テーマは、草地とGIS。
とにかく発表数が多いので、聴きたいテーマを絞り込んで、駆け足で回った。
当初はフル参加の予定だったが、会場(龍谷大瀬田キャンパス)が思っていた以上に遠かったのと、公募書類書きに時間をとられて、会場に通ったのは3日目まで。4日目は懇親会、最終日は京都で行われた学会関連のQGISハンズオン・セッションに参加。
それでも、最低限聴きたかった発表は聴けたし、たくさんの新しい出会いもあり、非常に刺激になった。

学会参加後は、持ち帰った情報を整理しつつ、来年度の研究助成金申請作業(どうか当たりますように!)、先月開催された草地シンポの報告原稿執筆、論文共著者との研究の打ち合わせなどなど。

そして、本日をもって、(社)大阪自然環境保全協会専門研究員(生態学・環境教育分野)を退任します。
来年度以降も、保全協会の保護・調査研究部のメンバーとしての活動は継続します。
8年間お世話になりました。そして、来年度も引き続きよろしくお願いいたします。>関係者のみなさま


NTTファシリティーズCSR報告書2011から

2012-02-20 | 研究日誌

NTTファシリティーズのwebサイトで公開されている、2011年度のCSR報告書に「要注目種「カヤネズミ」保護の取り組み」という記事が掲載されていました。

実は、2007年の計画初年度と、2010年の再調査に関わっていました。
カヤネズミの営巣地が太陽光パネル建設地にかかるため、カヤネズミの個体群を移動させるための措置と、工事後の植生の保全と復元、アニマルパスウェイの設置とその利用状況などについて、現地調査と助言を行いました。

生息地の復元は、その場所に対象種が戻ってきて定着して初めて、成功と言えます。
2010年の再調査で、それが確認できたことで、ひとまずほっとしました。

工事がどうしても避けられない場合は、第一に生息地の保全を行うべきで、代替え地の創出は最終手段です。このケースでは、生息地の一部を広げる形で、他の失われた生息地の面積を担保するように提案しました。