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勝手に書評

私が読んだ本の書評を勝手に行います。

陽はまた昇る 映像メディアの世紀/佐藤 正明 著

2002-10-12 | ビジネス
タイトル : 陽はまた昇る 映像メディアの世紀
著者 : 佐藤 正明
出版社 : 文藝春秋(文春文庫)
出版年 : 2002年

---感想---
『プロジェクトX』で取り上げられ、その後、映画化もされたVHSビデオ開発にまつわる話である。今ビデオと言えば、VHSしか存在しないが、黎明期にはβと言う強力なライバルがいたことを覚えているものはもう少ないだろう。VHSの勝利した要因としては、徹底した互換性保持政策を取った事であり、その意味では高品質化のために規格変更を繰り返して、互換性にかける商品を供給したβ陣営とは対極である。しかし、どちらが残ったのかは歴史として明らかである。VHSにおいて、コンシューマ商品における互換性の重要性は明らかになっているはずであるが、その後その経験を必ずしも生かしているとはいえない。今いえば、DVDであるが、これがどのDVD規格が生き残るかは歴史が将来証明するだろう。

ビール15年戦争 すべてはドライから始まった/永井 隆 著

2002-10-12 | ビジネス
タイトル : ビール15年戦争 すべてはドライから始まった
著者 : 永井 隆
出版社 : 日本経済新聞(日経ビジネス人文庫)
出版年 : 2002年

---感想---
アサヒビール躍進の要因となったスーパードライに関するストーリーを中心に、ビール業界15年の移り変わりを記したもの。アサヒの躍進を同業他社がどのように見ていたか、その一端を垣間見ることが出来、非常に興味深い。アサヒのスーパードライは起死回生のヒット作となり、巻く引き寸前まで追い込まれた会社が大逆転の業界最大手になった。一方、これまで業界の盟主としてビール業界に君臨してきたキリンは、徐々にシェアを落とし、シェア2位に転落してしまった。万物流転。それは正に、戦後直後のアサヒとキリンの関係を逆に見たような形である。しかし、スーパードライにヒットにいたるまでのアサヒは、落ちるところまで落ちたものの捨て身の仕事の結果であり、失うものを持ってしまったアサヒの今後はどのようになるのか非常に興味深い。これまでの15年は、アサヒの15年であったが、これからの15年はどうなるのであろうか。

仕事が嫌になったとき読む本 打たれても出る杭になれ/笠巻 勝利 著

2002-08-30 | ビジネス
タイトル : 仕事が嫌になったとき読む本 打たれても出る杭になれ
著者 : 笠巻 勝利
出版社 : PHP研究所(PHP文庫)
出版年 : 1999年

---感想---
「仕事が嫌になったとき読む本」と言うのがこの本のタイトルであるが、率直な感想として、読む人物を選ぶ本である。様々な事態への対処、仕事への心構えなどが記されているのだが、必ずしも賛成とはいえないことが多々書いてある。仕事が嫌になったときにこの本を読んで、意欲的に仕事に取り組めるようになるかは疑問である。「そう言うものの見方もあるな」と心の余裕を持って読むべき本である。この本の全てを正しいと思ってはかなり問題である。

タイトル 「国鉄マン」がつくった日韓航路 俺たちのプロジェクト「ビートル」物語/渋田 哲也 著

2002-08-30 | ビジネス
タイトル : 「国鉄マン」がつくった日韓航路 俺たちのプロジェクト「ビートル」物語
著者 : 渋田 哲也
出版社 : 日本経済新聞(日経ビジネス人文庫)
出版年 : 2002年

---感想---
JR九州による福岡~釜山間のジェットフォイル航路開設に至るまでの話である。時は国鉄民営化の頃、民営化に向けた収益向上の努力がなされており、その意味ではタイミングがちょうど良かったと言える。その時期を逃しては、この航路の開設は無かったかもしれない。しかし、実際にはそれ程簡単な話ではなく、同じ運輸分野と言っても鉄道と船は勝手が全く異なり知らないことだらけであること、業績が上がらず一時は航路廃止の直前まで追い込まれたこと、社内の無理解など苦労の連続であり、差し詰め「プロジェクトX」である。それらの労苦を乗り越え、いま、ビートルはこの航路のトップシェアを占めており、努力が報われたのではないだろうか。

前例が無い。だからやる!/樋口 廣太郎 著

2002-08-30 | ビジネス
タイトル : 前例が無い。だからやる!
著者 : 樋口 廣太郎
出版社 : 講談社(講談社+α文庫)
出版年 : 2002年

---感想---
アサヒビール復活の当事者による著である。復活の理由の分析までは至っていないが、当事者がどのように考えて行動を起こしていったかはよく理解できる。この書を通じて、企業でのリーダーシップの重要さも非常に良く判る。全ての企業に適用できるとは思わないが、企業のトップはこの書に著されているような心構えが重要である。この人であったからこそ、アサヒビールが復活したと言えるのかもしれない。

アサヒビール大逆転 どん底時代をいかに乗り越えたのか/藤沢 摩彌子 著

2002-08-30 | ビジネス
タイトル : アサヒビール大逆転 どん底時代をいかに乗り越えたのか
著者 : 藤沢 摩彌子
出版社 : 文藝春秋(文春文庫+PULS)
出版年 : 2002年

