
前評判や広告の多い映画は期待してはいけない・・・と誰かにきいた記憶があるが、結果としてはなかなか満足できる映画だった。それが「関ケ原」を見た最初の感想である。
関ケ原の戦いについては、知らない人はいないだろうが、その意義は・・・と言われると意外にほとんどの人が勘違いしている戦いでもある。
ほとんどの人は、豊臣vs徳川の戦いと思っているかと。実質はともかくとして、本質は豊臣内部の内乱と言った方が正しかったりする。
といいつつ、このあまりに有名な戦いは1600年9月15日という極めてわかりやすい日に行われたり、日本の東西の境目で行われたり、実際にその後の歴史のことを考えると「天下分け目」であったことは間違いないわけで・・・
さて映画についてだが、司馬遼太郎の原作に沿い、ギュギュッと詰めているため、歴史に詳しい人でないとわかりにくいところはあるように感じた。
だが、この映画のウリでもある、これまでの視点とは違う切り口が随所に見られて楽しめた。楽しめたという点では配役も興味深いところだった。
石田三成の岡田准一は軍師官兵衛を思い出したが、考えてみればあのドラマでもこの時代だったわけで・・・
なんといっても役所広司の家康はさすがの貫禄だったし、三成の軍師、島左近の平岳大もよかった。
山本耕史演ずる真田丸の三成が、石田三成像の見直しにつながったりとかしていて、このところ石田三成への評価が変わりつつある。
その意味でも、この映画は興味深いものであった。
ただ、くりかえしになるが歴史に詳しくない人にはわかりにくい映画になっているし、時間もかなり長いもの。合戦シーンはリアルなイメージがあるが、といってスペクタクル映画として楽しめるわけではない。
その点では、見る人によって評価が分かれるのもしかたないのかも知れない。実際に、映画のレビューを見ても賛否両論あるようだ。
実際、当日の会場もけっこう空いていたのも印象的だ。セリフも聞き取りにくいところがあったのも事実。
ただ、北政所や淀殿の眉の描き方など、これまでの今風の時代劇と異なる絵を出したり、兜の前立てを抜くシーンなどもリアルだった。
ただ、戦闘の評論家をして90%以上の確率で勝てると言わしめた布陣で対処しても負けた、その事実は変わらないし、その因は・・・という視点で見れば、わかりにくいものになっていたのかも・・・
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