
六波羅蜜寺といえば、歴史的には六波羅探題が置かれていたりして、単なる京都の観光名所以上の名刹である。
その六波羅蜜寺のあまりに有名な空也上人像が、半世紀ぶりに東京に来たと聞き、早速出かけてきた。
会場は国立東京博物館、事前予約で時間指定のチケットを購入していたのでスムーズに・・・ってか、まだ混雑もしていなかった。
六波羅蜜寺は元々の京都から見れば、洛外に位置し、冥界の入り口ということで、六道の辻とも言われていた由。
その空也上人の像は口から六体の像を吐き出していて、これが「南無阿弥陀仏」を意味するという。
いわゆる鎌倉仏教の浄土宗の教えになり、どんな人でも南無阿弥陀仏の六文字を唱えれば極楽に行けるという。
この像は117cmと小柄だが、展覧会ならではで、ぐるっと一周回れるので、じっくり見てしまった。ひとくちでいえば、ものすごくリアルだ。
当然、空也上人の写真などはないわけだが、まさしくリアルな顔に見える。そして手の甲には血管が浮き出ているし、後ろに回ると着物のふんわりとした質感やしわなども・・・
そのリアルそのものの像ということでは運慶座像(上左)、そしてその子の湛慶座像(上右)のリアルさもすごかった。正面に立って見ていると、語りかけてくるような・・・
さらに空也上人像とならんで有名な平清盛像(左写真)も展示されていた。こちらはそのポーズも曰く因縁があるものだ。
そう、平清盛といえば古くから白河法皇のご落胤説がまことしやかにあったことでも有名だが、父の平忠常は斜視だったとも。
そしてこの像のポーズはまさに斜視そのもの・・・とも言われていて、本当の父は・・・という意味を込めているとも言われている由。
これらのリアルな像は運慶作の仏像(上写真)と違い、人間のエネルギーを感じさせてくれる。まだまだ六波羅蜜寺とその周辺は奥がありそうだ。
冥界の入り口として六道の辻と言われながら、近くには白河法皇とは因縁の崇徳上皇の墓もある。日本史上最大の怨霊を生んだこの時代・・・
平清盛、源頼朝・・・まさに壮絶な歴史の真っ只中であったことをかみしめながら帰路についた。
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