---感想---
その奇跡的な業績の回復は研究の対象にもなるアサヒビール復活の物語である。社史からの情報を中心に、時系列的にまとめられている。アサヒビールの創設の話にも触れており、一種のミニ社史として読むことも可能だ。アサヒビールの歴史が良くまとめられているが、突っ込みが少なくアサヒビール凋落の理由及びアサヒビール復活の理由の分析が若干甘い。その意味では、タイトルからアサヒビール復活の理由の分析を期待している方には向いていない。分析は程ほどに、歴史をざっと振り返ると言う用途が正しい用途の様である。

人間はこんなことまでできるようになった 技術創世記/日本経済新聞社 編

2002-07-13 | ビジネス
タイトル : 人間はこんなことまでできるようになった 技術創世記
編者 : 日本経済新聞社
出版社 : 日本経済新聞(日経ビジネス人文庫)
出版年 : 2002年

---感想---
日経新聞連載の記事に加筆修正したもの。流行のナノテク、バイオをはじめ、生産技術、ITなど収録されている分野は多岐にわたる。新聞の連載記事と言う事もあり、内容は一般の人間にも身近に感じられる話題が多く、普通に読んでもよく理解できるのは好感である。また、セクションの変わり目ごとに、各種分野での一人者へのインタビューが挿入されており、専門家からの専門的な話(限度があるが)も読むことが出来る。必ずしも、技術者、あるいは理系と言う人でなくても、楽しめるのではないだろうか。

トヨタvs.ベンツvs.ホンダ-世界自動車戦争の構図/前間 孝則 著

2002-03-02 | ビジネス
タイトル : トヨタvs.ベンツvs.ホンダ-世界自動車戦争の構図
著者 : 前間 孝則
出版社 : 講談社(講談社+α文庫)
出版年 : 2002年

---感想---
本書は元々1998年に刊行された『トヨタvs.ベンツ』であるが、この間の状況の変化によりホンダもプレーヤーに加わってきたことを示している。2000年・2001年は自動車業界にとって歴史の転換点と言える時期であった。ビッグ3の一つであるクライスラーとベンツの合併(事実上、軍門に下ったとも言える)、日本の名門日産の凋落とルノーグループ入り、三菱財閥を背景として磐石を誇った三菱自動車のベンツによる救済・・・。世界の自動車メーカは、GM、フォード、ダイムラークライスラー、そしてトヨタの4大グループに大きくは集約されてしまった。その中で、決して大規模とはいえないホンダが自主独立を貫いていて、しかも国産メーカとしての収益ではトヨタに次ぐ存在になっていることは注目に値する。このままホンダが永続していけるかどうかは神のみぞ知るところであるが、燃料電池、EVへ向けての競争がさらに激化していく自動車業界の中でのホンダの動きは注目である。また、大きくは4大グループに集約されてしまっているが、その4大グループも磐石とは言いがたい。生き馬の目を抜く自動車業界でこれらビッグメーカがどのようにして生き残っていくかは注目である。

私たち塾生に語った熱き想い 松下幸之助翁 82の教え/小田 全宏 著

2001-11-17 | ビジネス
タイトル : 私たち塾生に語った熱き想い 松下幸之助翁 82の教え
著者 : 小田 全宏
出版社 : 小学館(小学館文庫)
出版年 : 2001年

---感想---
経営の神様、松下幸之助が設立した松下政経塾の元塾生が記した、松下幸之助のエピソード。非常に勉強になりますね。個々の言葉の解説は避けますが、松下の言っている言葉は全く当たり前のことで、全く実行不可能なことを言っている訳ではないのですが、実際にはどうか・・・。当たり前のことを当たり前のように行うのが、難しいと言うことですね。でも、当たり前のことすら行えないと言うのは一体どういうことなんでしょうか? 考えてしまいます。

外資と生きる IBMとの半世紀 私の履歴書/椎名 武雄 著

2001-11-17 | ビジネス
タイトル : 外資と生きる IBMとの半世紀 私の履歴書
著者 : 椎名 武雄
出版社 : 日本経済新聞社(日経ビジネス人文庫)
出版年 : 2001年

---感想---
日本IBM元社長椎名武雄氏の半世紀。まぁ、言ってみれば自伝ですね。IT不況の時勢に有りながら、日本IBMはSEの大量採用を行うなど、非常に積極的な経営を行っている訳ですが、そこに至るまでの日本IBMの屋台骨・ポリシーがどこにあるかが、これによってわかったような気がします。それにしても驚かされたのが、外資企業の能力主義の徹底。氏も若くして取締役に抜擢されています。このところは日本でも珍しくはなくなってきていますが・・・。それから、IBMのグローバル経営のポリシーも非常に興味深いところです。日本企業も海外に多く進出していますが、多くの場合、現地企業の幹部は日本本社からの派遣と言う事が未だにほとんどですが、IBMの場合な経営は現地に任せるとして現地企業の経営幹部は現地人(日本の場合は日本人)と言うポリシーで運営されていると言うこと。どちらが優れているかわかりませんが、この違いは非常に興味深いものが有ります。